罪状は【#火星の別件逮捕 #毎週ショートショートnote】
「あたしのスキな色は、何でしょうか?」
唐突に先輩が聞いてきた。視線を合わせられない僕は、先輩のぷっくりとした唇に視線を向ける。
「赤、ですか?」
「ふ~ん」
そう言って、先輩は悪戯に微笑んだ。微笑むだけで、それ以上何か言葉を続ける様子がない。
対面に座る先輩は、片手にビール、もう片手でスマホをいじっている。もう飲み始めてから結構な時間が過ぎている、ような気がする。
「これは何に見える?」
おもむろに先輩が見せてきたスマホの画面。そこに映し出されていたのは、赤い惑星の写真だった。
「火星、ですかね?」
「ワレワレハ、ウチュウジンダー」
急なカタコトな言葉に虚を突かれる。
「オマエヲ、タイホスルー」
先輩はそう言って、僕の腕を掴んだ。
「ねえ、あたしのことスキになったら許さないから」
「え……ダメなんですか?」
思わず口に出た。
「君は既に罪状がついている。もしこれ以上罪を犯すなら別件逮捕することになるよ」
「罪状?」
「カセイジンを捕まえた罪です」
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
お酒に酔った先輩というのは、可愛いというよりも罪深いと思います。
あと、見出し画像を少し変えてみました。特に物語とは関係ないです。