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ミュージカル『スリル・ミー』沼落ち②

4/3マチネ『スリル・ミー』新納さん×万里生くん(過去記事 2021.4.6)

前投稿の続きです😉
以下ネタバレしてます⚠️

始まる直前のシーンと静まり返った劇場内、なかなか客電が消えず、自分の立てるかすかな物音まで響き渡ってしまいそうな緊張感、わずか数分だとは思うけど、果てしなく長く感じた…今思えば、あの不気味な静寂からすでに物語が始まっていたのだと思う😌
 牢獄の中で年齢を重ねた”私”と記憶を遡って現れる19歳の頃の”私”、光の当て方を変えるという手法と万里生くんのお芝居で、一瞬で切り替わるの、お見事👏👏👏
 ”私”と”彼”とピアノ奏者だけのお芝居だと思っていたけど、仮釈放を認めるかどうかの係官?さんみたいな方があと2人、声で登場する🗣
何故、あんな事件を起こしたのか?という質問に、”私”は、お前らのような凡人には理解できるわけない…あえて言うなら”彼”への愛だ!的なことを言う冒頭のシーンは、さながら、『エリザベート』のルキーニの尋問シーンの様だった😦
新納さん”彼”に久しぶりに再会した万里生くん”私”、まるで可愛い仔犬のようなくりくりした目で、まっすぐに新納さん”彼”を見つめる、全身であなたが好きだって言ってる…まっすぐ過ぎて、思いの圧が強すぎて、空恐ろしさを感じた…その怖さの予感が本物だったとは、その時はわからなかったけど🔥
 かなりの上から目線で、余裕しゃくしゃくで、来てやったぞとばかりに”私”の前に現れる新納さん”彼”、一見強そうで、オラオラしてるけど、実は中身は脆いのではないかということが垣間見える絶妙な雰囲気を湛えていて、魔性というか、ほっとけないというか、”私”がどうしようもなく惹かれてしまったのがなんとなくわかる”彼”だった(ただ、新納さん、スーツ姿がめちゃめちゃ大人ダンディで、ちょっと19歳には見えなくて、それゆえに初見の私には、”彼”の言動の稚拙さが理解しづらかった)

”彼”は、弟ばかりを可愛がり、自分を顧みてくれない父親に対して、憎悪の念を抱いていて、心があらぬ方向にねじ曲がってしまった可哀想な少年親からの無償の愛を受け取れず、人格形成の上で一番大事な部分が欠落してしまったのかな…でも、頭脳は明晰で弁護士になりたいという夢もあって、社会性もそれなりに備えているから、自分の中で時折うずき出すスリルを味わいたいという異常な欲求を隠して、普通に生きて行けると思っていたんだろう😥

そんな”彼”が”私”に求めたものは…
[一緒にスリルを味わう共犯者になって]
だって”私”ことレイは、自分のことを120%愛してくれていて、自分の言うことならなんでも喜んで聞いてくれると、絶対に自分を裏切ることはないと信じ込んでいたし、自分の闇の部分を見せられる唯一無二の存在だったし、そんなレイを思いのままにコントロールできると高をくくっていたから…つまりは、無意識のうちに全力で甘えていたんだ🤭自分は超人だって言いながら、一人でやるのはちょっと怖い………新納さん”彼”はそんな風に見えた🧐

一方の”私”は、裕福な家に育ち、何不自由なく育った普通の少年のように思えるけど、もしかしたら”私”も、親の愛情に飢えていたのか、はたまた望めば何でも手に入る環境で育ち、他人の心と身体も同じように思いのままに手にすることができると思い込んでいたのか…😔
”彼”が”私”に向かって「お前と違って俺には友達がたくさんいる」って言ってることから、”私”は非常に小さな世界で生きているのかな…と🤔
たぶん、”私”には、”彼”の存在(たとえ離れていてもレイの中での精神的な距離はものすごく近かったんだろうと推察)と森でのバードウォッチングをする静かな時間があれば十分だったのかも…

そんな”私”が”彼”に求めたものは…
[僕だけのものになってずっと一緒にいて]
だって僕はこんなにも君を愛しているんだから…っていう利己的で一方的な強くて重い愛、抱きしめる手からも、触れる唇からも、話しかける声からも視線からも、新納さん”彼”からのラブビーム的なもの全く出ていないし、とっても事務的で冷たいのに、それでも”私”は震えるほど悦んでいる…”彼”にいたぶられながらも、君のすべてを知っているのはこの世で僕一人だけだよっていう優越感に浸って、いつかは自分にひれ伏すことになるだろうという絶対的自信があるようなどこまでもまっすぐで熱い視線…万里生くん”私”静かに怖いよぉ😨
で、万里生くんの歌声ってマイルドさの中に芯があるから、歌声そのものが”私”的😶ほわってしてそうで、すんごく強い思いが芯にある感じでなんていうか…”私”が濃厚😮

客席で観ている時は、”彼”がスリルを味わうために、契約上仕方なく犯罪に付き合わされている”私”のこと、可哀想って思っていたけど、今、振り返れば、その瞬間こそが”私”にとっては、至福の時だったのかなぁとも思う だって、2人だけの秘密がまた1つ増えるわけだし、その後には自分の要求を聞いてもらえるわけだから、”彼”とは違うゾクゾク感を味わっていたのかなって🤭
いやいや、やっぱり、自分の要求を聞いてもらうためにはそれしかないから、犯罪はいやだけど、仕方なく加担していたのかな…🙄

あとね、大ラスの2人のやりとりの意味が今ひとつピンと来てなくて…仮釈放された”私”、舞台奥にとうに亡くなった”彼”、あれは”私”が見ている幻?で、なんで最後に”私”はあのセリフを言うの?”彼”がいつも言っていたから?”彼”は亡くなっても、自分の中で生きてるよって意味?それとも、”私”が発した真の意味であの言葉なら、”私”にとって”彼”こそがスリルだったってこと?だとしたらさ、もしかしたら、”私”は”彼”を愛していたんじゃなくて、何でも手に入れることができた自分なのに、なかなか手に入れられなかった”彼”だから、執着したってことなの?どうやったら手に入れることができるか、考えながらスリルを楽しんでたの?えーっいくらなんでも、それじゃあ、虚しすぎる…最後のあの一言の意味ですべてが変わりそうだけど、何が正解?🤯?
…と、こうやって、はまっていくのか いろいろ確認したくなって…🧐

19歳の精神的に未熟な少年2人が交わした血の契約書…あの年頃の2人にとっては、ものすごく崇高なものに思えたんだろうね📇
親と子もある意味、血の契約書で結ばれてる…本来なら、血縁は切っても切れないし、絶対的に裏切らないものでもある…はずなんだけど、一歩間違えると、親子故に子供の心をむしばんでしまうことにもなりかねない💥

観劇時は、殺された幼い子の親の感情になり2人を憎んだ😠
でも、今は、何の関わりもない幼い子を殺すことに、罪悪感をみじんも感じない、この未熟な2人の少年の、その親たちの在り方が気になる 🥺とは言え、親の心子知らずで、親の深い思いはあれど、子供の心に届かない時だってある😣
このお話し、いろんな要素が詰まってて、観る側の年齢や置かれた状況によって、受け取り方が変わりそう…🙁
キャストさんが変われば、また全く違う印象になるらしいし、もうすでに私も、他の2組のペアや、これまでのペアも観てみたくなってる
『スリル・ミー』…やばーい😅
とにかく、あっという間の100分、固唾を飲んで見守るってこういうことだわって思わされた😐
新納さん、万里生くん、ピアニストの落合さん、素晴らしかった濃密な…時間と余韻をありがとう
そして、私はまだまだ引きずられる…きっと😏


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