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Celonis Snapでプロセスマイニングをはじめよう「第5回 分析レポートの作成」【つづき】


こんにちは。Airitech プロセスマイニンググループの林です。

本記事では「第5回 分析レポートの作成」について前回の続きからご紹介します。

また、本連載では「Celonis Snap」を使ったプロセスマイニングの記事を紹介しています。まだご覧になられていない方は、こちらからご覧ください。

第1回 無償のプロセスマイニング環境「Celonis Snap」の準備方法
第2回 Celonis Snapの環境でEvent Collectionを使ってデータを取り込む方法
第3回 ワークスペースを作成しプロセス可視化の方法をご紹介
第4回 コンフォーマンスを使ったプロセスのギャップの確認方法
第5回 取り込んだデータによる分析レポートの作成

0.振り返りと今回のゴール

前回までで、「バリアントエクスプローラ」「シングルKPIコンポーネント」「グラフ」(棒グラフとラインチャート)を使用し、「チケット管理」における分析レポートを作成してきました。

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参考 前回作成したレポート

今回はここから「OLAPテーブル」「ドロップダウンボタン」を設定し、チケット管理におけるパイプラインを表現していきます。

OLAPテーブルとは、蓄積されたデータを素早くテーブル形式で表示するCelonisの機能です。
OLAPテーブルを使うと複数のKPIを表示し、分析に活用することができますが、さらにドリルダウンを設定することで、分析の切り口を素早く切り替えることができ、より多面的な分析や情報活用ができるようになります。

早速「チケット管理におけるパイプライン」の作成に取り掛かります。

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参考図  チケット管理におけるパイプライン

1.ドロップダウンのボタンの作成

まずはじめにドロップダウンのボタンの作成をします。
これはOLAPテーブルのディメンションを選択するために使用します。
ドロップダウンボタンはあらかじめ定義したディメンションから任意に選択する機能です。
この機能には、ディメンションを格納する変数が必要になります。
まずは変数の定義から設定していきます。

(1) 変数を定義する

■作成手順
(1)-1 画面右上の「編集」をクリックし、編集モードを有効にする。
(1)-2 画面左上の「」(ハンバーガーボタン)をクリックし、続いて「変数」を選択する。

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(1)-3「分析の設定」の画面から、「変数」タブを選択する。
(1)-4 「自身の変数」のセクションから、「変数の作成」をクリックする。

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(1)-5 「新しい変数」セクションの変数名に「PARAMETER」と入力する。
(1)-6 「保存」をクリックする。
(1)-7 「完了」をクリックする。

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これで変数「PARAMETER」を定義することができました。

続いて、「ドロップダウンボタンのコンポーネント」を作成し、この変数を設定していきます。

(2) ドロップダウンコンポーネントを作成する

■作成手順
(2)-1 画面右上「コンポーネント+」をクリックする。
(2)-2「新しいコンポーネント」メニューの「デザインコンポーネント」から「ボタンのドロップダウン」を見つけ、分析シートへドラッグアンドドロップする。

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(2)-3 「ボタンのドロップダウン」メニューのタイトルへ「選択」と入力する。

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次はこのドロップダウンコンポーネントにディメンション選択の設定をしていきます。

(3) ドロップダウンコンポーネントの設定をする

■作成手順
(3)-1 「ボタンのドロップダウン」のメニューから、「ドロップダウンエントリーの追加」をクリックする。
(3)-2 「ボタンアクション」から「変数の設定」を選択する。

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(3)-3 「ボタンタイトル」に「チケット分類」と入力する。
(3)-4 「ボタンアクション」から「変数を設定」を選択する。

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(3)-5 「変数」から「PARAMETER」を選択する。
(3)-6 「値を設定」に「"チケット分類マスタ_csv"."分類名"」と入力する。

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ここまでの設定で、ドロップダウンのコンポーネントに「チケット分類」というディメンションが追加されました。
さらにディメンションの追加をしていきます。

(4) ドロップダウンコンポーネントへさらにディメンションを設定する

■作成手順
手順 (3) ドロップダウンコンポーネントの設定をするを繰り返す。
※「ボタンタイトル」と「値を設定」は下記の補足を参考にしてください。

補足:「ボタンタイトル」と「値を設定」の値

・ ボタンタイトル: 担当者
     値を設定   : "担当者マスタ_csv"."担当者名"

・ ボタンタイトル: 部門
     値を設定   : "部門マスタ_csv"."部門"

・ ボタンタイトル: ステータス
     値を設定   : "ステータスマスタ_csv"."ステータス"

・ ボタンタイトル: 優先度
     値を設定   : "優先度マスタ_csv"."優先度"

全ての設定が終わるとディメンションの設定は完了です。

(4)-1 画面右下の「完了」をクリックする。

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次は、OLAPテーブルを作成し、パイプラインを表示していきます。

2.OLAPテーブルの作成

(1) OLAPテーブルコンポーネントの作成をする

■作成手順
(1)-1「新しいコンポーネント」より「チャートとテーブル」から「OLAPテーブル」を見つける。
(1)-2「OLAPテーブル」をドラッグアンドドロップし、サイズを調整する。
(1)-3「テーブルタイトル」に「パイプライン」と入力する。

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(2) OLAPテーブルにディメンションの設定をする

■作成手順
(2)-1 ディメンションの「追加」をクリックする。
(2)-2「カスタムディメンション+」をクリックする。

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(2)-3 タイトルへ「<%=PARAMETER%>」と入力する。
(2)-4 エディターへ「<%=PARAMETER%>」と入力する。
(2)-5「更新」をクリックする。

タイトルとカスタムディメンションのエディターへ変数を入力することで、ドロップダウンで指定するディメンションと連携できます。

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(2)-6 画面右下の「完了」をクリックする。

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続けてKPIの設定を行っていきます。

(3) OLAPテーブルにKPIの設定を行う

■作成手順
(3)-1 KPISの「追加」をクリックする。
(3)-2「カスタムKPI+」をクリックする。

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(3)-3 タイトルに「受付」と入力する。

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(3)-4 エディターに下記PQL文を入力する。
(3)-5 「更新」をクリックする。

補足 (3)-4  PQL文

SUM(CASE WHEN "チケット情報_csv"."ステータスCD" ='001' THEN 1 ELSE 0 END)

上記のPQL文を入力することで、チケット情報のステータスが「受付」となっている件数を表示できます。

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(3)-6 「書式設定」は「標準」にします。
(3)-7 「単位」は、空白にします。

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(3)-8 画面右下の「完了」をクリックする。

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ここまででOLAPテーブルに受付件数を表示するKPIの設定ができました。
同様の手順を行うことで、KPIをさらに追加できます。

(4) OLAPテーブルにKPIをさらに追加する

■作成手順
手順 (3) OLAPテーブルにKPIの設定を行う。を繰り返す。
※「KPI名」、「書式設定」、「PQL文」は下記を参考に設定します。

・対応中
 KPI名  : 対応中
 書式設定 : 標準
 PQL文  : 

SUM(CASE WHEN "チケット情報_csv"."ステータスCD" = '002' THEN 1 ELSE 0 END)

・返答
 KPI名  : 返答
 書式設定 : 標準
 PQL文  : 

SUM(CASE WHEN "チケット情報_csv"."ステータスCD" = '003' THEN 1 ELSE 0 END)

・保留
 KPI名  : 保留
 書式設定 : 標準
 PQL文  : 

SUM(CASE WHEN "チケット情報_csv"."ステータスCD" = '998' THEN 1 ELSE 0 END)

・完了
 KPI名  : 完了
 書式設定 : 標準
 PQL文  :  

SUM(CASE WHEN "チケット情報_csv"."ステータスCD" = '999' THEN 1 ELSE 0 END)

・平均スループット日数
 KPI名  : 平均スループット日数
 書式設定 : 少数(#.##)
 単位   : 日
 PQL文  : 

AVG(CALC_THROUGHPUT(ALL_OCCURRENCE['Process Start'] TO ALL_OCCURRENCE['Process End'], REMAP_TIMESTAMPS("チケット履歴_csv"."活動時刻", DAYS)))

・完了率
 KPI名  : 完了率
 書式設定 : 小数点付きパーセンテージ(#.##%)
 PQL文  : 

count("チケット情報_csv"."チケット完了日")/COUNT_TABLE("チケット情報_csv")

すべてのシングルKPIコンポーネントの作成が完了すると以下のような「チケット管理」のパイプラインが出来上がります。

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参考 作成したチケット管理のパイプライン

全て設定が終わったら、編集モードを完了します。

(4)-1 画面右上の「編集」をクリックし、編集モードを完了する。

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OLAPテーブルとドリルダウンが作成できました。
作成したOLAPテーブルとドリルダウンを組み合わせて使用することで分析する対象を階層ごとに変化させ、より効果的な分析を行えるようになります。

前回から作成してきて分析レポートは、以上で完了です。
作成した画面は以下のようになっているでしょうか。

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参考 チケット管理分析レポート完成画面

まとめ

第5回 分析レポートの作成では、2回に分けてチケット管理の分析レポートを作成してきました。
前半は「シングルKPIコンポーネント」と「グラフ」を、
後半は「ドリルダウン」「OLAPテーブル」を作成してきましたがCelonisの機能(コンポーネント)を使うことで比較的簡単に分析レポートを作成することができました。
Celonisを使ってだれでも簡単に直感的でわかりやすいデータを表示し、素早い状況把握や分析のためのレポートを作ることができます。

本記事は以上になります。
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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