Nahuel Note #012 "glue" 〈Lucas〉 (2006)
映画『Glue』(2006年、アルゼンチン/イギリス)
公開日:2006年2月2日 ロッテルダム国際映画際(オランダ)
言語:スペイン語
受賞:Buenos Aires International Festival of Independent Cinema 2006 にてBest Local Film受賞(Alexis Dos Santos)。
ナント三大陸映画際2006にてBest Actor賞(Nahuel Pérez Biscayart)、およびYoung Audience Award賞受賞(Alexis Dos Santos)、Golden Montgolfiereノミネート(Alexis Dos Santos)。
Rotterdam International Film Festival 2006にてMovieZone Award受賞(Alexis Dos Santos)。
San Francisco International Lesbian & Gay Film Festival 2007にてBest First Feature賞受賞(Alexis Dos Santos)。
Torino International Gay & Lesbian Film Festival 2007にて審査員特別賞受賞。
監督・脚本:Alexis Dos Santos
出演:Nahuel Pérez Biscayart ... Lucas
Nahuel Viale ... Nacho
Inés Efron ... Andrea
監督のAlexis dos Santosは1973年アルゼンチン出身。ブエノスアイレス、バルセロナ、そしてロンドンで映画を学ぶ。本作は彼の最初の長編映画。性やアイデンティティの問題に揺れるティーンエイジャー3人が主役。監督は90年代から始まった「New Queer Cinema」の担い手でもあり、この作品も、LGBT映画を扱った幾つかの映画祭に出品された。
脚本自体はプロットが17ページほどあるだけで、会話は俳優達の即興だったらしい。このアイデアを実現するため、15歳前後に見える20歳前後の俳優を探し求め、見つかったのが、同じ演劇学校に通っていたことで元々とても仲の良い友人たちだったナウエルさんら3人。
撮影には8ミリフィルム(Super 8)も使用されており、監督自身も回しているらしく、とても味のある色合いの映像が続く。
主人公の部屋にはSex Pistolsのポスターが貼られ、ヘッドフォンで聴く音楽はViolent Femmes、ライブバーで流れるのはStereo Total。映画をKimya Dawson。そしてLucasらはパンクバンド(というかNWバンド?)を組んでおり、ナイス選曲。
私は大学時代は映研で、とっくに過去の遺物だったSuper 8で撮影したりしてたのですが、さらにViolent Femmes(リアルタイムではない音楽を好んでた)も聴いていたし、何より初来日したStereo Totalのライブにも行き、メンバーにドキドキ話しかけたりした思い出があるので、ほんとこの映画のあれこれが個人的ツボを押さえ過ぎていて、まずそれだけで参った。さらに青空を背景にヘッドフォンをしているポスターにものすごく見覚えがあり、日本公開もしていないのにどこで見たのか…ドイツでか…?と首を傾げる記憶のバグも生じている。
タイトルの「Glue」は「糊」のことだけれど、映画の中で具体的に出てくるのは、父親が模型を作るのに使っている接着剤でラリるシーン、あと、Lucasが毎日念入りに髪型を固めるのに使っているワックス。それから何より、彼らのアレ。毎朝ベタベタ状態で起きるのはもうイヤだ的な台詞も。何をするにも自分の想いが強すぎて触れるとベタベタしちゃう感じ、すごく分かる。
Lucasのモノローグ(これらも基本俳優の即興とのこと)で「女の人にキスをすることと男の人にすることに違いはあるのか。男の人はヒゲがある」というのがあるように、とにかくみんなまだ未分化。男男女というストレンジャーパラダイス的組み合わせ3人の間に恋愛感情なんていう名前が付くようなものはまだなく、他人の身体を通して自分と世界を知ることが大事。男であれ女であれ。しかしモノローグではAndrea(Inés Efronはその後もナウエルさんと共演)のものが男子より大人びているのも面白い。
という青春の冒険と並んで、家族と触れあう物語が別途ちゃんと描かれているのが、面白い。友人たちと一番の大人の冒険をした翌朝、家族とキャンプに出かけるって…分かる、そういう時期、ある。と納得した。
ドイツ版予告編
私はドイツ語字幕付きのDVDを入手して見たけれど、英語字幕付きもあり、実はyoutubeにもあり→★(画質は良くはないけれど)。
さあ。ここまで一言も我慢して書かなかったけれど、この映画のナウエルさんのかわいさ、殺人的です。猫鳴きするところとか、心臓打ち抜かれます。死ぬほどかわいい。
もう一度言っとこう。
ナウエルさん、死ぬほど、可愛い。