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チューハイ少女にはなれない
わたしは好きな人はとことん好きになる。しつこいぐらい好きになってどんどん好きなところを見つけて諦めきれなくなる。
…という話は散々してきた。
たまーにいい感じの人との話とかもあるし、それを楽しんでるときもあるけど、そうじゃない、本当に別に嫌いなわけじゃないけど恋愛感情のれの字も持ってなかった人からの「恋愛的な好意」を向けられたり、匂わされたりするのがめちゃくちゃ苦手である。
自分は散々愛すのにそれでいいのかという感じだか、それはそれ、これはこれ。
というか、振られる相手側の気持ちがわかりすぎて、それが私なのが申し訳なさすぎてしんどくなる。
それに気がついたのは大学生になってから。
ただただback numberがお互いにめちゃくちゃ好きで、ただひたすらback numberの話をしていただけなのに、何を思ったか私を好きになったらしく、back numberのライブの帰りに告られた。
本当に友達だと思っていたので丁重にお断りしたが、そのあとしばらく気まずくなってしまった。(卒業式の日に写真を撮るくらいには戻った)
中学から高校まで付き合っていた彼氏のこともどうしても好きになれなかったこともそのせいだと思う。先輩としては好きなんだけどどうしても同じ気持ちの大きさにはならなくて、申し訳なさすぎてお別れした。
そんなこんなで拗らし真っ直ぐ一人しか見れない不器用なわたしが、職場の人にご飯に誘われてしまった。
別に嫌いではないし、むしろ職場では仲のいい方だったので承諾したが、だんだん「これは好意的なものなのか……?」と思うようになった。
そうなったらおわり、確証があるわけではないのに気まずくて仕方がない。思わせぶりな態度をとるのも嫌だし、私は好きな人がいる。さらに来年の3月までは確実に一緒に働くことが決まってる。それにしても気まずい。
不器用すぎて笑うくらい、ぎこちなくなってしまった。
とりあえず友達何人かに相談して、「好きな人がいると宣言をする、告白は絶対に確証がないとしてこないはずだから大丈夫」とアドバイスを受けたが、就業時間の終わりが近づくほど胃が重くなった。なんなら「この一回のご飯代も好きな人に使いたいのに…」と思うくらいには、気が重かった。(申し訳ない)
仕事終わりだったけど家に帰る時間はあったので着替えて、普段はつけていないピアスをつけて、メイクを軽く直して、ヒールを履いて出かけた。
ご飯自体は楽しくて仕事の話ばっかりだったけど、話は続いた。
でも家に着いてからほっぺが痛いことと、気を張ってしゃべり続けたことと、あんまり味を覚えていないことに気付いた。
仕事モードに無意識に入っていたようで、笑顔を貼り付けて、話が途切れるのがいやで饒舌になっていたし、パスタをこぼさないように、残さないためにお腹いっぱいと思わないように食べ続けてた。
結局恋愛の話になることはなく、好きな人がいると言えなかったけど、「明日髪を切るんです」に対して「楽しみにしている」と言われてしまった。
ご飯を食べ終わると同期から8件の通知が来ていた。好意を持ってくれてるかもしれない人とのご飯よりも、好きな人とのLINEの方がうれしいと思ってしまった。
何より同期と食べるご飯はなんでも美味しくて、よく踊っていたのを思い出した。無理やり食べたパスタが気持ち悪い。
よく考えると、同期を好きになってちょうど2年くらいだった。2年で失ったものも多いし彼女には慣れていないけど、同期への信頼も同期からの信頼も得た自信はある。
髪を切ることに対して「楽しみにしている」と言われたことを思い出して、かなしくなってしまった。
だって私が髪を切るのは一週間後に同期に会うのに合わせてだし,何より自分のためだし。
好きな服を着てみたり、メイクを直してヒールまで履いてみたけど、なんとなく、減るもんじゃない可愛さを消費された気がしてしまった。今度同期に会うのに少し減ってしまった気がする。減るもんじゃないのに。
そんな感覚が嫌で、帰った瞬間ピアスを外して服を脱いだ。
別に彼氏がいるわけじゃないんだから、思わせぶりな態度をとって、手の上で転がすのもいいじゃんと言われたけど、やっぱり性格上無理だと思った。なんならダメージがでかすぎる。
私はノンアルチューハイガールにはなれない人種なのだ。胸が痛むくらいの好きなんて好きな人以外いらない。他の人との夏なんて来なくていい。
好きな人たちとだけの夏が欲しい。