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一歩一歩

朝ドラ『ひよっこ』の大円団がすばらしくよかった。

ひよっこのままのみねこの日常は、ただ一歩一歩がんばることの素晴らしさを教えてくれた。

『ひよっこ』には常に“悲しみ”がじんわり潜んでいた。戦争やお父さんや恋人との別れ、親との確執…。

「この世は悲しいことばかり
君なしではとても生きて行けそうにない」
(涙くんさよなら)

くらいに。

そして、みんながどこかでその悲しみを越えてはいけないんじゃないかと感じていて。
でも、みんなが日常の中でそれを越えた。

「悲しいできごとに幸せな出会いが勝ったんだ!」(宗男さん)

悲しいことがあっても、恋をするし、笑うことだってある。それを肯定していいとみんなが学んでいった。

半年間丁寧に描かれた日常。
三歩進んで、二歩下がる。そうやって一歩一歩ゆっくり進む中でみねこは常に“がんばっぺ”と言っていた。

だけど、みねこの“がんばる”は何かを変えようとするものではなく、ただ毎日を真摯に生きるということに終始した。

私が生きるこの世界では、がんばるということは、結果や変化を求められることばかりだ。
なによりも自分自身がそれを求めてしまうけど、それはもう、ちょっといいかなって。

みねこのように一歩一歩踏みしめていきたいと思った。みねこのようにがんばりたいと思った。


これもまた3.11以降の作品なのだと思う。

“がんばる”という言葉の意味、“悲しい”という感情との向き合い方が変わったあの日からもうすぐ7年。

今このドラマに出会えて本当によかった。
明日もがんばっぺ。



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