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似て非なるもの――まずは何がある中で何を望むか、何が起きているか知ることから

似てるけど全然違う。似てるからと言って、同じ部類には全然できないもの。そういうものが世の中にはわんさかある。でも、「似ているから同じにしちゃえ」っていう人たちが少なからずいる。全然、全然違うのに。

たとえばおっぱいとミルク。似ている。似せている? でも全然違う。赤ちゃんにとっても、お母さんにとっても。出産直後にあげてほしいのはおっぱい。出ても出ていなくても関係なく。いや、最初はみんな出ないんだけど。出産直後にミルクはあげない。ミルクはすぐ作れるけど、おっぱいが出るようになるまでは時間がかかる。でも、ミルクは作るのに消毒したり、お湯を用意したり、手間がかかる。どちらが楽でどちらが大変というのは人によっても違う。どんなに似せても、ミルクは人工的な加工品だし、おっぱいは人の血液が乳腺を通っておっぱいになる。やっぱり全然違う。

たとえば自然分娩。膣を通る経腟分娩だったら全部、自然分娩かというと、それは違う。帝王切開じゃなくても、吸引したかしなかったか、促進剤を使ったか使わなかったか。何がいい、悪い、の前に、それは全然違うということ。それは、お母さんが自分を責める材料にするのではなくて、産む前に知っておくこと。医療者がお母さんと赤ちゃんのために考えるべきこと。下から産んだらすべて自然分娩、ではない。手を加えれば、加えただけの影響はある。何が自然で、何が自然じゃないか。それぞれの人の数だけ、答えがあるのかもしれない。

全然違うものを前に、私たちはどうしたらいいのか。まずは違うものをテーブルに並べてみたい。何があって、何がないのかを知りたい。選択肢をちゃんと見せてほしい。そのうえで、何を自分自身が望むのか、望みは叶うのか叶わないのか、叶わないならどうしてか、知りたい。聞いてほしい。だって自分の人生のことだから。

わけのわからないうちに処置されたくない。素人だからとすっ飛ばすことなく、ちゃんと理由を説明してほしい。その場ですぐには納得いかないかもしれなくても。それが人として尊重される、大切にされることにもつながる。

違いなんてどうせわからないでしょ、と無視しないでほしい。わからないならわからないなりに知りたい。どんな差があるのか。どう比較できるのか。

じつはおっぱいとミルクも、医療専門職だって、ちゃんと説明できない人は多い。母乳について専門的に勉強していなきゃ、看護師だって助産師だって、知った振りはできてもきちんと納得いくような説明は難しい。それを医療専門職でない私たちは知らない場合が多い。当然、知っているだろうと思う。でも、専門職の事実に基づかない思い込みを説明されている場合もある。後から、ああ、そうだったんだ…と知ることがある。

助産師、看護師、理学療法士、産後ドゥーラ、ナーシングドゥーラ、普通のお母さんが集結!

昨日、開催した学習会では、何が自然分娩で、何が自然分娩でないのか、分娩台に乗るということはどういうことを意味するのか、どんな効果があるのか――普通の両親学級では、なかなか聞けないテーマを掘り下げた。多様な専門職とお母さんが集まり、ベテラン助産師のお話に耳を傾けた。

表には出てこない話がある。表では堂々とまだ語れない話がある。なぜか。まだ少数派だと思われているから。でも、実は、本音は、ちゃんとしてほしい、ちゃんと知りたい、説明してほしいと思っている人が、潜在的にたくさんいる。こうして、つながって、そうだったのか、やっぱりそうだよね、と話をしていくと、思いが通じる。表にじわじわあぶり出される、隠れていた本当の声。ほんの少しずつだけれど、未来が拓ける…ような気がする。

本当はみんな知りたいんじゃないだろうか。でも、簡単に知ることができない気がするから、黙っている? 諦めている? 知ったら目の前に見える風景は変わる。いろんなことの意味づけが変わってくる。

第2回は2月1日(火)20~21時半。昨日の回は録画でも見られる。お産のことは、日本の社会の未来も変えうること。たまたま女性だけだったけど、男性でも気になったら聞いてほしい。だって、男性もお父さんとして、家族になるでしょう。そこに性別や年齢は関係ない。みんなで支えていってほしい。だって、みんな、1人の女性のおなかから、いのちは始まっているのだから。その点では、至極平等だから。いのちの誕生をおろそかにしないでほしい。些末に扱わないでほしい。人が人を大切にする社会にしたいから。

昨日のおやつ。子どもが見たら、う〇〇と思って、違う意味で喜ぶだろう…全然違うw


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さとこ
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