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【論文瞬読】プロンプトエンジニアリング!呪文を唱えてAIを操る技術を徹底解説!

こんにちは!株式会社AI Nestです。今回は、今話題のプロンプトエンジニアリングについて解説していきます。プロンプトエンジニアリングとは、AI、特に大規模言語モデル(LLM)に望み通りのアウトプットをしてもらうための「呪文」のようなものです。

例えば、ChatGPTに「美味しいパスタのレシピを教えて」と聞くのもプロンプトの一種。でも、プロンプトエンジニアリングはもっと奥が深いんです。プロンプトの書き方次第で、AIのアウトプットは劇的に変わります。まるで魔法使いになった気分で、AIを自在に操れるようになる、それがプロンプトエンジニアリングの魅力です!

タイトル:The Prompt Report: A Systematic Survey of Prompting Techniques
URL:https://arxiv.org/abs/2406.06608
所属:University of Maryland, OpenAI, Stanford, Microsoft, Vanderbilt, Princeton, Texas State University, Icahn School of Medicine, ASST Brianza, Mount Sinai Beth Israel, Instituto de Telecomunicações, University of Massachusetts Amherst
著者:Sander Schulhoff, Michael Ilie, Nishant Balepur1 Konstantine Kahadze, Amanda Liu, Chenglei Si, Yinheng Li, Aayush Gupta, HyoJung Han, Sevien Schulhoff, Pranav Sandeep Dulepet, Saurav Vidyadhara, Dayeon Ki, Sweta Agrawal, Chau Pham, Gerson Kroiz Feileen Li, Hudson Tao, Ashay Srivastava, Hevander Da Costa, Saloni Gupta, Megan L. Rogers, Inna Goncearenco, Giuseppe Sarli, Igor Galynker, Denis Peskoff6 Marine Carpuat, Jules White, Shyamal Anadkat, Alexander Hoyle, Philip Resnik

プロンプトエンジニアリングとは?

プロンプトエンジニアリングは、AIに与える指示書(プロンプト)を工夫することで、AIの性能を最大限に引き出す技術です。プロンプトは、AIに対する質問や命令文だけでなく、AIに与える情報や例なども含まれます。

例えば、画像生成AIに「ゴッホ風の猫の絵を描いて」と指示するのもプロンプトエンジニアリングの一例です。プロンプトを工夫することで、AIはゴッホ風のタッチで猫の絵を描いてくれます。

プロンプトエンジニアリングは、AIとのコミュニケーションを円滑にするための重要なスキルです。適切なプロンプトを設計することで、AIはより正確で、創造的で、役に立つアウトプットを生成できるようになります。

プロンプトエンジニアリングの歴史

プロンプトエンジニアリングは、実は最近生まれた概念ではありません。GPT-3やChatGPTが登場する前から、自然言語による指示(プロンプト)を使って言語モデルの挙動を制御するアイデアは存在していました。

例えば、GPT-2はすでにプロンプトを利用しており、2018年にはFan et al.によってGenAIの文脈で初めてプロンプトが使用されたと考えられています。

「プロンプトエンジニアリング」という言葉が使われ始めたのは、2021年のRadford et al.やReynolds and McDonellの研究がきっかけです。それ以前にも、プロンプトエンジニアリングのプロセス自体は行われていましたが、明確な言葉として定義されていませんでした。

プロンプトエンジニアリングの最新技術

プロンプトエンジニアリングは日々進化しており、様々な技術が登場しています。ここでは、代表的な技術をいくつか紹介します。

Figure2.2, テキストベースのプロンプト技術の分類体系

Few-Shot学習

Few-Shot学習は、AIに少ない例題と解答を示すことで、新しいタスクを学習させる技術です。例えば、いくつかの文章とその要約をAIに示すことで、AIは文章要約の方法を学習します。

Chain-of-Thought (CoT)

Chain-of-Thoughtは、AIに思考過程を説明させることで、複雑な問題を解く能力を高める技術です。例えば、「1+1は2、2+2は4、だから3+3は6」のように、AIに段階的な思考を促します。

自己整合性

自己整合性は、AIに同じ問題に対して複数の回答を生成させ、その中から最も確からしい回答を選択させる技術です。これにより、AIの回答の精度を高めることができます。

分解

分解は、複雑な問題をより簡単な部分問題に分割し、それぞれを解決することで、全体の問題を解決する技術です。人間が問題を解く際にも用いられる戦略であり、AIにも有効です。

プロンプトエンジニアリングの課題と未来

プロンプトエンジニアリングは強力な技術ですが、いくつかの課題も抱えています。

安全性と倫理

Figure5.1, セキュリティに関するプロンプト技術

AIが有害なコンテンツを生成したり、偏った意見を表明したりする可能性があります。そのため、プロンプトエンジニアリングにおいては、安全性と倫理的な配慮が不可欠です。

Figure5.2, アライメントに関するプロンプト技術

曖昧性

曖昧な質問に対して、AIは誤った解釈をする可能性があります。プロンプトエンジニアリングでは、質問の意図を明確に伝えることが重要です。

これらの課題を克服し、プロンプトエンジニアリングはさらに進化していくでしょう。AIがより人間らしく、創造的なアウトプットを生成できるようになる未来も、そう遠くないかもしれません。

プロンプトエンジニアリングの研究動向

プロンプトエンジニアリングは、学術界でも注目を集めているホットな分野です。ここでは、論文中で引用されていた研究の中から、特に注目すべきものをいくつか紹介します。

Figure2.11, 引用数が多いプロンプト技術の論文
  • Few-Shot Learning: 少ない例から新しいタスクを学習する技術。

  • Zero-Shot Reasoning: 事前学習した知識を活用し、見たことのないタスクを解く技術。

  • Self-Consistency: 複数の回答を生成し、自己整合性によってより良い回答を選択する技術。

  • Tree of Thoughts: 問題解決のための思考過程をツリー状に探索する技術。

これらの研究は、プロンプトエンジニアリングの可能性を広げ、AIの能力をさらに引き出すための重要な一歩となっています。

まとめ

今回はプロンプトエンジニアリングについて解説しました。この記事が、皆さんがAIをより深く理解し、活用するきっかけになれば幸いです。

プロンプトエンジニアリングは奥が深く、まだまだ発展途上の分野です。しかし、その可能性は無限大であり、AIとのコミュニケーションをより豊かに、そして実りあるものにしてくれるでしょう。

それでは、次回の記事もお楽しみに!