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子どもの「最後」はいつも突然
保育園年長さんの娘。
いつからだっただろう。
園の玄関で、じゃあ行ってきます…と行こうとすると「ちょっと待って!」と熱烈に引き止められ、行ってらっしゃいのハイタッチ&ハグ&頭なでなでを3回する…というのが朝の恒例となっていた。
正直、ちょっと面倒だな~と思う日もあったが、それで娘が1日保育園で楽しく色々なことを頑張れるならまぁいいか…という感じで、毎朝この儀式(?)は続けられていた。
ある日。
いつものように朝送りに行くと、娘と仲良しのお友達が先に来ている。
「娘ちゃんおはよう!早く遊ぼうよー!」「おはよう~!」
年長さんともなると、会話もしっかり成り立つものだな…などと思っていたら。
娘は「じゃあねママ、行ってらっしゃい~」と、さらっと中に入ってしまった。
…あれ。
毎朝の「ルーティン」をやるものだと思っていた私の両手が、若干空を彷徨う。いつも迎えてくれる先生も「あらっ」という表情。
その日、「今日は早くお友達と遊びたいのね~」くらいにしか思わなかった。
さらに次の日。
やっぱり娘は「ママ行ってらっしゃい!」とニコニコ手を振って、あっという間にリュックを置いて、友達と遊び始めた。
その次の日、工作が大好きな娘は、季節の制作物の続きを一刻も早くやらねば!という勢いで上履きに履き替えていた。
やっぱりハイタッチもハグもしなかった。
ああ、もう「ママもう一回『むぎゅー』は?!」と、怒られることもないのか。
こうして少しずつ、「ママがすべて」の世界から抜け出して、君の世界は広がっていく。
そのうちに友達の方が大事になる日が来るのだろう。
保育園生活があと1年を切ったことも分かっていたのに。
娘がもう赤ちゃんでも、よちよちの幼児でもないことも日々感じていたのに。
まだまだ「親として」いる時間は長いし、やることもたくさんある。
でもほんの少し、肩の荷が下りた気分で、寂しいような嬉しいような気持だった。
わずかだが早く園を出れるようになった。空いた時間でコーヒーを買った。
今日も仕事だ。
お迎えに言ったらどんな話を聞かせてくれるだろう。