わたしは人が好き。

『君は人が好きなんだね』就職活動中、憧れの会社の最終面接でこの言葉を投げかけられた。そのときは、わたし と 人が好き という言葉が結び付けられるなんて、正直あまりしっくりこなかった。『ワタシ、ヒトガスキ、、?』
丁寧に作られたファッションや芸術品、文学、映像作品が大好きで、それに立ち向かうと探究心が駆られてその良さを誰かに説明したくなる性格のわたし。どちらかというと、人よりモノに興味があるタイプだと思っていたし、他人に無頓着そうだと思われてきた。だから、人が好き と言われた時は少し困惑した。そんな言葉をわたしが被っていいのだろうか。と。

わたしとどのように接着をしていいのか分からない『人が好き』という言葉が、最近初めて腑に落ちた。その瞬間は、わたしの好きなMONO NO AWAREというバンドと、曽我部恵一の対バンライブを見に行った時のことだった。彼らがつくる音楽が好きなことはもちろんだが、ステージの上で生き生きと表現活動をしている姿が、眩しくて仕方なかった。両アーティストとも、歌詞が素敵で、その言葉のセンスに惚れていた。歌の背景にある彼らの人生経験を考えると、耳にする音楽がブワァーっと広がりを持った。幼少期の友達との何気ない会話や、家族の間の愛情を歌にしている人たちだった。綺麗な言葉を並べているだけではなくて、その人にしか作れないモノを、全身で表現している姿はカッコよかった。彼らは、これまでにどんな人生を送って、この曲を作って、ステージの上で表現しているのだろうか。知りたい。聞きたくて仕方ない。そして、もっと表現者たちの魅力や物語をきちんと伝えたいと思ったのだ。
わたしは、単なるモノが好きなのではなくて、人が魂を込めて丁寧に作った表現物が好きなのであり、それは、『人が好き』ということなのだと気づいた。
だから、わたしは人が好きという言葉を大切に、愛を持って接していきたいと思ったのだ。幸運にも、人と関わり、魅力を届けるという職種につけるので、今後生涯をかけて人好きを全うしていきたいと思っている。

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