美容業界でもフリーランス化が浸透

エステティシャン、セラピスト、ネイリスト……美容サービス業に関わる人たちは技術職でありながら、働き方の選択肢に自由が利かないところがありました。自分に顧客がついて次のステップへ、いざ独立!
サロンを開業するとなればコスト的にも精神的にも、大きな負荷がかかり相当な覚悟が必要です。

ところがこの数年、周りの美容サービス従事者で、フリーランスとして独立する人が増えてきています。


フリーランスの市場拡大

クラウドソーシングのプラットフォーム「ランサーズ」が昨年発表した調査リリースによると、2021年10月時点でのフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円。(調査実施期間:2021年9月30日~10月4日)

同社が調査を開始した2015年との比較では、フリーランス人口 が+68.3%(640万人)、経済規模 +62.7%(9.2兆円)、ともに増加傾向にあります。

また2020年1月の調査では、フリーランス人口は1,062万人、経済規模は17.6兆円だったことから、コロナ禍でフリーランス市場は大きく拡大したとのこと。

https://www.lancers.co.jp/news/pr/21013/

出典)ランサーズ『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』

コロナ禍で必ずしも望んでの選択ではなかったケースもあるかもしれませんが、これを機に組織を離れても「個人として生きていくには何をすべきか⁇」と考えた人が多かったのではないかと想像します。

フリーランスで取引される業種

このクラウドソーシングのシステム、私も会社を辞めてフリーランスとしてスタートする時には、活用させてもらいました。登録したのは2015年頃。その当時、取引されていた案件は、制作系の業務がメインでした。私が受注できたのは、脱毛・スキンケア・エステ等の美容関連記事のライティング。その後、広報業務を受注できたのは、しばらく経ってからのことです。
元々フリーランスの文化があったデザイナー、ライター、エンジニア、プログラマーなどの職種が主力の土壌でしたが、今、クラウドソーシング市場で取引される業務内容は、制作系から経理や総務などのバックオフィス系、営業、秘書、広報などの専門業務に至るまでになっています。

全体的に取引される業務のカテゴリーが大幅に拡大しているなぁと思います。


美容業界にフリーランス化を推し進める革命的存在

美容師・アイリスト・ネイリスト向けのシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON」が、2017年、原宿にオープン。以来、店舗数増加、登録したフリーランスの美容師向けの集客プログラムの提供をスタートするなど、内容も拡充しています。

エステなど美容・リラクゼーションサロンの業界でも、フリーランス化は進んでいます。その選択肢を持てる環境が整ったというニュアンスが近いと思います。

レンタルスペースの予約サービスの中にも、エステルーム(施術用のベッドやホットキャビン、ワゴンなどの備品類を備えたエステティックサロンに特化したスペース)が充実しています。美容サービスに特化した開業サポートを得られる個室型のシェアサロンも続々と増えています。

プラットフォームを介して開業コストを押さえてスタートできるので、シェアサロンと施術者をマッチングするプラットフォームの存在は、美容サービス従事者にとっては、働き方の革命的存在です。


ウェルネスサービスの市場拡大

人生100年時代といわれるようになり高齢化社会の到来で、人々の美容や健康意識は高まり、今後も注目の業界です。さらにコロナ禍、多方面でオンライン化が進んで対面の機会が減ると、人とのコミュニケーションの価値がより特別なものになることを今、多くの人が実感していると思います。
メンタルヘルスは、今後ますます需要が見込まれる領域です。

エステやリラクゼーションサロンは、施術者との交流そのものが心理的な癒しになるため、美容サービスの従事者は、活躍の場が拡がることと思います。


まとめ

美容サービスの従事者は、手に職をつけた専門家にも関わらず、経験を積んで自分に顧客がついても、働き方に自由が利かないため、その先のキャリアアップの選択肢(道)は限られていました。

シェアサロン(場所)と施術者をマッチングするプラットフォームのおかげで、技術に自信のある人が、フリーランスという働き方の選択肢を持てるようになったこと、これは革命的なことだと思います。

需要も広く見込まれる業界で、今後、フリーランスで活躍するセラピストはますます増えると思います。美容サービスの業界は、人に顧客がつきます。“天職”と言われるような技術者たちが「ワーク・ライフ・バランス」を実現して、長くその世界に携わっていける社会になるように期待しています。


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