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顔が売れる【#顔自動販売機 #毎週ショートショートnote】
この国は笑顔こそ、至上主義。
笑顔のレベルはAIによって数値化され、値が高い人ほど能力の高い人と認められる。それは社会での地位や評判という面でも優遇され、知識や技術の才よりも求められた。
「君は、少し笑顔が足りないね」
その一言は、面接の不合格という烙印を押されたも同然。
帰りの足取りは鉛のように重かった。
やけ酒でも飲むかと、吹っ切れた私は昼過ぎから日が暮れるまで飲んだ。その帰り道、ふと闇夜に照らされた自動販売機が目にとまった。
「顔自動販売機?」
表示された文字を読んで首を傾げる。
様々な表情の顔があり、それぞれ価格が違う。
藁をも掴む思いで貯金の全てを下ろし、一番高額の笑顔を購入した。
そしてその買った笑顔を付けて、新たな面接に向かう。
「よろしくお願いいたします」
「君……良い笑顔だね」
初めて褒められた。作り笑顔だが、少しだけ自信が湧いた気がする。
私は見事面接に合格し、それからの人生はトントン拍子。今は誰もが知るインフルエンサーになった。
(417文字)
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
今回のお題は近未来でもありそうな設定なので、ここから膨らませて短編も書けそうな感じがします。