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さいごの笑み【#半笑いのポッキーゲーム #毎週ショートショートnote】

「おめでとうございます。ゲーム終了です。では賞金を差し上げようと思うのですが、その前に余興でもしませんか?」

スピーカーから半笑いの声が聞こえてくる。

ふざけているのか。こちらは命がけでデスゲームに参加させられて、ようやく最後の二人になったというのに。

傍にいたエミに目を向ける。僕と同じ感情のようだ。

「その名もポッキーゲーム。もちろん君たち若者がやるような生温いものじゃないですよ。二本あるポッキーのうちひとつには毒が塗られてます。普通のポッキーを選べば無事に賞金を獲得できます」

すると、目の前に二本のポッキーが運ばれてきた。見た目は何も変わらない。

「ふざけているのか」

僕が言うと、鼻で笑ったような声が聞こえてきた。

「ただの余興ですよ。どうやらお連れさんは理解が早いようですね」

その言葉に驚いて振り向くと、エミは1本のポッキーを口にくわえていた。それを見て、僕は全てを察した。

「君は生きろ」

最期にそう言い残し、僕はポッキーを勢いよく噛み砕き、優しく口づけをする。

薄れ行く意識の中、エミが半笑いしているように見えた。

(455文字)


たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
ポッキーゲームは、やる側よりも見ている側のほうが楽しんでいるような気もします。


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