わたしの詩は世界を変えたりしない

パトリツィア・カヴァッリ(1947−2022)

誰かがわたしに言いました
あなたの詩が
世界を変えるはずがない。

わたしは答えます そうですとも
わたしの詩は
世界を変えたりしませんよ。


パトリツィア・カヴァッリの第一詩集『わたしの詩は世界を変えたりしない』(1974年)の巻頭に置かれた作品。詩集に収められた詩はどれもタイトルが付されていない。目次にはその詩の1行目が便宜的に題として載せられている(エミリー・ディキンスンのように)。したがって本作もタイトルはなく(「無題」という題すらない)、「誰かがわたしに言いました」という行から始まる。

「le mie poesie/non cambieranno il mondo」というフレーズが、第1連と第2連の双方に現れる。一方は誰かのセリフとして、他方はわたしのセリフとして。原文ではこの機械的なリフレインが効いており、詩集全体にも題した「わたしの詩は世界を変えたりしない」けれど、わたしは詩を書くという静かな闘志が伝わってくる。訳出の際には、少し口調を工夫してみた。インパクトの強いフレーズだが、イタリアの大作家エルサ・モランテに詩の才能を見出された彼女は、ここから詩的出発を果たすことになった。

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片田甥夕日(ゆうひん)
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