泣くな、殴れ。#だからそれはクリープハイプ
10年以上好きでいるものなんてクリープハイプくらいしかない。“好きでいる”なんて言うとまるでわたしの意思のように思うけど、クリープハイプがわたしの心を掴んで離してくれないまま10年以上が経っただけじゃないの?
大学時代に付き合っていた彼氏は何でも否定から入るひとで、わたしの好きなものを全部嫌うひとだった。
一緒にクリープハイプのCDを買いに行ったとき、「そのお金で飲みに行けるやん。もったいない。」と言われた。わたしがクリープハイプの話をするといつも、不服そうな顔をしていたのを覚えている。その度にちょっと泣きそうだった。
だけど彼がシャワーを浴びながら、ミルクリスピーを口ずさんでいたことが忘れられない。
本当に嫌な奴だったけど、なんとなくそんな思い出のおかげでギリギリ良い奴だったと思えている。
他人にクリープハイプを好きだと言うと、下手な声マネでラブホテルを歌われたり、揶揄されたりすることがある。その度に悔しくて、自分のことを否定されるよりも悲しくなった。好きなものを好きなだけで、ただクリープハイプを大切に思っているだけでどうしてこんな思いをするんだろうな。
だけどわたしにはクリープハイプとの思い出が腐るほどにある。
出会いよりも別れが多い春も、汗か涙か分からん夏も、なんとなくで感傷に浸ってみる秋も、寂しさを寒さのせいにした冬も、ずっと隣にクリープハイプが居てくれた。
人生の半分をクリープハイプと過ごしてきたわたしには誇りがある。誰にもこの日々を否定させない。
大学時代のわたしへ、泣くな。殴れ。
2011年の3月にYouTubeをサーフィンしていて、ふと何気なく再生したクリープハイプの左耳。あのイントロが全身に痺れて、「言葉は遠回りして 迷子になって バイト遅刻」という言葉選びに脳天を撃ち抜かれたあの日から、今日までずっとクリープハイプだけが好き。