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AOTY〜お気に入りアルバム2024~

今年リリースされたお気に入りのアルバムの紹介。拙い感想を添えてお送りします。
お気に入りジャーマンブラックメタル2024はこちら。


並びはリリース日順です。表記は「アルバム名/アーティスト名」になっています。


  • Exit Emotions / Blind Channel

「ヴァイオレントポップ」を標榜するフィンランドのバンド。
恐らく今年仕事中に最も聴いたであろうアルバム。
叩きつけられる衝動と躍動するリズムは、ふつふつと湧き上がる怒りをそっと流してくれる。易しくキャッチーなメロディも絶妙にツボ。

  • Requiem / Hell Boulevard

スイス産ゴシックメタル。
擦れた耳馴染みのいい旋律は健在で、重みのあるリフや退廃的なシンセ、優美なストリングスの音などそこかしこにドラマが仕込まれている。よりスケールが大きく進化した作品。

  • In the Twilight Grey / Necrophobic

スウェーデンのメロディックブラック/デスメタル。
冷気を放つブラストに鮮やかに耳を切り裂いていくトレモロ、W.A.S.P.のカバーも邪悪さマシマシでカッコイイ。攻撃性と叙情性の極上の絡みも健在。聴きやすく裏切らない。

  • Beneath the Threshold / Austere

オーストラリアのデプレブラック。
内から湧き出る感傷的な歌と色のない空を渡っていく憂鬱な旋律は、どこか夢見心地。秋雨のように生き急ぐことなく傷を慈しむ1枚。

  • Never, Neverland / Unto Others

オレゴン州ポートランド出身のゴシックメタルバンド。
ヘヴィメタルの重さにゴシックの艶やかさ、耽美な旋律に渋みもあるとても美味しい音楽。柔らかながらも芯がある歌声も心地よい。
『Suicide Today』の歌詞は個人的に心に響くものがありました。明日でもいいじゃん。生きてて良かった。

  • Silver Romance / Freedom call

いつもニコニコ楽しい旋律が飛び出すドイツ産ハッピーメタルは、陰の者にも優しい光のパワーメタル。今作はキラキラ降り注ぐシンセの音が所々強めな印象で、Synthpopも好きなオタクとしては耳が喜びます。『Supernova』とか。

  • Mister Misery / Mister Misery

スウェーデンのホラーゴシックメタル。
聴きやすく耳馴染みのいい旋律に覚えやすいサビ、時々首元を這う不気味な隠し味。怖すぎず甘すぎずのおとぎ話はいつ聴いても楽しい。

  • Pro Xristou / Rotting Christ

ギリシャのブラックメタル。
大地を揺らす一定のリズムに空に広がっていくコーラスは臨場感に溢れ、自身も彼らが織り成す儀式の一部になっていく感覚に陥る。祈りの力強さを感じさせる1枚でした。流石。

  • Don't Push this Button! / Solar Fake

ドイツのシンセポップ。
どこか翳りのある甘いシンセ、Svenさんの艶を含んだ歌唱でコーティングされた、病んだ世界を映し出す優美な黒いガラスの灯り。心の闇がキラキラと輝きを放つ美しい作品。

でも押すなよと言われたら押したくなるよね...

  • Les Chants de l'Aurore / Alcest

フランスのシューゲイザーブラック。
深く遠くまで木霊する轟音に淡い輝きと柔らかな歌声が舞い降りる、多幸感に溢れた音楽。黒とパステルカラーの織り成す夢。夢がいつもこれだけ綺麗だったらいいのにと思わずにはいられない。

  • Heresiarch / Ov Shadows

スウェーデン産メロディックブラック。
冷たくてちょっと甘い旋律、邪悪な音、尖った叫びが一体となり津波のように押し寄せ全てを飲み込んでいく。凄まじい暗黒のエネルギー。これがラストなんて言わず帰ってきてほしい。

  • Heavenly Down / Sear Bliss

トロンボーン奏者を擁するハンガリーの至宝アトモスブラック。
シンセの浮遊感あるサウンドが物憂げに煌めき、姿を変えていく深い闇を、荘厳なトロンボーンの旋律が貫いていく高揚感。最高です。

  • To the Stars / Nyktophobia

ドイツ産メロデス。
オールドスクールながっちりとしたリフやサウンドを、隅から隅までメランコリックな旋律が彩る。どんな時も叙情性を忘れないあたりがとてもジャーマン。良き。

  • La France des Maudits / Seth

フランス産ブラックメタル。
業火の如く滾る激しさに狂気が見え隠れし、どこか懐かしく寂しい旋律が昇っていく。心の芯まで黒い熱に焼かれる1枚。
余談ですがタイトルを見た時フランクの交響詩Le chasseur mauditを思い出しました。

  • Nordic Gothic / Cemetery Skyline

今年のアルバムを1枚だけ選ぶとしたら多分これになるでしょう。タイトルに偽りなし。冷たく潤いのある旋律、夜空に煌めくシンセ、揺れるリズムに優しさを含んだ歌声まで完璧。ありがとうNordic Gothic(アルバムタイトルのインパクトが強くてバンド名忘れる)

  • Endtime Signals / Dark Tranquillity

スウェーデン産
MELODIC  DEATH  METAL
瑞々しく軽やかさのある旋律、心を激しく揺さぶる慟哭のリフ、全てが美しく噛み合い音楽を形作る。光が反射する群青色の湖。実に綺麗。

  • Songs of Blood and Mire / Spectral Wound

カナダはモントリオールのブラックメタル。
冷気を纏ってザクザクと進みつつも、随所で琴線に触れる旋律が聴こえる。ブラックンロールの要素もありつつ緩急で生み出されるドラマが素敵。今年トップクオリティの作品。

  • The Crescent King / Livløs

デンマーク産メロデス。
重々しいリフが空間を揺らし、繊細に緻密に歌う旋律が駆け回る。疾走も慟哭も憂鬱も自在に操り、世界を広げていく。更なる高みへ昇っていく1枚。

  • Muuntautuja / Oranssi Pazuzu

フィンランドの摩訶不思議音楽集団。
「どこを向いているのか分からない奇怪な旋律と複雑なリズムを沢山かき混ぜてひねり潰した」ような、人の内面を抉ってくる音楽。前作はもうちょい人間味あった気がする。どっちも好きです。

  • Coma / Gaerea

ポルトガルのポストブラック。
幾重にも重ねられた音の壁と緻密なトレモロに、どこか優しさを感じさせる旋律と凛と響く神聖なクワイア。現実に押しつぶされそうになりながらも、天から射し込む一筋の光に希望を見出す、美しい1枚。

  • Sub Rosa In Æternum / Tribulation

スウェーデンのゴシックロック。
妖しい雰囲気を纏う旋律に軽やかなリズム、低く掠れた歌声も相まって、メタル色は薄く、より退廃的な雰囲気が強くなったように感じる。
一方で耳に残るキャッチーさと僅かな死の匂いは健在で、聴きにくさはなく楽しめる作品。

(ジャーマンブラック好きとしてはSecrets of the Moonの変遷を何となく思い出しました)

  • XⅡ: A Gyönyörü Álmok Ezután Jönnek / Thy Catafalque

ハンガリー産アヴァンギャルドメタル。
重く激しいメタルの土台に、民族音楽調の旋律、浮動するシンセ...様々な音や声が入り乱れて形作られる絵巻。土の匂い、花の匂い、鉄の匂い、無機質と豊かな色彩が同居するハンガリーの景色。

  • Rendülletlenül / Vrag

ハンガリー産ブラックメタル。
今にも切れそうな細い弦のような儚さをまとった旋律は、鬱屈とした感情を炙り出す。光に背を向けて己の闇と戦う、強さもある1枚。

  • The Skies Above Eternity / Fellowship

イギリスのパワーメタル。
滑らかで上品でほんわり明るい旋律の数々が、程よく心に栄養を与え、気持ちを上向きにさせてくれる。いい意味で派手すぎず、胃もたれしない優しい味わい。

  • Letters to the Future Self / Khors

ウクライナ産アトモスブラック。
広大な空間に冷たく広がるシンフォニックな音に、ノスタルジーを宿した旋律が痛切に訴えかけてくる。先の見えない薄暗い道を歩いているような感覚になる。どうしても彼らの現状に思いを巡らさずにはいられない1枚。


以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
良いお年を!


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