52|男の子だったらよかったのに、と思った日
私は、かわいいものが大好きで、女の子である自分にもとても満足している。
センスはないけど、可愛らしいお洋服やメイクも好き。ふわふわのスカートを履いて、キラキラのアクセサリーをつけている時は、女の子でよかったなと思う。
でも、この間、はじめて「男の子になりたかった」と思った。
私がもしも男の子だったら、
あの子たちと遊びに行けたのかな、
旅行に行けたのかな、
君の違う一面を知れたのかな。
そんなことを考えた。
元々、異性の友だちが多かったわけではないが、改めて振り返ると、少ないわけでもなかったように思う。
小中と、仲のいい友だちは、異性も同性も半分ずつくらい。高校は、圧倒的に女子ばかりだったけれど、昔からの友だちとはずっと仲良くしていた。
幼なじみの男の子が20歳になった時は、お花を渡しにおうちまで行ったし、地元を離れた今でもご飯に誘ってくれる男の子がいる。
この間あった小学校の同窓会では、男の子とばっかり話していた。
もちろんここに書ききれないくらい、仲のいい女の子たちもいるのだけど、なんというか、私は、大勢で群れるとか、常に誰かと共に行動するとか、気をつかって服装を褒め合うとか、そういう女子のノリが苦手である。
いつもどこか、一歩引いて見ている自分がいる。
キャーキャーしている女の子たちを見ると、あぁ私はそこに入れないなと思ってしまう。
対して男の子たちは、あんまりそういう感じがない。いい意味で、私を丁寧に扱ったりしない。ずかずか踏み込んでくる。そんな適当さが心地よくて、一緒にいてしまうというところもあるのかもしれない。
大学でもそう。
同期も後輩もみんなと話すし、仲はいいのだが、私の中での「一緒に遊べるひと」のハードルが高く、簡単に部活外で会ったりしない。
だからこそ、仲のいい子たちとはもっと遊びたいなと思うんだけれども。
なぜか仲良くなるのは男の子たちで。
部活後、男女関係なく一緒にご飯行ったり、飲みに行ったりする。
男の子3人と、私とか、よくある。
彼らに、「君のことはもはや異性だと思っていない」と言われるくらい、お互い“友だち”として一緒に楽しんでいる。
そして後日、彼ら3人で遊びに行ったりしているのを見たりする。もちろん私がそこまで仲が良いと思われていないのかもしれないとか、仲間はずれにされてるのかもしれないとか、まあそういう風に考えることもできるけど、多分そうじゃない。
私が、女だからである。
ああ羨ましいなと思うのだ。
私が男の子だったら、そこに入れてもらえてたかもしれないのに。
私も彼らと一緒にどこかに出かけたり旅行したりしたいのに。性別というものが邪魔をする。本当に煩わしい。どうでもいいじゃないか、と思う。
でも、世間体というものがある。
そして、生物としての違いがある。
同性の友だちに、男の子たちとご飯に行くと話すと、「いいねぇ、選び放題じゃん」なんて言われてしまう。
「あいちゃんって男好きだったの?」とからかわれたり、「気をつけてね」と忠告されたりする。
それが、とてつもなく、気持ち悪い。
普通に「なに食べに行くの?」って聞くだけじゃだめなんだろうか。どうして、全部「男女の関係」に持っていかれてしまうのだろうか。
「気をつけてね」の忠告が、一番優しいようで、一番残酷にすら思う。「何に」「どうして」気をつけるのか、それは語られないのに、ただ心配される。
その優しさに見せかけた奇異の目が、私は好きでは無い。
男の子だったらよかったのに。