生涯を閉じる瞬間に自分をこうして幸せにする
最愛なる母が召天しました。
人は誰でも生れる前は
お母さんのお腹の中で長い時をかけて育ち
そして、生まれてから母親の影響を大きく受けながら
成長していきます。
母親の愛情、生活習慣、環境、思考、行動など
子供は、良いことも悪いことも、それらを正しいと思い込んで
受け入れることになります。
大人になってから身に染み込んだ考え方などを変えたり
思い込みを外したりすることは、時間がかかるようです。
そういう点では、私はとても母に恵まれたと思います。
母は私に溢れるほどの
愛や勇気、チャンスを注いでくれました。
オーストラリアでの生活に賛成してくれた。
本当は心配だったはずなのに。
頼りないアメリカ人との結婚に祝福してくれた。
本当は反対だったのに。
この夫が浮気をしたとき
「娘をこんなに傷つけて!」と怒鳴りまくってくれた。
次男を未婚で産もうかどうすべきか悩んでいたとき
「いくらでも協力するわよ!」と味方になってくれた。
世間体のことで困ったはずなのに。
次男が難治性の白血病になり
恐怖で怯えている私にそっと寄り添ってくれた。
こうして私は多くのチャンスを逃すことなく
やりたいことをやらせてもらったり、
やるべきかどうか悩んでいるときに背中を押してくれました。
それが常識外のことであっても。
母のおかげで今の私があります。
このような偉大な母が
ひとり穏やかに有料老人ホームの部屋で
86年の人生を閉じました。
この母だけの部屋は、華やかに素敵に飾られていて
まるで天使が住んでいるみたいです。
私が駆けつけた時は、もう呼吸が止まっていました。
身体がまだ温かかった。
このとき、間に合わなくて悔しいとは思いませんでした。
なぜなら、私はとてもたくさんの時間を母と過ごしてきたし
感謝の想いを何度も言葉で伝えてきたからだと思います。
母の人生最後の言葉は、「ありがとう」 だったそうです。
息を引き取るほんの少し前に
ケアスタッフにひとかけらの氷を口に含ませてくれたときの言葉。
「ありがとう」という魔法の言葉は
自分自身も幸せにして、人生を閉じたと思います。
「ありがとう」という感謝の気持ちは、
相手の心を満たして、自分の心も満たされます。
感謝は、相手に寄り添って、あぁ~ほんとうにありがたいという
想いが湧いてくると、自然にありがとう!と言えます。
母のように、呼吸が弱くなり、脈が薄れていき、
死がそこまて来たときでさえ、「ありがとう」と言えたことは
ほんとうに感謝していたのでしょう。
そして、自分の言葉が自分を幸せにして
長い将来を閉じたわけです。
どのようにして生涯を閉じるのか?
私たちはわからないし、選べないけれど
死を迎える直前に、感謝の言葉で締めくくれたら
それは素晴らしく幸せなのでしょうね。
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