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Am7 / チクタク

**こんなに深い音楽世界があるんだなぁと驚嘆します。**

『アルバムは映画』…とはチクタクさん本人の言葉だそう。
一曲一曲が交じり合い、ひとつの大きな物語を紡ぐ。

僕がこのアルバムに題名をつけられるとしたら、「現代の聖歌」って感じかな…
でも、もっと感覚的な意味合いで「Am7」なんだろうと解釈しています。かっこいいタイトル!

このアルバムに「聖歌」なるものを感じた理由は、チクタクさんの歌に祈りのようなものを感じるから。聖歌といっても合唱するのではなく、あくまでも一人の視点から描かれる歌。
とくに、5曲目「天使のはしご」や最終曲「星ひとつ」は祈りのクライマックスが訪れる美しい瞬間。この2曲を核に、アルバムは都会に生きる現代の人間像を描き出していく。(ように感じた)
また、アルバム全編をとおして、アレンジを務める花介さんによる雑踏や生活音のサンプリングが日常のざわめきを鮮やかに切り取る。
その日常の音にデジャヴを感じながら聴いていると、その音たちが寄り添うように歌を彩っているのが心地良くなる。
まるで、胎内から外の音を聴いてるような錯覚を覚える。その中にチクタクさんの祈りの歌が響き渡っているのである。うーん、アメイジング。

聖歌といえばThe Verveという英国ロックバンドの名盤「Urban Hymns(都市の聖歌)」というアルバムがある。音楽的に似ているという意味でなく、方向性というか音楽の佇まいに共通するものがあると感じ、聴きたくなった。

さて、「Am7」の一曲一曲を見ていこう。チクタクメロディは中毒性があるようで、仕事中にも関わらず、ふと口ずさんでしまう。そんな口ずさんでしまったとくにハマった曲を紹介したい。

1.夢の底

本当に夢のまどろみの中を漂うようなチクタクさんの歌声。花介さんのアレンジによるディレイやリバーブが更なる深みへと連れていく。記憶を辿るような逆再生のギターの音や、夜の足音のようなピアノの高音が美しい。

夢の底 そこにいた

2.drawing

「夢の底」から一変して、ありのままのチクタクさんの歌と爪弾くアコースティックギターが直に聴こえてくる。語りかけるような前半、踏み切り音などのサンプリングがコラージュされ立体的な後半と。流れる日常の隙間を描く。

なぜ消えてしまうの どこに行けば会えるの
答えられないことだけ 置いていくのはずるいな

3.あなたへ

フォークな感触のあるギターの音が小気味よい。
ここで花介さんの空間系轟音?エレキギターが登場する。例えるならThe Smashing Pumpkinsのような空間にジリジリと染みる音(わかりにくいかな)。アコースティックな曲とこのメロディアスな空間系轟音?エレキギターが共存しているのが不思議と心地良い。このサウンドの共存がアルバムの聴きどころでもある。

5.天使のはしご

アルバムからの1stシングル。
ピアノの音がやさしく刻まれる。雲の風景描写がゆっくりと続いていく。流麗なストリングスが流れてくる頃には、いつまでもこの穏やかな風景を眺めていたい感覚になる。都会の喧騒を忘れて、その身をまかせるように。
それをかき消すようなアコースティックギターの力強いストロークと天に昇るようなサビのメロディ。

それもふと、あげまんじうさんのまるで天使のようなコーラスに落ち着きを取り戻す。しかしその後再び更なる頂点を極める。

雲をつかんで もっていく
天使のはしごが見えたなら

チクタクさんの魂の歌声。僕の中には聖歌のように響いた。

11.カタン

4曲目の「虹彩」もそうだが、こういう曲があるからこそ、アルバムの世界が広く深くなる。サウンドはもうディストーションギターの吹き荒れる嵐の中をゆっくり蠢くようだ。その中でチクタクさんの内を見つめる歌詞と情熱的なシャウトがこだまする。

天よりも高い希望は自由さ
海よりも深い絶望も自由さ

13.星ひとつ

静寂と感動に包まれる最終曲。チクタクさんの歌にも静かな熱がこもっている。歌詞の中の物語についてはここでは触れないが、特別な物語が綴られている。
花介さんのギターのアルペジオやハーモニカ、あげまんじうさんのコーラスが素晴らしく、やさしく歌に寄り添う。

降り注ぐ 蛍の夜に 涙のかわりに星ひとつ

何度も聴きたくなる名曲。

他にも、和やかな情景が目の前に浮かぶ「ゆせん」、波の音などのサウンドコラージュが巧みな「オール」、あげまんじうさんのコーラスが空へと誘う「ensemble」など全13曲。物語が紡がれていく。

「Am7」はチクタク名義としては初のアルバムということで、2枚目や今後の活躍もますます楽しみなアーティストである。これからも応援しています。
花介さん、あげまんじうさんもいい仕事をありがとうございます!
こんなに深い音楽世界があるんだなぁ…

https://itunes.apple.com/jp/album/am7/1305614630
アップルミュージックにて配信中!聴きましょ

https://note.mu/quruli1208/n/n33d50142ac15
チクタクさんのトークnote

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