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「産み方は生き方、決めるのはあなた」左古かず子さんのインタビューとスピーチより

なんて偶然だろう。でも、これは引き寄せなんだと思う。自然なお産、生理的なお産を選べる環境を守り、未来へ伝えるために、京都の助産師、左古かず子さんのTEDスピーチを紹介したい。

本人を信じて、支え、背中を押し、自立性を促す助産師のサポート

たまたま保育園で貰い手を募集していた「食べもの通信」のバックナンバー。何冊かもらってきた中に2012年4月号があった。特集の「時間栄養学」というキーワードが気になった。そちらは後日、アメブロにまとめたい。

同じ号の巻頭インタビューは、左古かず子さん。無意識で目にして手に取ったのかもしれない。インタビューでは「冷えがひどいです」「良いお産のベースは食事です」と語っている。

10年前でもうこの状況なのだから、今はどれだけ妊婦さんの身体が守られているだろう。自然にお産をしたくても、産めないほどガタガタになっているという話も聞く。

食事改善が授乳中なら、赤ちゃんは1週間で変わりますからね。機嫌が良くなったり、湿疹が治ったりします。妊娠中なら2~3日で効果が見られます。「冷え取り(足湯、半身浴)をしたら、赤ちゃんの胎動が穏やかになった」とか「食事で冷えが治った」など、本人たちがそれをブログに書いていますので、同世代への影響力を期待しています。

食べもの通信 2012 4月号 No.494より

あくまで妊婦さん本人の変わる力を信じて、支え、背中を押していく左古さん。さすが1853人(食べもの通信掲載より)の赤ちゃんの分娩介助をしてきた助産師さん。本人の自律性を促すサポートが助産師の鑑だと感じる。

助産婦(師)の仕事は、その女性が本来もっている力を最大限に引き出すことです。妊婦さんの健康のレベルを上げて産む力を引き出すのです。おっぱいも本来出るものです。食事に気をつけて、おいしいおっぱいが出れば、赤ちゃんが一生懸命吸うので、もっと出るようになるのです。母体の健康が楽しいお産や、楽しい子育てにつながることを学んで、不安が和らいでいきます。

食べもの通信 2012 4月号 No.494より

あるがままの自分を選ぶ――赤ちゃんとともに臨むお産

そして、このインタビューから、左古さんをネットで検索したら、TED×Kyotoのインタビュー映像につながった。たった20分だけれど、お産の動画もあり、生理的なお産に魅せられた左古さんの凝縮した言葉もあり、見ごたえ十分な、強烈なメッセージが詰まっている。

2000g未満の瀕死の状況で産婆に命を救われた左古さん。産婆から「かず子」の名をもらい、赤ちゃんの産湯やお産をたびたびのぞかせてもらい、呼吸をするように助産師さんの分娩を学んでいく。病院の出産に衝撃を受けるものの、10年勤めあげ、JICAのブラジルプロジェクトにも参加する。

女性の多くは自分で赤ちゃんを産み出す力を持っています。そして赤ちゃんも自分で生まれてくる能力を持っているんですね。助産婦が産ませるのではなくってお母さんと赤ちゃんが力を合わせて産み生まれるのです。

TED×Talks「産み方は生き方、決めるのはあなた」より

それでも、何があるか、何が起こるのかわからないのがいのちの誕生。だからいのちの誕生は尊い。だから、いのちの営みを熟知した助産師に寄り添ってほしい。どんないのちも、本人の主体性と、家族や助産師のたゆまない支えによって、運命と奇跡でつながっていく。

お産は「痛い、苦しい」側面がクローズアップされて、「痛みをあえて感じなくても」と無痛分娩も増えている。でも、無痛分娩は麻酔分娩だ。麻酔のリスクはどこまで理解されているのだろう。「怖い」から入るお産は、心と体を硬くし、安産から遠のいていく。ホッとリラックスして、いかに緩めるかが安産の近道だ。それには、信頼できる助産師の伴走が欠かせない。

できるだけ私はお産をあるがままの姿でしていただきたいって思っています。お産の時に痛かったら「痛い」って言っていいし、泣きたかったら泣いていいし、喜怒哀楽を思いっきり出しきってお産をしていただきたいなと思っています。

TED×Talks「生まれ方は生き方、決めるのはあなた」より

自分が自分であることを丸ごと受け入れてくれるお産。だからこそ、妊婦さんは左古さんにお産を任せることができる。信頼して、心身を委ねることができる。そんなお産を地域に増やしていきたい。

ぜひ大切なお産を他人任せにしないで、自然分娩ができる身体に整えてほしいと思っております。(中略)赤ちゃんはある意味命がけで出てくるんですね。そしてその命がけで出てくる赤ちゃんのためにお母さんとしては自分の命をかけてあげてほしいと思います。

TED×Talks「産み方は生き方、決めるのはあなた」より

産む女性はもちろん、もう産み終わった女性、その女性を支える男性にも、すべての人に見て、感じて、未来にあるべきお産の環境を考えてほしい。私たちすべてのいのちは、ひとつの受精卵から出発しているのだから。

そして、私たちには「産む力生まれる力」がある。でもそれを発揮できるかどうかは、それまでの生き方もすごくすごく影響する。気づいたら、変えるとき。冷えを防ぎ、体を温め、心を温め、私たち一人ひとりがあるがままの自分を生きること。生理的なお産を支えた左古さんの言葉には、未来にも伝えていきたい智慧がたくさん詰まっている。諦めたくない。安心してお産を迎え、子育てにつなげていく、自律的で生理的なお産を選ぶ環境づくりを。

安心して産み育てやすい社会を作るため、また社会全体で子育てを支援する仕組みを作るため、サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは、あいのちの活動で使わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。