
飛んで火に入る…いや、外耳道に入る迷惑な虫の話
早いもので暦は10月、暑すぎず寒すぎず、ちょうど過ごしやすい気候になってきました。
しかし、この時期には人間の天敵である蚊の活動も活発になります。蚊と言えば夏のイメージが強いですが、この数十年で真夏の最高気温は上昇し続け、夏の真っ盛りには姿を現さなくなりました。むしろ涼しくなる春秋と、稀に冬の室内でも飛んでいるのを見かけることがあります。
個人的には、蚊が一番嫌いです。何より伝染病の媒介者となる危険な虫であり、人間に対して積極的に危害を与えに来る存在は、百害あって一利なしです。
血を吸うだけに飽き足らず、わざわざ痒みを伴わせるのも我慢なりません。まだ痒みさえなければ、そこまで不快な思いをしなくて済むのに、といつも思います。
電気を消した途端に耳元でブーンと飛び回るのも迷惑極まりないです。退治しようと電気を点けるとすぐに居なくなり、電気を消すとまた耳元で飛び回るのは本当に勘弁して欲しいです。それは昔、虫が耳の奥に入ってしまい、耳鼻科へ行って取ってもらった苦い経験があるからです。
夜中の朝刊配達をしていた時、急に耳の傍で虫の羽音が鳴り、虫がそのまま耳の奥へ入って行ってしまいました。耳にライトを当てると出てくることが多いと聞いたのですが、ヘッドライトで耳を照らしても一向に出て来ず、鼓膜付近の不気味なガサガサ音に耐えつつ配達を終えました。
生活のリズムが一般の社会人の方と違って、朝刊配達を終えてから午前中に眠るため、いつも起きるのはお昼前になります。寝ている間も、時々耳のガサガサ音が鳴るのですが、その普通じゃない状況にも少しずつ慣れてしまっている自分が居ました。
夕刊配達を終えて、外が暗くなる前に近くの総合病院に足を運んだのですが、呑気なのは当の本人だけだったようで、状況を説明した途端にすぐに急患扱いで診察が始まりました。
お医者さんがスコープで耳の中を見ると、虫がかなり活発に動いていたようです。
医「(虫の)足が動いていますね…」
こ「動いてますよね」
医「…平気なんですか?」
こ「だいぶ慣れてきました」
医「今、かなり深刻な事態なんですけどね」
お医者さんによると、手術の一歩手前の状況だったらしく、虫の足が鼓膜付近をかなり元気に引っ掻き回していました。私が夕方まで呑気に放置していたのも一因なのですが…。
ようやく邪魔な虫も取り除かれ、耳の奥の傷に軟膏を塗ってもらい、その後も2回ほど病院に通ってようやく治りました。
その件以来、寝ている時に蚊が耳元に近づくと、備えとしてヘッドホンで耳を塞ぐようにしています。最悪耳に入ることさえ防げれば、不本意ではありますが、刺されることまでは甘んじて受け入れようと思います。
それにしても本当に、お願いですから勘弁して下さい。