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【Buyer's Voice】大手インターネット関連企業-マーケティングSaaS導入

Buyer's Voiceは、企業がどのように課題を整理し、解決策を把握、比較し、決断を下すのかという、Buyerの意思決定プロセスに焦点を当てた新しいメディアです。


第三弾は、インターネット関連企業の広告営業部門にてマネージャーをされている方に、マーケティングSaaSを導入した際の意思決定プロセスについてインタビューを行いました。

■決済者プロフィール
企業規模:数千人
業界:IT・メディア
部署:広告営業部
検討SaaS:マーケティングSaaS
導入結果:営業部門全体
購買プロセスにおける役割:意思決定者(マネージャー) ※最終決済者は上席(部長)


──ツールを検討しようとしたきっかけを教えてください。
きっかけは来期の予算決めのタイミングです。営業組織として次年度に何をしていくかという取り決めも含めての予算決めになります。その時に、今の組織の課題感や、それをクリアするために何を導入して、どう改善しようという、具体的なアクションプランが必要だったという背景があります。そこで、お客さんに深く入り込んで提案ができてないという課題から、競合分析ができるようなツールが欲しいというニーズが出てきました。

──課題については、現場のメンバーから声が上がってきたのでしょうか。それとも、ご自身が課題感を持っていたのでしょうか。
最初は私のほうで、将来的に営業組織をどうしていくべきか、大まかなイメージを持っていました。 その後、現場リーダーと面談を進めていくうちに、競合企業が弊社の既存顧客にリプレイス(乗換え)の提案をしに来て、それによって大口のお客様が解約してしまうというような事が起きました。 最初はふんわり思っていたところに、現場の実体感として表れてきたので、ここで進めていこうかという感じです。

──解決策はどのように調査していったのでしょうか。
入り口が来期の予算決めというところだったので、まず予算を考えました。なるべくコストは掛けないというのが弊社組織の背景にあるので、一番お金が掛からないやり方は何かというところから始まりました。 解決策として外部研修も考えたのですが、強制的に取り組んでしまうと、今までの組織カルチャーが変わってしまうという、変な不安を煽る危険性がありました。 一番手っ取り早かったのが、「ツールを導入するから、まず意欲のある人はそのツールを使って自分をアップデートしていこう」というきっかけづくりから派生して、成功事例ができ上がり、組織全体に意識や文化の第1歩が芽生えたらいいという思いで、ツールに踏み込む意思決定をしました。

──解決策の調査に掛けた時間はどうですか。
あまり悩まなかったです。 例えばコンサルが入ってくると、割と大きめの金額になってくるので、効果検証が若干難しそうだというイメージがありました。ツールであれば、入れたもので狙った効果が出たか、でなかったか、という検証がやりやすいという印象がありました。 またツールであれば、1~2年使ってみて駄目だったら別のアプローチという切り替えがしやすいです。

──解決策を満たす要件定義は、結構綿密にやられたのでしょうか。 それともこのプロセスは飛ばして、まずトライアルをしてみたのでしょうか。
後者です。まずモノを見た上で、弊社にフィットしそうかどうかというところを、割と直感的に考えていきました。各社、似たようなテーマでツールを打ち出しているので、実際に見てみないと、優劣の付け方が分からないと思いました。

──何社をどのように比較したのでしょうか。
最初はwebで検索して、ピックアップというフェーズで4社ぐらい挙げて、その後ウェビナーに足を運んで、商談を進めていって、最後に1社を決めるというステップです。

──web検索と商談の間にウェビナーがあったのですか。
1~2年前だったので、ウェビナーをやっている会社が多かったです。

──4社がそれぞれ開催しているウェビナーに参加したということですね。
4社全部には参加しませんでした、web検索してみて、弊社に合っていないものは落としました。この段階で半分の2社にしました。

──この2社は商談したのですか。
はい。

──比較の上での判断軸について教えてください。
まず挙がってくるのは価格帯です。予算決めのタイミングだったので、価格が現実的かどうかということが大きかったです。もう1つは、どのような会社が提供しているサービスなのか、きちんと見るようにしていました。

──会社概要ですか。
そうですね。見せ方が上手な会社はたくさんあるので、裏付けのデータや、ツールが今後も進化していくような会社の体制なのか見ました。 変な流行りの会社ではない印象を持てるところが良かったです。
例えば、設立したばかりで調達をされてなく、今後どうなるか不確定な会社もあります。あとは、コンセプトはすごいけど、資料を見た時に見せ方が上手なだけだと感じ取るとアウトです。 いい物を長く使いたいという感覚です。

──設立年が若くても、ビジョンがしっかりしていて、うまく成長しそうであればテーブルに上がるのでしょうか。それとも、ある程度実績があり、安定的な会社を選ぶのでしょうか。
設立年が若くて、ビジョンありきの会社であっても、より伸びていくイメージを持つことができれば、検討のテーブルに上がると思います。業界の中でも、しっかりとした根拠に基づく話題性があって、マーケティング的に話題を持ってきている感覚を持たなければ、検討するでしょう。 また、権威ある人が進めているとか、使用実績があり、その使用感も挙がっていて、その使用感を自分が客観的に見た時に腑に落ちるのであれば、テーブルに上がるでしょう。

──導入事例も重要になるのですね。
導入事例は重要です。そこに忖度がなく、リアリティーがあればいいです。

──他の判断軸もありますか。
機能面もあります。競合比較をして、〇〇のデータをお客さんに提示して、営業の根拠にしたいというような形で、やりたいことが明確にあったので、そこにフィットするかどうかということは、機能面を見ていきながら判断しました。

──2社の中で、その機能はどうでしたか。
差はありました。最終的にフィックスしたところは、われわれがイメージしているシナリオに全部沿ったツールでした。

──メンバーによって求めているものが違うこともあると思うのですが、どのように合意形成をされたのでしょうか。アンケートを取って多数決をしたのでしょうか。特定のマネジャー陣だけで決めたのでしょうか。
私とリーダー、あとは営業の役職者で決めました。われわれの営業組織自体が、かなりアナログというか、あまりツールを使ってこなかった部署です。 まずは競合比較ができて、お客さんのデータを見ることができて、ワンプッシュでパワポにして出せたらいいという、かなり抽象度の高いところから始めていきました。

──メンバーにアンケートを取るとか、直接聞くということは作業は発生しましたか。
それはしました。最後の1社は、1週間、デモを使わせてもらいました。その時に、今このツールを検討していることや、なぜ選んだのかということを伝えて、今考えていることとこのツールが合致するかどうか、皆に見極めてほしいということで、現場のリーダーに使ってもらいました。

──何人でしょうか。
リーダーは5人です。

──営業からの情報提供は偏ったものも含まれると思います。 実際に購買を進める中で、営業が提供する情報の検証はされましたか?
検証の中 で一番大事だったのは、デモを使わせてもらうところです。 当初、営業さんからは口頭ベースで機能面の説明を受けましたが、実際に使ってみた使用感の方が絶対に大事だと思いました。聞くよりも使ってみないと、こちらの肌感で絶対に分からないことなので、どんなに良い物でも必ず1回は使わせてもらわないと契約はしないです。

──2社ともトライアルをしたのでしょうか。
トライアルは最後の1社だけです。

──先ほどおっしゃられた判断軸で1社に絞って、最後の使用感を確認するためにトライアルを行ったということですね。
おっしゃるとおりです。

──話戻りますが、比較の際に4社ほどwebでピックアップされましたが、そこはフラットに検索して調べたのでしょうか。ある程度頭の中にこういう会社があると知っていた上で、決め打ちで4社を探したのでしょうか。
業界に長くいるので、ある程度は知っていましたが、私の情報の鮮度もあるので、知らないところを探すという意味合いで、いろいろ調べてみました。

──社内稟議を通すために一応比較をするという会社もあります。 御社は、そういう意識はなかったですか。
もちろん上申するに当たっては、比較をしたのか必ず問われるので、最後に説明をするフェーズも見据えて、最初から比較をしました。

──最初からこのサービスを導入したいという思い入れがあったわけではなく、フラットに4社から2社、1社に絞っていった流れなのですか。
課題感が出た際に、最初に「いいな」という会社があって、最終的にそこの会社に決めました。

──自分が知らないだけで、もっと良いサービスがある可能性もあるということも踏まえて検討し、結果的には想定どおりに落ち着いたということですね。
はい。

──ある程度事前に「このツールがいいな」というものがあったとして、最終的に大体それを導入する形になるのでしょうか。それとも、比較検討する中で、別のツールを導入する形にもなるのでしょうか。過去の購買活動の中では、どちらが多いですか。
過去といっても、それほど事例がありません。私が関わった意思決定は、このマーケティングツールと、セールステックの導入の2つです。 2つとも、自分が知っているものから入っていって、逆にそれを越えてくれるものを探すためにいろいろ調べるのですけれども、最初に知っていたものが一番良かったというところに落ち着きました。今考えると、比較検討するのは、別の人から1個ずつ持ち寄ったほうが良かったのかもしれません。自分の頭だけで4個選ぶというのでは、駄目だったと思います。

──上長への説明に対して、資料をまとめましたか。 それとも会議で口頭説明すればOKでしたか。
資料はベンダーに作ってもらって、それを渡して、私が口頭で説明する作業と、 ベンダーも交えて上司と私の3者で商談をするという、2つの形式で行いました。

──御社の課題や状況に応じてカスタマイズしてもらった資料を作ったのですか。
いいえ、先方が提供しているツールの概要資料です。

──それをご自身が肉付けして、口頭で説明したということですね。
おっしゃるとおりです。

──4社を比較する際に、比較表のような資料として落としましたか。
いいえ、そこは落とさなかったです。何社を検討して、何社と商談したかということは説明しましたが、それを資料にしたことはなかったです。そこはマネジャーの中で完結してくというスタンスです。

──上長は完全に信頼していて、そこまで細かく見ないということですね。
はい。

──プロセスを振り返って、苦労したことや改善点はありましたか。
先ほどの比較検討は、自分の頭の中でしないほうがいいかもしれません。今回の場合、最初に自分が「いいな」と思ったものが入っているので、そこに寄ってしまいがちになります。やりたいコンセプトや目的を明確にした上で、何人かで手分けをして、1社ずつ持ってきたものを吟味していったほうが、より良い比較につながるのではないかと感じました。1人でやるよりも、複数人でやったほうがいいと思いました。

──他にありますか。
自分が何をしたいのかイメージしていることを、自分以外の人に伝える作業を口頭ベースでしたのですが、「それをやってどうなるのか」と言われて、結構大変でした。自分が分かっていることでも、人に伝えて合意形成をすることは、結構難しかったです。

──それは上長ですか。リーダークラスの部下ですか。
上長です。

──今後、同じようなことがあった時に、例えば資料を用意して、プレゼンを充実させるなど、どのようにすればいいかというアイデアはありますか。
確かに資料の準備を入念にしたほうがいいでしょう。あとは、日頃から課題感を共有しておくことでしょう。いきなり自分が「こういう課題を持っていて、これをやりたい」と言ったところで、それを説明する作業が出てきてしまうので、事前の根回しではないですが、もう少し上長と状況のシェアをしておくと、話が伝わりやすいと思います。

──少し戻ります。上長から費用対効果を突っ込まれることはありましたか。
聞かれましたが、コスト感が大きなものではなかったので、説明しやすかったです。

──今、振り返ってみて、営業に期待することはありますか。
自分はその会社をいろいろ調べて選んでいますが、上長のほうはあまり知らない状態で話を聞くので、ある程度案内の正確性を保って、しっかりできることだけ伝えるように、真摯に営業するのがいいと思います。変に信頼を下げないでほしいです。

──期待感だけ高めてしまうということですか。
上長が割と細かいところがあり、事実との齟齬が生まれないように、かなり細かいところまで質問をするので、そこに対して上手に回答してほしいということだけです。 戸惑ってしまうと、信頼を下げてしまいます。私としては、その会社で進めようと思って、ベンダーを応援している立場だったので、そこを頑張ってほしかったです。

──他に、営業に対する期待はありますか。
アフターフォローのところです。ツールを入れて、きちんと組織に実装していくところがゴールなので、その後のフォローも期待しています。

──このツールは、年間予算でどれくらいのイメージですか。
約250万円です。

──最近は、営業に会わずに情報収集をする方も増えています。しかしweb上にあまり情報が載っておらず、嫌々営業と相談しないといけないケースもあると思います。そういった不満はありましたか。
営業の人と話すことは絶対に必要なフェーズだと思います。細かいところはその場で聞けたほうが良いです。営業の人との商談は必ずしたいと思います。

──情報収集する際に、説明資料が送られてくると思います。 商談した後も、その資料を見て、自分の中で情報整理するとか、HPを見て事例を探す作業をしましたか。
資料を頂いた後も、情報収集はしました。理由は、上長に対する説明責任が私に出てくるので、自分の中でしっかり掘り下げて理解しておこうと思いました。

──本日は貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございました。
こちらこそ、どうもありがとうございました。


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