Celosphere Japan 2020レポート CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと
こんにちは。
Airitechでマーケティングを担当している河野です。
先日開催されましたCelonisの日本向けオンラインカンファレンス「Celosphere Japan 2020」をご紹介いたします。
本稿では「Celosphere Japan 2020」の中からBMWのプロセスマイニングへの取り組みについて興味のある方に向けて、「CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと」をご紹介いたします。
出典元リンク
CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと
https://portal.svpcloud.jp/celospherejp2020/
※アーカイブ配信
2020年7月28日(火)9:00~2020年10月30日(金)21:00
BMWでは、2016年よりプロセスマインングを取り入れ、業務改善に取り組んできました。
本稿では、BMWがプロセスマイニングを使ってどのような分野の業務を効率化したのか、また失敗事例を経て、どのような教訓を得たのかについて、ご紹介していきたいと思います。
「プロセスマイニングって何?」という方は、こちらをご覧ください。
プロセスマイニングとは
https://www.airitech.co.jp/service/process-mining/celonis/
BMWのプロセスマイニングへの取り組みと成功事例
BMWは、プロセスマイニングを使って、時間の節約、コストの削減、プロセスの透明化、品質の向上を行いました。
ここでは、BMWが具体的にどのような分野の業務を効率化したのか、ご紹介します。
出典:CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと
1. 不要な関税を節約
以前は、情報が不完全なために、多額の関税の支払いが発生していました。しかし、プロセスマイニングを使用することにより、たとえば、サプライヤーが期限までに納品しないような自動車の数を最小限に抑えることができるようになり、不要な関税の支払いをしなくてすむようになりました。
2.ロジスティクスにかかる時間を削減
自動車を工場からディーラーへ、さらにエンドユーザーに届けるのに、1日でも予定が遅延すると、BMWには多額のコストがかかっていました。しかし、ロジスティクスプロセスのボトルネックとなるプロセスや遅延にかかわる問題を明らかにし、解消することにより、ロジスティクスにかかる時間とコストを大幅に削減することができました。
3.車載ナビゲーションシステムの機能の最適化
BMW社員がITツールの機能をどのように使用しているかを観点に分析しました。これにより、不要な機能を取り除き、開発、メンテナンス、オペレーションコストを節約することができました。また、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながりました。
4.保証内容の改善
世界中の保証の事例を分析し、BMWの保証内容を改善するとともに、コストも節約しました。
5.変更管理の透明化
生産方法の変更、サプライヤーの変更、法的規制の変更、資金調達方法の変更について、これまで、プロセスに多くのITシステムと部門が介在しており、プロセスが非常に不透明でした。しかし、プロセスマイニングを使用することにより、プロセスが透明化できるようになりました。
6.生産・ロジスティクスにおけるプロセス改善
以前は、生産における課題が、ずっと後に見つかって、コストがかさむ原因になっていました。しかし、プロセスの安定性、スループット時間、在庫などが完全に透明化されるようになり、ロジスティクスにおける不要なコストの削減につながりました。
7.車両の最適なコストを分析
生産コストやエネルギー使用量を分析し、個々の車両について、最適な価格を設定しました。これにより、BMWにとって大幅な赤字を回避できるようになりました。
BMWの失敗事例から学ぶ教訓と改善
もちろん、BMWにおけるプロセスマイニングの活用は、成功ばかりではありませんでした。
失敗から得た教訓と改善についても言及しています。
具体的な失敗事例と改善方法を見てみましょう。
出典:CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと
1.プロセスの透明性の確保には、痛みと困難が伴う
プロセスマイニングに懐疑的な人々を時間をかけて説得しました。
2.分析の事業価値を数字で示すことが難しい
プロセス改善の必要性と事業価値により、分析に優先順位をつけました。
3.ボトムアップのアプローチだけでは難しい
BMWは、当初ボトムアップのアプローチを行っていましたが、それだけでは不十分であったため、スポンサーや経営陣の取り込みを行い、トップからの改革を推進しました。
4.主要ユーザーのプロセスマイニングへの取り込みが難しい
業務部門にコンピテンシーセンター(高い業績を上げる人の集まり)を設立して、主要ユーザーの業務に十分配慮しました。
5.データの取得と変換には、CoEの時間の最大60~70%が必要
CoE(組織を横断する部署)を設立し、タスクを最適化、標準化を推進しました。
6.ひとつのプロセスマイニングがすべての部署に通用するとは限らない
部署によってソリューションが異なるため、CoEは、各部門に合ったソリューションを洗い出しました。
7.技術の進歩が速い
Celosphereなどのカンファレンスに積極的に参加して、新しい技術の学習を心がけました。
BMWの今後の展望
BMWは、成功と失敗を経て、今後の展望について、次のように言及しています。
出典:CJC002:【導入事例】BMWプロセス・エクセレンスへのジェットコースターのようなジャーニーで学んだこと
1.クラウドへの移行
現在、プロセスマイニングは、データソースに直接接続する形で行っていますが、将来的には、IBC(Intelligent Business Cloud)に移行する予定です。
それには、まずプロセスマイニング関連のデータをBMWクラウドデータハブ(CDH)に移行して、IBCにつなぐ予定です。
2.機能の追加
ユーザーがプロセスの改善を直接実行できるように、Action Engine、タスクマイニング、SAPデータロードなどの抽出ツールなどの機能を追加する予定です。
3.EBITでプロセスマイニングを標準ツールに
EBIT(Earnings Before Interest and Taxes:利払前・税引前利益)を恒久的に改善するために、プロセスマイニングを標準ツールとする予定です。
4.プロセスマイニング、機械学習、RPAを組み合わせたシステムの構築
プロセスマイニング、機械学習、RPAの最適な組み合わせを、研究機関と協力して構築する予定です。
5.予測マイニング
プロセスが変更される前に予測する予測マイニングのシステムを作り、変化に素早く対応し、コスト削減を行う予定です。
6.エンドツーエンドのデジタルツインの作成
プロセスの一部ではなく、全体を最適化するために、エンドツーエンドのデジタルツインを作成する予定です。これにより、各ユーザーの業務が透明化できるようになるでしょう。
まとめ
BMWのプロセスマイニングによる改善は、決して平たんな道のりではありませんでした。
しかし、成功と失敗を冷静に分析し、失敗から得た教訓を今後に生かすことで、会社全体の利益につながっています。
これからプロセスマイニングを導入しようと考えている方、すでにプロセスマイニングを導入している方にとって、BMWの事例が少しでも参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
AiritechのCelonis導入・活用支援サービス
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https://www.airitech.co.jp/service/process-mining/celonis/
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