千葉県警に情報公開請求をしました⑧
お疲れ様です。あいなです。
この千葉県警動画削除事件、長らく追っていましたが、今回が恐らく最後の情報公開請求になるかと思います。
動画に関する文書はもう他には出て来なさそうですし、現在のところ、当時この件に関わっていた人たちが、軒並みあんまり触れようとしていない(相手のミスを突く時だけちょこっと釘を刺す程度)ので、追加情報もなかなか無く、個人的な検証のしどころが無くなってきているからです。
フ議連の今後や、松戸市議会の今後や、ご当地Vtuberの今後等は気になりますので、それはそれでウォッチャーとして暖かく見守ろうと思います。
(自分のつぶやきなどをまとめ続けるだけと思いますが)
では、今回の情報公開請求はどのようになったのか、以下にまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
こちらは当時Twitterで呟いていたものをまとめたものです。
千葉県警への情報公開請求については、過去の記事もご参照ください。
2022年12月1日、申請
申請内容
(1)YouTubeチャンネルの『千葉県警察広報県民課』において公開されている『パウ・パトロールのひとこと交通安全教室』シリーズについて、企画提案書やキャラクター画像の使用権契約書等の動画制作に関わる文書(SNS文書、電子メール等を含む)。(2)千葉県警内で企画している子ども向けの動画制作や講座開催に際して、参照しているガイドラインやそれに準拠した部署内のマニュアル。
説明
今回解消する疑問は、千葉県警の公式YouTubeチャンネルに掲載している子ども向けのキャラクター(アニメキャラ等)とのコラボ動画では、どういう契約しているのだろうか?というのと、千葉県警は動画を作る時に何を参考にしてるんだろうか?というものです。
動画削除事件で盛り上がった批判の中に『子ども向けの動画にはふさわしくない』というものがありまして、個人的に『子どもに見せられない』という批判がものすごく不快だったもので、それがずっと気になっていました。
そのため、ではそもそもこの千葉県警が作成する『子ども向けの動画』とはどのようなものか…ということを知りたくなりました。
丁度チャンネルで何回かに分けてちばサイクルールを紹介している、子ども向けアニメキャラとのコラボ動画がありましたので、契約書の対比をすることで削除された動画がどのような意図で作成されたのかを推測できると思いました。
これが(1)です。
もう一つ、千葉県警が子ども向けの動画を作成するにあたって何か参考にしているマニュアルがあればそれを見せてもらえないかな、と思っていました。
また、男女共同参画基本計画が周知徹底され、実在する女性の人権を侵害するような情報への対策マニュアルもあるかもしれません。
それらのマニュアルに準拠して作成されているならば、『この動画は子ども向けである』『ジェンダー平等に配慮して作成されている』という客観的な判断が付けられると思ったからです。
これが(2)です。
2023年1月28日、受領
交付された公文書の写しについて
今回の開示請求で交付された公文書の写しは、以下の通りです。
アニメキャラクター「パウ・パトロール」のイラスト使用に関する「契約書」の締結について(伺い) 5枚
交通安全教育で指導すべき内容(歩行者編・自転車編)の一部変更について 40枚
交通安全教育で指導すべき内容(自転車編) 24枚
2と3については、被ってる内容が大部分でしたので、まとめて一つの見出しで記事を書こうと思います。
それでは順次見ていきます。
アニメキャラクター「パウ・パトロール」のイラスト使用に関する「契約書」の締結について(伺い)
<起案用紙(本部長決裁用)>
起案:令和04年2月18日
決裁:令和04年3月2日
施行:令和04年3月2日
件名:アニメキャラクター「パウ・パトロール」のイラスト使用に関する「契約書」の締結について(伺い)
内容:見出しのことについては、別添のとおり締結することとしてよろしい。
【課長まで決裁印が押され、部長と本部長の欄にはスラッシュが入っています】
「パウ・パトロール」のキャラクター管理を行う株式会社電通との締結となります。
警務部警務課企画2係へ、キャラクター使用の契約を締結する旨報告済みとなります。
キャラクターの使用にあたっては、その都度株式会社電通に確認をすることとし、イラスト管理を徹底します。
情報系端末においてドロップボックスを使用し、データを株式会社電通と共有します。(情報管理課承認済み)
所属・職・氏名:交通総務課安全教育第二係主任【名前黒塗り】
<別紙>
『キャラクター使用許諾契約書』(4ページ)が添付されています。
この契約書に記載されている契約者は下記になります。
甲:株式会社電通 コンテンツビジネス・デザイン・センター 〇〇〇〇
乙:千葉県警察本部交通部 交通総務課長 〇〇〇〇
(ここでは名前は伏せておきます/PDFでは見られます)
PDFではすべて見ることができますが、削除された動画の覚書の内容と対応すると思われる内容を抜粋して引用します。
※過去のnote記事と覚書PDFも、併せてご参照ください。
≪考察≫
このアニメは海外企業の作品なのですが、キャラクターを使用したい日本の団体が海外企業と直接コンテンツ使用許可のやり取りをするのではなく、電通が窓口となって広告主(この場合は千葉県警交通総務課)と広告内容や使用するキャラクターの素材についての諸々のやりとりをするための契約書、ということのようです。
読んでいて、あー、そういえば電通ってそういう事する会社でしたよね…という納得感と、電通もちゃんと仕事してんだな…という謎の尊敬の念が生まれました。
最初に気になったポイントは、契約書には、使用期間や契約期間の記載があるのと、ずっと掲載しておきたい場合にソレを無期限に変更するための条文がある、ということですかね。
後から掲載期間について話すなら、相手と事前に相談して契約書等に明記しているほうが妥当ですよねぇ…(反故にするにしろ)という…。
また、この契約書では、キャラクターだけではなく使用する素材や演出等に関しても事前協議について言及しており、『キャラクターの素材が使われていて、電通が最終的に内容を確認してGOサインを出した動画』を契約書の効力の範囲内に含んでいます。
つまり、動画の内容に関して警察も電通もお互いが責任を負担している書き方になっています。
電通側も、著作権者に対して窓口としての責任を負っているので、こういった内容になるのかもしれません。
一方で、削除された動画の覚書では、『某Vtuber事務所が制作した、某ご当地Vtuberが出演する、交通安全啓発動画』に対して効力が発揮するような仕組みになっています。
『警察側が映像の内容を確認してから公開することができる』…的な記述が無いところから、警察側は動画の内容に関して全く責任を負っていないことが分かりますね。
そして、削除事件の告発があった当初、Vtuber事務所社長が言及していた『次回作の有無』に関しての推察なのですが…
覚書の中に、制作期間や事前協議した掲載期間が明記されていないということは、今後作成された動画にも覚書の効力が発揮されるという事になるのではないでしょうか。
今後、Vtuber事務所が制作する交通安全啓発動画が『某ご当地Vtuber等が出演する交通安全啓発動画』であるならば、この覚書は次回作の事について包含していると言えるような気がします。
(自社チャンネル上で、交通安全啓発動画の続編が掲載可能性があるということだと思います…出来ることなら、頑張って欲しいです…)
(個人的な感覚ですけど、自社チャンネル内での動画配信で、制服コスや背景画像の流用は既に行えているので、非公認での動画作成のハードルは低いと思うんですよね…)
(政治判断、もしくは千葉県警内の協議、いろいろあるのかもしれませんが…)
交通安全教室で指導すべき内容(歩行者編・自転車編)
交通部交通総務課内で、交通安全教育の際に使用しているマニュアルのようです。
参照するマニュアルは、歩行者編と自転車編併せて40枚程度で、幼児や保育関係者に伝えるようなものから、児童向け、一般向け、高齢者向け等、内容は詳細に書かれています。
屋外などで実技講習を行う際の設置物の置き方やシミュレーションの方法、指導のポイントなども書かれていました。
中には、削除された動画で紹介されていた『ちばサイクルール』の内容も記載がありました。
道交法や指導方法が変更になるたびに、テキストも適宜更新しているようなので、『このテキストが最新のものです』というていで、20枚が追加で交付されたものと思われます。
全部で60枚超と、かなり量がありますので、一部抜粋したものをPDF添付します。
交付された文書のうち、削除された動画に関連すると思われる箇所を、テキスト引用でご紹介しますので、例の動画も併せて参照してみてください。
≪考察≫
このマニュアルを読んで、2021年7月19日付でチバテレ+から配信されたニュース記事に掲載されていた松戸警察署長のコメント「八街市であった小学生5人が死傷した事故のような現場は、松戸市にも何か所か危険なところは実際にある。そういうところを子どもたちに気を付けてもらいたい」を思い出しました。
「この動画は、『2021年6月の八街児童5人死傷事故』を受けて作成しました」という論旨は、動画か論旨のどちらかが間違っている話であると感じます。
あの事故は、明らかに自動車側に非があります。
きちんと交通ルールを守って道路を歩いていた子どもが事故に遭ったのに、「子供の側にもっと交通ルールの教育が必要だ!」という話になるのはおかしいのです。
(実際に、事故以降の交通安全啓発活動は、飲酒運転の撲滅運動がメインのようです)
もし例の動画を、今後も誰かが『子ども向け』と主張するのであれば、その主張の内容を詳しく確認する必要があるとは思います。
いずれにしろ、「動画の内容が『ちばサイクルール』だから子ども向けではない」「子ども向けの演出をしているから子ども向けだ」などの論拠で可否を断定するのは違うような気がしました。
一方でこの警察とご当地Vtuberが交通安全啓発運動でコラボするという企画は、若者に人気のVtuberが、千葉県独自の自転車ルール『ちばサイクルール』を紹介しつつ、自己のPRとご当地PRをして、交通安全啓発運動にも協力する…という、一石二鳥にも三鳥にもなる企画だったということは分かりました。
内容も、『ちばサイクルール』のうわべだけではなく、しっかりとマニュアルの内容に沿った分かりやすい説明をしようと考えていることが分かります。
時に『キラリアップ☆ちば』など他の交通安全標語なども加えているなど、ご当地らしさをプラスして紹介していて、『昔からご当地の事を知っている』ことのアピールもできています。
千葉県警の交通安全教育関係にはしっかりと指導マニュアルがあり、それに沿って動画を作成しているということは、これにて証明されました。
つまり、削除された動画は、『3分間の交通安全教育啓発動画』としては、全く問題の無い、要点を押さえた動画であったということです。
他方で、男女共同参画基本計画の手引き等は、交付されませんでした。
広報関係の部署が動画を作成するにあたっては、関係者の自主的な取り組みにのみ任されていて、男女共同参画基本計画などへの対策は特に行われていなかったという事も分かりました。
結論
『地方公共団体』(行政団体)の広報活動であるからこそ、ジェンダーバイアスの強化につながらないように配慮を行った発信が必要である…という、フ議連側の主張は分かりました。
チャンネル内にある他の動画の話になりますが、『保育園の保育士が全員女性』、『お酒を飲んで飲酒運転する高齢男性』など、素人の自分でも、ジェンダーバイアス強化につながると思われる演出がちょいちょい見受けられました。
千葉県警の公式チャンネルは、面白い動画が多く、千葉県民みんなで頑張っているという、それだけでも応援したいチャンネルではあります。
しかし、インフルエンサーが作成するバズり目的のエンタメ系動画ではなく、教育を目的に動画を作成しているのであれば、少しだけでもよいので、そういった事に配慮してもいいんじゃないの…?という気持ちに、正直、なりました。
そうなんです。
フ議連が指摘するような『女性差別』の問題は、今に始まった話ではないし、この削除された動画に限った話でもないのです…
では、なぜフ議連側はこの動画のニュースを見て、不適切だと感じ、公開質問状の送付まで行ったのか。
なぜ千葉県警は、不当な抗議なのにもかかわらず、著作権者に相談もせずに、勝手に動画を削除してしまったのか。
地元の新人タレントが出演した動画が、
『萌え系美少女キャラ』の動画だったから。
個人的には、削除された理由を、このように結論付けています。
だからこそ、フ議連が、あの動画を生贄に捧げて警察の綱紀粛正を図るというのは、横暴が過ぎるのではないかなと未だに思いますし、動画がフ議連の槍玉に上がったのを見捨てて、知らんぷりをした警察側の対応も、誠実ではないなと未だに思いますし、事あるごとに主張したいところです。
次の記事は、まとめの記事(の続き)になるかと思います。
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それでは、また。