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松井証券とカブ・ドットコム証券
①松井証券株主総会
その頃は、まだ松井道雄さんがCEOだった。松井さんはネット証券を日本で最初に定着させた立役者だったが、SBIや楽天に負けた。株主総会で見た松井さんは、SBIの北尾さんや楽天の三木谷さんに比べて、私にはあまりよい印象ではなかった。無愛想に喋る感じだったのである。
女性株主が「なぜ、役員に女性が一人もいないのか」と尋ねると、松井さんは「前はいた。女子校が共学になった学校に通っていたので、女性がいかに優秀かは、よく解っている」と応えた。
男性株主は「日本はおもてなしの国なので、座ったまま質疑をしないで欲しい」と言ったが、松井さんは無視した。(もっとも、これは株主が悪い。)
株主総会にいくと、CEOの人柄がわかり、なぜ、その企業が他社に競争で負けたのか、判ってよい。
②カブ・ドットコム証券株主総会
まだカブコム証券が上場廃止前のことである。斉藤CEOは愛想よく振る舞った。たが、株主からシステムの不具合を指摘されると、代わって応えた役員が狼狽しながらも、その場を取り繕った。
アナリストやストラジストは、今も旧カブコム(今は三菱UFJ)にいて、それなりに楽しい雰囲気で演出し、お客さんを維持するのに役に立っているようだ。株主総会でも彼らの話は楽しかった。ただ投資に役立つかどうかは別の問題である。
その頃、カブコムは総会で株主にカブコムのロゴの入ったグッズを配布していた。面白くはあったが、人前であまり使いたくないと言う株主もいた。
松井証券はCEOを松井さんから別の人に変え、カブコムはauカブコム証券となった後、三菱UFJになり、CEOも変わってしまった。いずれも厳しい環境に置かれていて、今後、生き残っていけるかわからない。
旧カブコムは、SBIが三井住友と提携し、楽天が、みずほと組んだので、対抗上、三菱UFJ直営となったのだが、小回りが利かなくなるかもしれない。
お読みいただき、ありがとうございました。