プラバンに使う紙やすりの目の粗さとスジ掘りについて実験しました
こんにちは。あいろです。
少し前に、他のプラバン作家さんと「作家によって同じプラバンなのに全然違う雰囲気になる」という話をしていました。その会話の中でやすりの目の粗さについても話したところ、どうやら作家さんによって違うのは画材だけではなく、やすりの目の粗さも表現の多様性に深くかかわっているのではないか、という仮説にたどり着いたので、それを検証してみようかと思います。
また、人によっては葉脈や花脈といったスジ模様をつけたりつけなかったり、という違いもあるようなのですが、そのスジをプラバンの表面につけるのか、裏面につけるのかでも雰囲気が変わるのでは、と思ったので合わせて検証してみました。
そんなわけで今回はスジ彫りの表現と、やすりの目の粗さによる仕上がりの差異に重点を置いて表現の実験結果まとめです。
実験に使用した道具
今回の実験には以下の物を使用しました。
紙やすり
・600番(以下#600)
・180番(以下#180)
※紙やすりの番号は大きいほど目が細かいです
スジ彫りブレード
タミヤのスジ彫りブレード(0.5mm)を使用しました。
プラモデルを作る際にスジ彫りをするのに使うようで、
ケガキ棒とも呼ぶそう。
プラバン
タミヤの0.2mmプラバンを使用しました。
両面とも紙やすりでツルツルした面が無くなるまで電気サンダーで
サンディング(やすり掛け)しました。
パステル
今回の着色はパステルで、全て裏面に着色しました。
実験結果
実験結果をまとめた画像です。
表のやすりの番号に下線が引いてある面にスジ彫りをしています。
画像ではわかりにくいので、以下観察結果をまとめておきます。
やすりの目の粗さによる表面の雰囲気の差異
これは写真ではわかりにくいのですが、粗いやすりをかけたほうが、より曇った雰囲気になり、不透明感が強いです。
マット感が強く出るので、より柔らかい印象を感じます。
目の細かいやすりをかけたほうは裏面の着色面がよりはっきり見えるので、透け感と、シャープな印象が強く出ます。
やすりの目の粗さによる色の差異
粗いやすりをかけたほうが色が濃く乗った印象です。
また、今回は細かいやすりをかけたほうの表面が粗いやすりだったため、表面の白っぽさが強くでたことでより淡い色になりました。
着色面は粗いやすり、表面は細かいやすりを使用するのが一番濃く色が出るようです。
スジ彫りをする面の違いによるスジの見え方の差異
こちらはかなり顕著に結果が変わりました。
まず、表面にスジ彫りをした場合はよく見ないとわからないスジに、裏面(着色面)にスジ彫りをした場合ははっきりと白いスジが見えるようになりました。
しかし、表面のやすりの目が粗いと掘ったスジが曇ってぼやけてしまうので、スジをはっきりさせたい場合は着色面にスジを掘り、表面は目の細かいやすりで作るのがベストのようです。
最後に
以上が今回の実験による所見となります。
画材、着色面、ニスのあり・なし、などの組み合わせに加えてやすりの目の粗さが作品の印象に関わっていると考えると、その組み合わせの数だけの表現があるということなので、プラバンの表現の多様性に改めて驚かされます。
この記事がこれからプラバンを始める人、既に作品を作っている人の新しい可能性のきっかけになれば嬉しいです。それではまた。