
User Focusを掲げるマネーフォワードのデザイナーの「人」に向き合う姿勢
00. はじめに

自己紹介
はじめまして!マネーフォワードでリサーチインターンをしている田尻愛奈と申します!大学ではビジネス・テクノロジー・クリエイティブ(BTC)を横断的に学ぶプログラムのもとで、企画設計、サービスデザインなどを主に学んでいます。私はユーザーの視点に寄り添った価値提供をしていることや、企業文化をしっかり持って事業に反映させている点に興味を持ち、マネーフォワードのインターンへの参加を決めました。
デザインの目的迷子にならないために
デザイナーを目指す学生の皆さん、自分が「何のためにどのようなデザインをしたいのか」言語化できていますか?
デザイナーとして大事にしていきたい価値観を言語化するということはとても重要なことだと考えています。
私自身、デザイナーとして大事にしたいことを言語化する前はデザインと名のつく依頼をとりあえず手当たり次第引き受けることが多く、「何のために何をしているんだっけ?」「自分はデザインを何だと捉えているんだっけ?」と迷子になってしまったことがありました。
これを就職活動という視点で考えた時に、この価値観がズレていると入社後に楽しんで仕事ができないかもしれないと感じました。
なので、まず企業や自分が「デザインを何だと思っているか」「どんな姿勢でデザインに向き合っているか」を分析し、照らし合わせることが必要だと考えました。
人のためになるデザインがしたい!
私は、日常の中で少しでも幸せや豊かさを感じるきっかけを作りたいと思いデザインに興味を持ちました。そのため、「誰かのためになること、寄り添うこと」ということが自分が大事にしたいデザインの軸だと考えています。
あなたは何を大事にしたいですか?
この記事では、マネーフォワードのカルチャー(企業文化)の成り立ちや浸透の経緯から、人に向き合うマネーフォワードのデザインマインドを紐解いていこうと思います!
こんな人に読んでほしい!
・デザイナーとして働くイメージがついていない
・デザイナーとして何を大事にしていきたいか迷っている
・マネーフォワードの「User Focus」について知りたい
・マネーフォワードのデザイナーがもつ価値観について知りたい
・企業文化や組織デザインに興味がある
01. マネーフォワードの「人」を大事にするカルチャー
マネーフォワードは、共通の価値観・目指したい世界観をMVVC(ミッション・ビジョン・バリューズ・カルチャー)としてまとめています。
▼詳しくはこちら!(Money Forward Culture Deck)
マネーフォワードにお邪魔してまず驚いたのは、このカルチャーの圧倒的な浸透率!全てのメンバーがカルチャーを大切にし、それに沿った行動を強く意識しているからこその一体感とコミュニケーションのあたたかさを感じました。
そしてこのカルチャーの策定には、1人目のデザイナーとして入社された金井恵子さんが大きく関わっています。
会社として、仲間と組織に向き合っていくという部分にデザインの可能性を感じました。
そこで、1人目デザイナーの金井恵子さんに、価値観を形にして会社全体に広げていくエピソードについてお伺いしました!
02. 1人目デザイナーに聞いてみた!
マネーフォワードに1人目のデザイナーとして入社し、MVVC策定などを通してマネーフォワードの価値観を形にし、浸透させてきた金井恵子さんに、デザインに向き合う姿勢やカルチャーについてインタビューを行いました!

▼ 金井さんの入社の経緯やこれまでのお仕事についてはこちらをご覧ください!
【カルチャー(企業文化)の浸透について】
—— 1人目のデザイナーとして2014年にマネーフォワードにジョインされた金井さんですが、当時のマネーフォワードはまだまだスタートアップ企業。カルチャーよりプロダクトの開発スピードを優先するという雰囲気も強くあったかと思いますが、どのようにしてカルチャーを浸透させていったのでしょうか?
当時はまだ、カルチャーよりプロダクトという雰囲気は強くありました。そのため、カルチャーの浸透にはとても時間がかかっています。2015年ぐらいから会社としての指針を作っていこうというプロジェクトに関わっていたのですが、これが浸透してきているなと自分で思えるまでに5年ぐらいはかかっていると思います。
⚫︎カルチャーで「共感」を巻き起こす
カルチャーを浸透させていく取り組みの中で気をつけていたことは、カルチャーを社員を管理するツールにしないということです。
共感してもらえるよう、ポジティブなシーンで使うということをしていました。マネーフォワードではカルチャーヒーローという、カルチャーを体現した人に贈られる賞があるのですが、例えば「あなたはすごくチームワークを体現したね」とポジティブに伝えることを大切にしています。そうやって自主的にカルチャーを大事にしていきたいって思ってもらうための体験のデザインみたいなところを意識していました。
【User Focusについて】
私が大切にしたい「人のためになるデザイン」を考える中で、マネーフォワードのカルチャーの中のバリューズ一つである「User Focus」が「人」という視点で近しいものなのではないかと感じました。そこで、私がマネーフォワードの一員になってみて感じた印象を元に「User Focus」な姿勢についてもお伺いしてみました!
—— マネーフォワードの社員のみなさんは、互いにすごく仲間思いな印象です。「User Focus」はユーザーだけでなく一緒に働く仲間にも向けられているのでしょうか?
⚫︎ユーザーを大切にするためにも、仲間を大切にする
何かを作っていくことはやっぱり1人ではできなくて、だからこそマネーフォワードのカルチャーには「Teamwork」が入っていたりしています。また、「Let’s make it!」というスローガンがすごくマネーフォワードらしいなっていう風に思っています。みんなで価値を生み出していくことが大きな価値に繋がっていくので、一緒に働く仲間たちを大切にできてなかったら、その先に届けるユーザーのことを考えた価値も考えられないと思うんですよね。
だから1人1人接する相手(仲間)もユーザーの1人として捉え、この人の気持ちをどうしたら動かせるかを考えながら仕事をすることが大事だと思っています。それがカルチャーの「Respect」や「Teamwork」にも繋がっていることだと思います。
⚫︎働く仲間の人生も前に進んでほしい
マネーフォワードはミッションとして「お金を前へ。人生をもっと前へ。」を掲げており、人生に寄り添いたい、相手のことをちゃんと分かって解決したいということを大事にしている会社です。そのため一緒に働く仲間にも寄り添いたいし、みんなの人生ももっと前に進んでほしいと思っています。
その姿勢に、Userの手前にいる仲間にもFocusして大事にしようというメッセージをえびすけ(田尻)さんが感じてくださったのであれば嬉しいです。
【金井さんにとってのデザイン】
—— 最後に、金井さんにとって「デザイン」とは?
周りから言われるのは、「体験を作るということ意識してるね」ということです。共感する体験を作るということが私にとってのデザインかもしれません。
「共感」と「体験」をずっと大事にしてきたなと感じていますね。共感をつくるときにただ言ったり掲げたりするのではなく、ユーザーが実際に「体験」することで初めて「こういうことだったんだ」とか「すごくいい」と感じるという態度変容が起きると思ってるので、その体験をどう作れるかっていうのを結構こだわって考えてきたと思っています。自分がデザインしようと思っていたものが「共感」と「体験」ということなのかもしれません。
03. デザイナーにUser Focusの実践を聞いてみた!
これまで、仲間に寄り添いカルチャーの浸透に尽力されている金井さんの姿勢をお伺いしましたが、そのカルチャーをもとに、どのように実際の業務に生かされているか、デザイナーの皆さんに聞いてみました!
Q1:User Focusを実現するために、意識して行っていることは何ですか?
なるべく想定ユーザーの声を取り入れることを意識しています。要件定義でしっかり要件やデザインを作成していくので、新機能検討の際はユーザーヒアリング(社内)や、ユーザビリティテストを行うことを意識しています。
ニーズを繊細に汲み取ることです。ニーズを理解するため、先方からのフィードバックの背景を都度確認し、デザインの方向が合っているか確認したり、「この機能はどのくらい推していきたい?」や、「裏側のシステムや事務作業はどうなってる?今後どうしたい?」のような前提のニーズも確認することを心がけています。
プロジェクトは基本、「現状顕在化してる課題を解決するため」もしくは「未来の理想の状態に向けて先手を打つ」の二方向で進めていきます。どちらの場合も、課題や理想の状態といった、施策を実施する前と後で、ポジティブな変化をもたらす必要があります。その変化を、「誰の視点でポジティブな変化が1番大きくなるべきか」を踏まえて「ユーザー」を設定し、設定したユーザーの現状認識や課題状況、どのような変化がインパクトがあるか、施策を実施するリソースの状況、などを踏まえて最善の策を採用します。
Q2:あなたにとってUser Focusとは?
デザインのアウトプットやその過程において相手目線、受け手目線であること。連携する際にたくさん質問をしたり、意図を引き出すよう取り組んでいます。
ユーザーだけにFocusしないようにしています。デザイナーは共感によるユーザー目線だけでなく、その環境や状況をユーザーから切り離して冷静に観察する必要があると考えているので、ユーザーを中心に据えて俯瞰、つまり鳥の目線でデザインすることを大事にしたいと思っています。
サービスだけにリソースを全投下すれば良いという話にはならないのが奥深いポイントだと思っいてます。「サービスのユーザー」に届ける価値を最大化するためには会社組織の持続可能性を高めなければなりません。セキュリティや機能開発、PR、デザイン、それを生み出すメンバーの生産性向上、カルチャーの醸成、などなど、ユーザーに価値を届けようと本質的に考えれば考えるほど、ユーザーと直接接していない領域の重要性も高まります。そのクオリティを最高水準にして、ユーザーに接する時間のクオリティを最高にするというチームワークがUser Forcusの実現には欠かせないと考えています。
Q3:「相手を思いやること」「互いに寄り添うこと」などのUser Focusな姿勢が業務に生かされていると感じることはありますか?
打ち合わせの中などで意見が違っても、お互いの意見に歩み寄って解決しようとすることがよくあります。
各職種の目線でプロダクトをよくするためにできる限り提案し、確認する関係性があります。 お互いの考えを尊重しつつ、「いいプロダクトにしていこう」というマインドを継続して共有できていることが、良い空気を作っていると思います。
これだけボトムアップなカルチャーなのに、プロダクト間の連携とか併用体験といった概念が成立しているのはそういった姿勢ありきだと思います。
チームを大切にする文化があるのでチームビルディングに積極的です。具体例としては、エンジニアが画面がない要件定義段階から積極的に議論に入ってくれたり、ビジネスメンバーがユーザーヒアリングに同席してくれたり、画面や体験に対してフィードバックをしてくれたり、チームビルディングの企画を職種を跨いだメンバーと一緒にできたりします。
たくさんのデザイナーの方にご協力いただき、それぞれのこだわりをたくさん共有いただきました!ありがとうございました!
04. まとめ・気づき
マネーフォワードのデザインの姿勢から学んだこと
リサーチをしてみて、印象的だったマネーフォーワードのデザインをする上での姿勢・取り組みは以下です。
「共感してもらうこと」
「相手にとってポジティブな変化を起こすこと」
「ユーザーに価値を届けるために、仲間にも寄り添う」
⚫︎「人のためになるデザイン」は一方的にならないことが大事?
この内容から、自分たちが行うことを「一方的なものにしない」ということが大切なのではないかと感じました。自分たちの答えを押し付け、無理やり納得させるのではなくユーザーに最大限向き合って一緒の方向を向いて進める手段を模索すること。これがマネーフォワードのデザインの根底にあるのではないかと思います。
今まで私は、「人のためになるデザイン」は自分のデザインで誰かを「助ける」ものだと思っていましたが、誰かと「一緒に前を向くこと」なのではないかという気づきがありました!

05. あとがき
このインターンで、様々な社員の皆様との対話を通して、自分自身とマネーフォワードの「デザイン」についての解像度をかなり上げられたと感じています!また、自分がデザインをする上で大事にしたいこと、自分がデザインに惹かれるきっかけとなったことなど改めて深く分析することができたと感じています。
ちょっぴり余談
今回のインターンシップでは、ランチをご一緒したり、1on1をセッティングしていただくなど、デザイナーとの交流の機会を多く用意していただきました。マネーフォワードらしい姿勢が仕事以外のところにも現れていて素敵だなと感じたエピソードがいくつかあったので少しだけ紹介したいと思います。
⚫︎デザイナーの意外な趣味
仕事以外で大事にしていることや趣味をデザイナーの方にお伺いした時、こんな反応が返ってきました。
【知らない国の宗教などに触れてみることが好きな UIデザイナー Mさん】
世界の宗教の中には、我々が理解が難しい思想を持つものもある。しかし、そんな一見理解ができなさそうな思想の中にも合理性が隠されている。それを見出すのが楽しい。
【古典ラジオが好きな BXデザイナー Tさん】
起きてる事象には複雑な事象が絡み合っていて二項対立であることは少ない。それを知ることはとても大事。
「偏見に惑わされず、自分と違う価値観を持った他者を深く知ることで理解しようとする姿勢」が感じられ、とても印象的でした!
一見理解できなさそうな事象に対して、「理解できない」と切り捨てるのではなく、あえて深く知ろうとしてみるということ、これもUser Focusに繋がる大事な姿勢ではないでしょうか。ぜひ実践していきたいですね。
マネーフォワードは26新卒のデザイナー採用をしています!
ご興味のある方はぜひご応募ください!