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【エッセイ】もっと自分の欲に素直に。
1歳の子どもは、なんの恐れも疑いも持たない。触れてみたいと思ったものに躊躇なく手を伸ばし、やりたいと思ったことを迷いなく身体全体で表現する。
私たち大人からすればなんてことないことも、とにかく楽しそうに何度でもやってみる。
そんな姿を見ていると、理性が身につき大人になるにつれ、どんどん自分を押し込めるようになってきたことを改めて感じる。
「これを言ったら、なんて思われるかな・・」
「こんなことしたら、自分らしくないよね」
「本当はあれをやってみたいけど、今じゃないか」
何かをしようとするときには決まって、心の声が制止をかけてくる。
・本当にそれでいいの?
・タイミングは合ってる?
・後悔しない?
・・・
それが理性というものだし、大人になるということ。
なんだけど。
無垢で無邪気で小さな存在を眺めていると、私たち大人ももっと自由でいいのかな、なんて思ったりする。
年齢や経済力、体力や知識を理由にやらない理由を探さず、一瞬でもワクワクした気持ちを見逃さない。
そんなふうに自分に素直に生きられたなら。
私たちは空を飛べないし、雲の上には乗れない。
今なら当たり前のようにわかるけれど、子どもの頃は夢見たものだ。
できる、できないを頭だけで判別するのではなく、夢を見るところからまた始めてみてもいいと思う。
***
もうすぐ2歳になる甥っ子は、よく笑う。少しでも楽しいと感じればにっこり歯を見せ、気に食わないことがあると唇を突き出す。はたまた顔をくしゃくしゃにして泣く。
自由で無邪気で尊くて、愛おしい存在だ。