ブラジルの窓から~『信ずる』~
毎週、
木曜日の午後は2年生のもとへ。
日本の公立学校ならほとんどの子が職員会議で話題にあがるだろうな。というほど、このクラスはエネルギーにあふれている。
実に面白い。
このクラスに行くのが毎回たのしみでもある。
ある男の子とのはなし。
彼の家には水がない。シャワーがない。
雨水をかぶる程度だろう、とのこと。
母は出稼ぎにいき、帰ってくるのは週に一度。
授業中はいつも、
教室の後ろで逆立ちや側転をしているか、外で木登りしているか、、
そんな姿が多いかな。
とにかくじっとしているじかんが短い。
かとおもえばぐっと入り込む瞬間もある。
手先は器用で、
編み物の授業は他の子に教えるお助けマン。
折り紙もグー!
そんな彼を
木曜日はシャワー浴びに連れていく日。
とにかくあびる時間がなが~い彼。
いたずらも絶えない。
手を離したら
どこかへ行ってしまいそうな彼。
先生に「いつまでも浴びていないように。」とくぎを打たれ、
わたしも早くででるよう声掛けしてほしいと頼まれた。
でも、、
なんだか急かす声がけをすることに
わたしのココロが「はい」と言わなかったんだな。。
それでこのひは、
なにも言わずにまってみた。
待つ。
という感覚ではなかったな。
そこに在る。
という感覚。
とても静かだった。
わたしのこころが。
シャワー室のドアの上や下から水をながす彼。
あらかじめ準備していた水切りで静かにきる。
上から流れてきた水。
一度だけゆっくり名前をよんだ。
それだけだった。
彼は自らドアを開けた。
タオルでぐしゃぐしゃと彼の頭をふいた。
着替え中、
わたしはシャワー室のそうじをしていた。
その間にそとへ飛び出して遊びにいってしまうとおもっていた。
それでもよいと。
けれど
かれは部屋のまえをとおる子に声をかけるだけで
出ていこうとはしなかった。
帰りぎわ
部屋の鍵をうばってにげた彼。 「家にもってかえろう」と言って。
すこし先まで走ってこちらをふりかえり、
鍵をちらつかせる。
わたしは、
急ぐことも止まることもなく
ただ教室の方へとゆっくり歩きつづける。
彼はその場にとまっていた。
「ぼくのかぎ~」と。
すれ違い際に
「あなたの鍵なの?」
とすこし笑みを浮かべながら彼の顔に問いかける。 そのままわたしは教室へとむかった。
走りだした彼。
逃亡したな、、とおもった。
けれど
彼がむかったのは
本来かえすべき人のもと。
わたしは入口のまえで足をとめ、
彼をむかえた。
かぎを返したことをほめもせめもせず。
ただ、むかえた。
*
*
これがよいとか
わるいとか
そんなことは
わたしにはわからない。
けれど、
『信ずる』ことって
もしかしたらこういうことなのかも
っておもえたんだ。
心配して
一喜一憂して
縛りつけるよりも、
信じて、
開放して、
わたしは
わたしの歩みをとめることなく
ゆっくりと歩みつづける。
いつでもここに戻ってこれるように。
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