人生のサウンドトラックvol.4 fantasic pieces / chickii
どうも、Marlowe Kayです。「人生のサウンドトラック」と題して、不定期ですがアルバムまるごと1枚レビューしています。
今回は遠距離バンドAIRPORTの相方chickiiのニューアルバム「fantasic pieces」。
↓各種サブスクで聴けます。
「fantasic pieces」はchickiiのこれまでの作品「Renaissance」や「instrumental works1〜4」と同様インストものの作品である。
そのテーマは「架空のRPGのサントラ」というコンセプトで貫かれ、DTMとしても完成度の高い作品となっている。
後述するが、僕がchickii作曲のファンになるきっかけとなったスーファミ(!)で制作された「dweller」という曲がある。
その曲のイメージも含めて、このファンタジーで彩られたアルバムをレビューをしていきます。
ということで早速、一曲ずつレビュー!
celtic gig
一曲目の「celtic gig」は民族的な笛の音をフィーチャーした躍動感、疾走感のある一曲。
FFとかの山奥に住む民族の村で流れそうな旋律が印象的である。
6拍子のケルト音楽だけどドラムがロックやダンスミュージックよりなシンプルなビートで絡んでて、全体的に聴くと逆に複雑に聴こえるという不思議。
また、よく聴くとベースラインが異様にカッコいい!高音でうねる所とかツボなので、ぜひ注意深く聴いてほしい。
小刻みなパーカッションも気持ちいい。こんなケルトバンドいたらかっこいいよね。バンドの演奏でアルバムは幕を開ける。
bustles
二曲目「bustles」は冒頭、エンヤの「Orinoco Flow」を彷彿とさせる弦楽器による軽快なリフの音色が気持ちいい。
そのリフに乗って妖精が転がるようなメロディ、そこから転調を生かした大陸的なメロディへの流れがいい。
メロディメーカーとしてのchickiiが顔を覗かせた一曲。
冒険の途中町に立ち寄った主人公。店が立ち並び賑わう人々が行き交う光景が思い浮かぶ。
mysterious art
5拍子やら7拍子やらの変拍子や転調を多用したコード感もあって不思議な不思議な絵の世界に入り込むよう。
chickii曰くホールトーンスケールなどの非伝統的な音楽理論の組み合わせを採用しているとのこと。実験的ではあるが、メインで鳴らしてるのはオーケストラの木管楽器だそうで、この音色がファンタジー色を決定付けている。
「結果的に魔女が大釜かき混ぜてるみたいな感じになって良かった」
この曲は、血気盛んな10代の頃のchickiiが作った「dweller」という曲を思い出させる。
その頃のchickiiはスーファミの作曲ゲームソフト「音楽ツクールかなでーる」で曲を作っていた。
「スーファミでこんな曲が作れるのか!!」ともの凄い衝撃を受けたのを今でもはっきりと覚えている。下の動画がその曲。
こんな曲、最新のソフトとかでもなかなか作れない。
この変態的な完成度と初期衝動の危うさとが同居した美しさ。何ものにも変えられない魅力が詰まっている。
「mysterious art」はその流れを汲みながら、現代的なリズム隊を配置するなど実験的な要素が多い一曲だ。
struggles
RPGといえば戦闘シーン。そのBGMといえば、バトルを盛り上げる結構重要な立ち位置。
「struggles」はRPGというより、アクション映画の戦闘シーンのように立体的に目まぐるしく視点が移り変わるイメージ。
ドラムンベースやテクノ?というのかな?とにかくリズム隊がかっこいい!
時折り重なる色々な音色のシンセが、ハードなリズムパートの合間に色を添えるようで心地良い。
a myth
オルゴールを回す音から始まる。
紡ぎ出すメロディが少しずつ神話の物語を具現化させていくように聴こえる。
でもまたすぐに現実の世界に戻っていくような、そんな壮大かつ切ないイメージがある。
オルゴールの奏でる音1つ1つの響きがそれぞれ違って、シンプルで短い曲だけど深みがある。
個人的にアルバム中、一番好きな曲。
fantasic piecies
アルバムタイトルは「ファンタジーの欠片達」といった感じかなぁ?
架空のRPGのサントラとしても聴けるし、90年代TVゲーム世代の僕らのノスタルジーを意識的に形にした作品にも聴こえてきた。
そういったものも自分を形作ってきたもの(欠片)の一つだよね。
「もうゲームやめなさい」と言われながら、昼夜その世界観に入り浸る。
そこには僕しか知らない世界が広がっていて、僕にしかできない冒険が待っていた。
いやー、ドラクエ。FFとかやりたくなってきた。RPGツクールとか…やってたなぁ。
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