いち舞台オタクの日常がコロナ禍で激変した記録~楽しみ方を探る日々について~
新型コロナウイルスの蔓延によってわたしたちの生活は大きく変化しました。演劇をめぐる日々についても、大きな変化が起こっています。
これはコロナ禍の中で、演劇をめぐって私自身に起きた変化、そして私が日々の過ごし方を探る過程を書いた記録です。
いつか何かの参考になればいいなと思って、記すことにします。
観劇ライフの変化
ちなみにこれまでの私の観劇ライフはこんな感じ。↓
・関東在住
・観劇は年に30~50回くらい(平均で月に3~4回くらい)
・遠征はたまに
それが2020年3月以降↓
・チケットを取っていたけれど観られなくなってしまった作品:19公演
・チケットを取ろうと思っていたけれど取る前に中止が決まった作品:2公演
・上演はされたけれど観るのを断念した作品:2公演
・実際に観劇できた作品:1公演
・オンラインで観劇した作品:4公演
か、悲しい~!
数字にしてみると改めてずしりと来ますね…私の周りだけでもこんなにも沢山の公演が消えてしまっていたのか…
心境の変化
・悲しみと焦り期(3月~5月ごろ)
3月後半~緊急事態宣言発令当初は、舞台やイベントの中止がとにかく悲しく、ひたすら嘆いていました。
同時にチケットを持っている公演のゆくえが気になり、「早く収束してくれないとあれもこれも中止になってしまう…」と焦っていた気がします。今思えば、私がひとり焦ってもどうしようもないんですけど…。
・願掛け期(5月~7月ごろ)
5月を過ぎると、予定されている舞台のチケットを片端から取るようになりました。「これが上演される頃には少しでも状況が落ち着いてくれますように」の意味をこめた願掛けです。この頃は申込みと払い戻しの虚しいループをひたすら繰り返しています。
・消沈期(7月~9月ごろ)
観劇ができない日々が続き、落ち込みが激しくなってきたころ。いかに舞台が自分の生活を助けてくれていたかを思い知ったころでもあります。
落ち込みすぎて&心的コストが高くなってしまって(後述します)、公演は再開されたものの劇場に行く気力そのものが削がれてしまった時期もありました。
・復活期(9月~)
少しずつ、観劇ライフを取り戻そうとしています。どうしても今までのようにすっかり元通りとはいかないけれど、形は少し変わっても、私の愛する演劇たちがこれからも続いていくように。
「劇場に行く」行為の変化
◎観劇スタイルの変化
もちろんですが、「感染対策の徹底」という最重要項目が加わりました。
コロナ禍になってから劇場に行ったのはまだ1回ですが、運営側も、そして我々観客側もできる限りの感染対策を行っており、きちんと安心できる場だったという印象です。
劇場で行われていた感染対策についても記録しておきます(参考までに、観に行った作品は「舞台 刀剣乱舞(於・日本青年館)」でした)
・間隔をあけた整列
・入り口で足裏の消毒、手指の消毒、非接触型検温
・観客側でチケットのもぎりをする
・上演前の窓の開放、換気扇を使った換気
・前後左右で一席ずつ空けた席配置(※当時のガイドラインによる)
・劇場内での飲食禁止(ロビーでの禁止はされていなかったが、飲食をしている観客は見かけなかった)
・物販の中止
・最前列のフェイスガード着用
・時間差をつけての規制退場
(・劇場内での観客同士のお喋りもほとんどなかった(自主規制))
◎劇場に行くことの「心的コスト」
しっかり対策していても、「もしこれで感染してしまったらどうしよう」「私自身が感染源になってクラスターを発生させてしまったらどうしよう」という不安は、人の多い場に行く以上どうしてもついて回ってきてしまいます。
実際に劇場クラスターが発生してしまった事実もあり、「劇場に行く」という行為自体が、これまでほど気軽なものではなくなってしまったのは事実です。(これまでは、たまたま仕事が早く終わった夜に劇場までダッシュして、開演5分前に当日券を買いロビーでコンビニおにぎりを口に詰め込んで席に滑り込む…とか、普通にやっていたのにな…。もうできない…。)
きちんと対策を取ったうえでの観劇に、必要以上に怯えないように。そういう頭と心のバランスを取っていくための時間も、今は必要かなと思っています。
オンライン配信という変化
コロナ禍で一気に発展したのが、オンライン配信。
劇場で公演されているものの生配信/アーカイブ配信だけでなく、最初から配信のみの形態で発表される作品も増えました。
◎オンライン配信の良いところ
・アーカイブのある配信は期間中いつでも観られる
真夜中でも休日でも、時間のあるときに観られるのは大きいです。
・値段が安い
比較的気軽に観れます!舞台のチケットが値上がりしている今、このお値段の差は地味にお財布に効く。
・申し込んだら必ず見られる
チケット戦争の必要がない!各先行の日程を書き出して倍率を読み、当落発表のたびにハラハラしなくていい!申し込み締切をうっかり逃して落ち込む必要もない!正直、ものすごく気分が楽。
・他人におすすめしやすい
過去舞台の配信にも思うけれど、配信スタイルはすごく布教しやすい!確実に見られてお値段もそこまでしないので、他人にすすめやすく沼に落としやすいです。ふふふ。みんなハマるがよいよ。
・細かい表情が見られる
ライブビューイングや円盤同様、細かい仕草や表情をアップで見やすいので、現地とはまた違った魅力があります。
・カメラワークの魅力
コロナ禍以降、配信のカメラワークのクオリティは急速に進化しています。
最近は、最前列アングル/全景アングル/キャラクタースイッチングなど、様々なバージョンの配信を作ってくれるところも出てきていて、新しい楽しみ方もできるようになっています。
◎オンライン配信のデメリット
・家だと時間を取りづらい
コロナ禍で改めて気づいたのが、「劇場は日常と切り離された空間だったのだな…」ということ。
家にいると、どうしても2時間を集中できないんですよね。つい「ながら見」になってしまったり、途中で席を立ったり。
同居人がいると更に自分の時間は取りづらくなる印象です。劇場に出かけてしまえば2時間集中するのは比較的簡単だけど、体は家にいるのに「今は話しかけないで」をするのは結構難しい。
・カメラワークの良し悪し
カメラが入って細かい表情が見られるのは勿論メリットではあるけど、そのぶん他のところを見ることができないというデメリットにもなります。
舞台上のどこを見ていても良い自由さが舞台観劇の魅力のひとつでもあると思うので、配信でそれが失われがちなのは惜しい(先述したマルチアングルなども最近は出てきていますが)。
・臨場感
生の音響、迫力はやはり替えがたいものがあります。家のPCの小さな画面ではどうしても違ってきてしまうな、というのが正直な実感です。
オンライン配信をより楽しむために
変化した観劇スタイルを、ただ嘆くだけでなくより楽しむために。いくつか始めた工夫も記しておこうと思います。
・誰かと一緒に観る
とても楽しかったのが、友達と通話を繋ぎながら観るスタイル。いわばリモート鑑賞会ですね!
誰かと一緒だと家でも集中しやすい、鑑賞中や鑑賞後に感想を言い合える、と、メリットばかりでした。リアルタイムの配信だとそれぞれのタイムラグもなくて良いです。
・割りきって2~3回に分けて観る
アーカイブが残るタイプの配信の時は、家では時間が取れないと割りきって2~3回に分けて観るのもまた良しでした。2時間半を確保するのは難しくても、1時間くらいなら大丈夫な時は結構あります。せっかく自由度の高い配信スタイルですから、活用していきたいものです。
コロナ禍で影響を受けまくった観劇生活。
作り手の皆様ももちろんですが、受け手たる私達もまだまだ試行錯誤していくんだろうな、と思います。
エンターテイメントの灯をつなぐ日々が、少しずつでも良い方向に向かいますように。