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LGBTの解放だけでは不十分
①動物との恋愛
動物園で働く人によると、ゴリラは人間に一目惚れすることがある。飼育員なら世話をしてくれるから、愛情を持つのは分からないこともないが、見物客をひと目見て好きになることがあるらしいのは驚きである。人間が、このゴリラを好きになれば、両想いが成立する。もちろん、個人でゴリラを飼育するわけにはいかないが、犯罪者と恋に落ち、刑務所に接見に行く人もいるわけだから、動物園の檻の向こうにいても、恋愛することは不可能ではない。
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②機械との恋愛
アメリカで自動車と性行為をして逮捕された、というニュースを見たことがある。男性の場合、自動車に乗る=女性に乗るという感覚を持つ人もいるようだ。自動車の名前を記した結婚届を提出する人すらいるらしい。
機械との恋愛は、対象がロボットやアンドロイド(以下ロボットと書く)になることが将来的には予想される。
ロボットには人間のような機能が備わっていないという批判に対しては、現段階では機能面において不十分でも、未来社会ではさまざまな新機能が搭載されるかもしれないという反論が可能である。
だが、恋愛は全人格的な営みだから、部分的な技術の補強をしたところで、成立しないという声が聞こえてきそうだ。しかし、カナダの脳科学者によれば、恋愛で使われる脳の部位は中脳なのだという。中脳は反射神経を司る部位でしかなく、全人格に関わるわけではない。よって、恋愛用のロボットの製造も可能になる日が到来するかもしれない。
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③幽霊との恋愛
かつては知られていた牡丹燈籠という怪談(日本三代怪談)があり、主人公は幽霊と恋をする。霊感が強い人なら、幽霊との恋愛もあり得るだろう。仮に幽霊が幻覚で、それが精神疾患の症状だったとしても、精神病の患者にも恋愛する権利はある。
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④人形愛
これは、ロボットと一括してピグマリオニズムに分類すべきだったのかも知れないが、ロボットと異なり、テクノロジーの進歩で機能面が変わるわけではない。ただ人形愛の人の中には、人形の声が聞こえるケースもあるらしい。
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⑤フィクトセクシャル
漫画やアニメのキャラクターの愛好者も人形愛に近い。
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⑥LGBTの議論の問題点は、対象が人間(生きた人間)に限定されているところにあり、その人間中心主義が、いかにも西洋人の発想だという印象を受ける。
対象を人間以外の存在に拡張してこそ、真の性愛の多様性と言えるのである。したがって、LGBT(Q+など)の解放だけでは不十分だと言わなければならない。