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苦手な言葉はありますか
私の祖父が非常に厳格な人でした。家に遊びに行っても「この本を読み終わって、感想文を書くまで部屋から出ないでよろしい」と言われ、ベソかいていた記憶があります。
おかげで昔から国語の成績は良く、言葉にも大きな関心を抱くようになりました。文学部に進学し日本語学を専攻したのも、その為でした。
そんな私には苦手な言葉...というよりも嫌いになってしまった言葉があります。バカとかクソとか、悪い意味で使われている言葉ではなく、悪い意味を全く持たない言葉です。
聞いたことのない日本人はいないであろう、ポピュラーな言葉...。
それは...
絶景
という言葉です。
世間では普通に使われている言葉ですよね。辞書で意味を調べてみても「すぐれた景色」という良い意味しか出てきません。
私がへそ曲がりに思えるでしょう?
私も以前は嫌いではありませんでした。普通に使い、良い言葉にカテゴライズされていたのです。
では、なぜ嫌いになってしまったか。
それは、言葉が薄っぺらく聞こえるようになってしまったからです。SNSが全盛期を迎え、自分で撮った写真を「絶景」としてアップロードするムーブメントが生まれました。個人がいくら使っても良いのです。しかしマスコミや、旅行会社の広告にも「絶景」の文字が踊ります。
いわゆる絶景と呼ばれる景色は、私も好きです。是非行ってみたいとも思います。ただ、言葉があまりにも薄い...絶景と使えば人が集まる、視聴率が取れる。そんな使い方がされている気がしてならないのです。
故に、絶景アレルギーとも呼べる言葉嫌いが、私の中に生まれました。
人間の流行に乗った営みが、ある言葉を軽いものにしてしまった....へそ曲がりの私は非常に残念に思います。