研究者のための英語勉強法:国際学会準備編
博士号取得を目指す皆さんにとって、国際学会での発表は避けて通れない重要なステップです。特に、質疑応答のセッションは、多くの研究者にとって大きな挑戦となります。質疑応答のプロセスを考えただけで、心が重くなるかもしれません
① 英語の質問を正確にリスニングする。
② 頭の中で質問の意図を迅速に解釈する。
③ 日本語で適切な回答を考える。
④ その回答を英語に変換する。
⑤ 最後に、その英語を正確に発音する。
この一連のステップを、質問が投げかけられてからわずかな時間内に処理する必要があります。確かに、これは頭をフル回転させる作業であり、多くの研究者にとってはかなり高いハードルです。
しかし、英語スキルを向上させることができれば、このハードルを乗り越えることができます。国際学会での発表への参加がぐっと身近なものになり、あなたは文字通り世界で戦える人材へと変わることができます。国際的な舞台で自分の研究を発表し、多様なバックグラウンドを持つ研究者たちと交流することで、あなたの研究、そしてキャリアに計り知れない価値をもたらすことでしょう。
私は、会社に通いながら社会人ドクターとして研究に励み、入学してから三年間で博士号を取得することができました。今回は、私が実践していた英語スキルを向上させるための効果的なアプローチを紹介します。社会人ドクターにご興味がある方は、下記の記事もご覧ください。
1. 英単語学習
上記の①〜⑤のプロセス全てに共通して必要なものは、英単語の習得です。プロセスを脳内で処理するためには、英単語の基盤があってこそです。英単語習得を効果的に行うためには、日常会話用の単語と専門用語の二つのカテゴリーに焦点を当てることが重要です。日常会話用の単語学習には、英単語帳『DUO』を活用し、繰り返し復習するのが効果的です。英単語帳の復習用CDもまた、正確な発音の学習に役立ちます。
一方で、専門用語については、自分の研究分野に関連する論文を積極的に読むことが最善のアプローチです。専門用語はその使用コンテキストを理解することが重要であり、論文を読むことでその用語がどのように使われるかを学べます。
また、英単語に毎日触れることの重要性を忘れてはなりません。通勤中や就寝前など、一日の中で英単語学習のための固定された時間を設けることをお勧めします。わずか10分間でも、この習慣を継続することで、長期的に見て英語力の大幅な向上が期待できます。時間を見つけては、自分が興味を持つトピックや研究分野に関連する英語のコンテンツに触れるようにしましょう。
2. 論文の音読とシャドーイング
専門分野の英語論文を音読することは、正確な発音を身につけ、英語での思考プロセスを養うための非常に有効な手法です。この練習を最大限に活用するために、自分の研究分野に密接に関連する文献を選び、可能であれば自身が執筆に関わった論文を使用することが理想的です。選んだ論文を日々音読し、慣れてきたらシャドーイング(聞いた内容を追って発言する練習)を取り入れることで、リスニングとスピーキングの両方のスキルを同時に向上させることができます。
このプロセスは特に、英語の質問を正確にリスニングし、頭の中で質問の意図を迅速に解釈する能力を養うのに役立ちます。シャドーイングは、実際の質疑応答の場で即座に反応する訓練になります。さらに、Google翻訳の読み上げ機能を利用することで、より正確な発音での練習が可能になり、自然な英語のリズムとイントネーションを身につけることができます。
この練習法を定期的に行うことで、英語での発表やディスカッションにおいて自信を持って話すことができるようになります。また、研究内容を英語で明確に伝える能力が向上するため、プレゼンテーションや質疑応答でのパフォーマンスが格段にアップします。このように、専門分野の論文を用いた音読とシャドーイングは、英語コミュニケーション能力の向上に非常に効果的な手段となります。
3. 英語での日記作成
英語で日記を書くことは、自分の考えや感じたことを英語で表現する絶好の練習方法です。日常生活で起こった出来事や自分の感情を英語で記録することで、日常的な表現や文法をアウトプットする良い練習になります。具体的には、「英語で4行日記」がおすすめです。この方法では、その日の出来事や学んだこと、感じたこと、次に取り組みたいことなど、4行で記載します。4行なので毎日続けるハードルが下がり、習慣化しやすいと思います。また、この習慣は、日々の研究活動や仕事の振り返りにも役立ち、自己成長につながる一石二鳥の効果を得ることが可能です。
このように英語で日記をつけることは、英語の学習を日常生活に溶け込ませるための有効な方法です。日記を通じて、自然な文脈で新しい単語や表現を学び、使いこなすことができるようになります。継続することで、英語での思考が自然になり、より流暢に英語を話せるようになるでしょう。
4. ChatGPTを活用した実践的な会話練習
ChatGPTのボイスチャット機能を利用することで、実際の会話練習を手軽に行うことが可能です。英語の上達には実際に会話する機会が不可欠であり、理想的には英会話教室などで生のコミュニケーションを積むことが推奨されます。しかし、英会話教室への通学が金銭的、時間的な制約で難しい場合、ChatGPTのボイスチャットは非常に有効な代替手段となります。
ChatGPTを用いる最大のメリットの一つは、専門的な話題にも柔軟に対応でき、的確な質問を提供してくれる点です。これにより、研究者や学者が国際学会で遭遇するような質疑応答のシナリオを事前にシミュレーションし、実践的な対応能力を養うことができます。また、ChatGPTはユーザーの入力に基づいて即座に応答を返すため、リアルタイムでの会話練習が可能となり、即時反応のスキルも同時に向上します。
これらの方法を通じて、英語スキルを段階的に向上させることができます。英語力の向上は、国際学会での発表だけでなく、研究者としてのキャリア全体にわたって有益な投資となりますので、頑張って身につけましょう。
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