元27歳病が観た、映画「南瓜とマヨネーズ」
私はかつて27歳だった。
今32歳なので当然といえば当然なのだけど。
昨日観た映画「南瓜とマヨネーズ」のツチダもまた27歳だった。
思い描いてた未来とはかけ離れた現実。
永遠に続いていくかのような、とりとめのない日常。
惰性、怠慢、なし崩し、言い訳、そして酒。
未来なんて見えないし、来月のことすら考えたくない。
そのすべてと、そんなすべてに甘んじている自分に対する漫然とした苛立ち。
常に酒とタバコの香りに包まれていたかのように視界はスモークがかかっていて、髪の毛に染み付いた妙に甘ったるい夜の臭いが取れない。
そんな27歳だった。
ツチダの27歳を私も知っている。
あのとき一緒にいた男の子のことを、私はちゃんと好きだったのだろうか。
今会ったら、あだ名を呼びながら駆け寄ることはできるのだろうか。
きっと、あれから5歳年を取り、32歳になったからそう思うだけだと知っている。
でも、あれから月日が経ったからこそ、その日々が愛おしい日常だったことにも気づいたのだ。
あだ名を呼んで駆け寄れないのは、当時の自分に対する恥ずかしさだけじゃなくて、口元が緩むような幸せがひさびさの照れ臭さを呼び起こすから。