君を見つけた日#1
「ちょっと早く来すぎたかなぁ…」
大学のキャンパスには、
まだ朝の静けさが残っていた。
コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、
スマホを眺め、時間を潰していると、
後ろから軽やかな足音が聞こえてきた。
「おーはよ!○○」
振り返えると、そこには
笑顔で手を振っている理子の姿があった。
理子は誰からも愛されるような存在なのだが
彼女の人懐っこい笑顔と社交的な性格が
より一層そうさせているのだろう
そんな理子と俺は高校時代からの友人である
「あ!コーヒーもらうね!」
「どうぞ」
(○○からコーヒーを受け取る理子)
「相変わらず元気だな、理子は」
「だって~大学楽しいじゃん!」
○:( 楽しいねぇ….. )
○:( 一生経っても分かんないや笑 )
こんな何気ないやりとりが
俺らの日常の一部であり
ずっと変わらないものだと思っていた
が、
今日は少し違っていた
「そうだ、聞いてよ○○。」
「昨日サークルの後輩君に告白されちゃってさ」
○:へぇ…
俺は興味なさそうな感じで反応したが、
内心驚いていた。
確かに噂では理子はサークル内でも
人気者らしいが、
後輩から告白されるなんて予想しても
なかったからだ。
「でも、いきなり呼び出されて
『ずっと前から好きでした』って言われてさ。
相手は結構真剣な表情だったから、
ちょっとびっくりしちゃったよ//」
理子は照れくさそうに笑いながら話してきた。
「理子はなんて答えたの?」
少し気を引き締めて俺は聞いてみた。
すると…
「う~ん….断ったよ。
『今は誰とも付き合うつもりないんだ』って。
ほら、
りーってそういうの考えたことなかったからさ、
急に言われてもどうしたらいいか分かんないもん!」
○:良かったぁ…
理子の返答に、何故だか俺はホッとしていた。
だが、その安堵も束の間
「でもさ、、、
ちょっとだけ嬉しかったんだよね。//
誰かにそんな風に思われるのって、
悪くない気がして…」
そう言って両手でコーヒーカップを包み込み、
微かに笑みを浮かべていた。
だが、その顔は
普段の無邪気な笑顔とは違い、
少し大人びた表情に見えた。
○:( なんだろう、、このモヤモヤした感じ… )
その時、俺は理子を"ただの友人"と思って
接している、その距離感に対して微妙な違和感を
覚えるようになった
それからというもの俺は
何気ない会話の中で目が合った時や、
彼女が少し笑った時のその仕草が
何故か特別なものに感じてしまっていた。
きっと、以前の俺には無かった気持ちが
今の自分には芽生えているのは確かなのだろう。
でもその正体が何なのか、未だはっきりとせず
胸の中の騒めきが止むことはなかった。