子どもに夢を持ちなさいなんて言えない

子どもの頃に親や学校の先生に夢を持ちなさいとか、目標を持ちなさいとか言われて何度も作文で「将来の夢」「なりたい職業」なんかを書かされた事は大体みんな経験しているのではないだろうか。

私は魔法の天使クリミィーマミに憧れてアイドルになりたかったけど、小学生の頃から虐めに合っていたのでとても不細工な自分には無理だと思い、
せめてアニメに携わる仕事がしたい！声優としてマミちゃんや星矢みたいなキャラクターの中の人になりたいと考えて、それが夢であり、日々の地獄みたいな小中学校の中でキラキラ光る一本の蜘蛛の糸になった。

その後、声優アイドルブームの頃に成長した私はそれがどれだけ甘い考えで、愚かで無知であったか振り返ると後悔ばかりだ。

今でもよく憶えている、入所オーディションの時の質問に意気込んで「私は声優に成れないなら死んでもいいです！」と変な返答をしてしまった時に声優の難波圭一先生に「生きてる方が大変なのでやめた方がいいよ」と言われた事。

そうなんだよ、生きてる方が大変なんだよ。

養成所に入所して２年、夢は叶わずフリーターから親に心配され就職。
久々に実家に帰省したら父親には「夢を追いかけていた頃のお前の方がキラキラしてて良かった」とか言われちゃって人間失格まっしぐら。堕ちた。

その後なんとか這い上がりつつ、結婚し二人の子持ちことになるのだけれど生きてる時に意味を見いだせない時、ふらっと楽になりたいと思う。

今の生活は進撃の巨人で言うと平穏な壁の中の生活だ。

子どもも可愛いし、仕事もボチボチ。友だちもたくさん出来たしそれなりに楽しい。ただ、調査兵団に入隊して自由を、夢を求めて戦ってみたいが日々の生活に追われる中年のオバさんにはコンビニジムで贅肉を駆逐する程度が限界だ。

そんな生活の中、先日アニメ監督をしている旦那の友人が遊びに来た。
知る人には有名人、夢を叶えた人だ。
うちの旦那も結婚する頃に「俺は年収○○万稼ぐようになりたい！」と言う目標にほぼ達しているもうすぐ夢を叶える人。

そんな二人に挟まれて数日過ごしているのが「特に何もないと思う自分」には特別で嬉しいのに見合わない普通の自分に少し苦い思いがした。
たいした努力もせずに苦しいと思う事、相手と自分を同列に考える愚かさを知りながらも夢を叶えられなかったと思う事に死ぬ瞬間まで囚われるのだろうか？

私は自分の子どもに「夢を持ちなさい」なんて言えない。
叶わなかったら何の為に生きているのか見失う事さえあるそれは大半の凡人には呪いに違いない。

ジークが言ってたな、生きる目的とは「増えるため」

そしてアルミンの返答は「友だちと大きな木まで走っている時に風が気持ち良くて、楽しくて僕はこの為に生まれてきたんじゃないか？と思った」話。

その瞬間、瞬間を感じる仏陀の「今を生きる」と言う教えだ。

これを受け入れ日々楽しみを見出し生きていくなら煩悩と言う囚われの身から解放されるだろう。・・・・・それでも、

クサヴァーさーん！！
見ててくれよぉぉぉｘ！！！！

と諦めきれず苦しみに興じるのも生きる醍醐味ではなかろうか。
失敗する事より後悔して生きない悔いなき選択の為に。