これだけ覚えよう!NBAのベーシックなコールプレー10選
自己紹介
こんにちは、Aim lowのテツロウです。NBAチームのボストン・セルティックスで元スカウトのインターンとして働いていて、現在はアメリカバスケ好きの兄のコウと高校生の時に全国優勝経験者のハマダさんとNBA・アメリカバスケのトレンドやニュースについて解説をしているYouTubeとポッドキャストをやっています。まだご登録されてない方は是非チェックしてください!
はじめに
NBAはコピーキャットリーグ(Copycat league)と言われているのをご存知ですか?良い戦術は盗み合い、コピーし合う。それがNBAの文化です。
ヒューストン・ロケッツがミッドレンジのシュートを捨て、今の主流であるフリースローとスリーポイントシュートだけを重視したオフェンスを披露した時、大きなバッシングを受けました。
しかし、ロケッツが勝利を重ねるにつれてそのような批判は影を潜め、他チームも一斉にコピーし始めました。
2008年に優勝を果たしたボストン・セルティックス。HCであるドック・リバース氏の下で、ディフェンス担当のアシスタントコーチとして活躍したトム・シボドー氏の「アイス・ディフェンス」やウォリアーズのスィッチングディフェンスなどなどコピーキャットの例は枚挙にいとまがありません。
前回の記事ではゴールデンステート・ウォリアーズのHCスティーブ・カー氏が使うプレーコールとそのプレーコールがどのHCから影響を受けたのか?をご紹介しました。今回はNBAでもベーシックとなっているプレーコール10選をご紹介します!
①フロッピー
「フロッピー」は名将パット・ライリー氏が考えたもので、かなり一般的になっているプレーコールです。ベースライン上にシューターが二つのスクリーンを受けてフリーになるプレーコールです。ほぼ全てのチームが毎試合1回以上はこのフロッピーによるオフェンスをしています。
実際にゴールデンステート・ウォリアーズが実行している動画はこちら:
フロッピーは「フロップ」、いわゆる「バタバタする」という意味です。
そのため、実際にHCがフロッピーを指示するときは手をバタバタさせることが多いんです。
フロッピーにはバリエーションも多く、チームによってそのスタイルは若干変わってきます。
例えば…
スパーズのフロッピー:
シカゴ・ブルズ(2013年)のフロッピー:
②モーション(ストロング、ウィーク)
スパーズ発祥のプレーコール。このプレーコールはは効果が高いと、今ではどのチームも使っているほど。スパーズ以外ですと、元アトランタホークス、現ミルウォーキーバックスのHCマイク・ブーデンホーザー氏が愛用しています。シューターの選手が多いほど成功しやすいと言われており、常に動きを加えてディフェンスの動きに応じてカウンターを仕掛けるプレーです。
ますはモーションストロング:
実際に見るとこうなっています:
次にモーションウィークです:
実際に見るとこうなっています:
特にクリッパーズ、キャブズ、ウォリアーズ、スパーズがこのモーションシリーズを使うことが多く、ウォリアーズはスパーズのモーションウィークからホーンズセットに自然と流れる「エルボー」シリーズを作りました。
③ドリブル・ドラッグ・ピンダウン
こちらはドック・リバーズ氏が優勝を果たした2008年のセルティックス時代に作り上げたものです。最近だとクリッパーズ、ウォリアーズ、ウィザーズが頻繁に使っています。シューターをオープンにするために使われているので、クレイ・トンプソン、ブラッドリー・ビール、JJ・レディックのためのプレーコールとして使われています。
④ループシリーズ
スパーズがよく使うこのプレーコール。ループプレーはポイントガードが三つのスクリーンを回りフリーを作るためのプレーコールです。ディフェンスの動きを読みながら、途中で全スクリーンを使わずにフロッピーに変えることも可能。多くのチームがループやそのバリエーションを使っていますが、特にスパーズやウォリアーズが得意とするプレーコールと言えます。
⑤ウェッジシリーズ
ウェッジはガードとセンター(スパーズの場合はパーカーとダンカン)が状況を読みながら判断する多くのオプションがあるプレーコールです。ウォリアーズも同じくウェッジをやることが多いです。そしてウィークサイドでスクリーンプレーしてボールを回し、反対側でスリーポイントシュートを狙うためのプレーコールとして使われています。
⑥ラブシリーズ
ウォリアーズとスパーズが頻繁に使うピック・アンド・ロールプレーです。
引用:Golden State Warriors Playbook
⑦ハマーシリーズ
ハマーセットはスパーズが生み出した言われており、NBAのみならず数多くのNCAAチームも使っているプレーコールです。特にタイムアウト後や試合の終盤にかけて使われることが多く、コンセプトはベースライン上でスリーポイントを打たせるようなプレーコールです。
スパーズが実行するとこうなります:
2014年〜2015年のシーズンだけを見ても、ほぼ全チームが使っています:
⑧スライスシリーズ
スライスシリーズはドック・リバーズ氏がセルティックス時代に使ったプレーコールです。特にレイ・アレン、ポール・ピアス、ケビン・ガーネットを擁していた頃に頻繁に使われていたプレーコール。クリッパーズに入ってからは若干の変化を加えていますが、様々なオプションがあるのが特徴的です。
さらに特徴的なのが各プレーヤーに合わせたオプションがあること。
一つのスライスセットを実行すると別のスライスセットに自然と流せるようにもなっているので柔軟性があるんでしょうね。
こちらがセルティックスのスライスのベーシック版です:
そしてこちらがクリッパーズのスライスのベーシック版です:
スライスのプレーの中ではスライス1(ロンドのポストプレー用)、スライスダブル(アレンのキャッチ・アンド・シュート用)、スライスホールド(ピアスのアイソレーション用)、スライス5(ガーネットのポストプレー用)など、幅広いバリエーションがあります。
⑨ピストルシリーズ
ピストルシリーズ、もしくは21シリーズと呼ばれているのはアーリーオフェンスで実行するプレーコールです。クリッパーズ、ウォリアーズ、ロケッツなどがよく使っています。ポイントガードとシューティングガードがプレーを始めるので21シリーズとも呼ばれています。
オフェンス時にセットアップするとまずは広がる。その後、ボール運びしている1番に2番にスクリーンもしくはドリブルハンドオフをして、このタイミングでそのままレイアップ行けたらいきます。
次に1番をスクリーンした2番に対して4番がスクリーンをかける。そこで2番がシュートできればパスしてシュート。そして4番はそのまま1番のスクリーンに向かい、ピック・アンド・ロールの状況を作る。
ピック・アンド・ロールから2番へパスしてスリーポイントシュートという選択肢もありますし、2番に回してピンダウンをし、3番や5番をオープンにするという選択肢もあります。
実際に使っている姿は以下動画をご覧ください:
⑩ホーンズシリーズ
ホーンズもほぼ全てのチームが使っているプレーコールです。あのバッドボーイズを率いたデトロイト・ピストンズのHCチャック・デイリー氏が作ったプレーコールです。プレーコールする時はわかりやすく、角の形を片手で表します。
引用:Sportskeeda
多くのオプションがあることが特徴です。プレーのセットアップ後、ボールを持っている選手に対して二人の選手がスクリーンをかけ、ベースラインのスリーポイントラインに二人のシューターが待ち構えているプレーコールです。
以下動画にて様々なバリエーションをご覧ください:
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Aim lowメンバー自己紹介
ハマダ
スラムダンクの再放送世代として、小学校3年生からバスケを始める。小学校4年生より京都府の代表として、全国大会に出場。最終学年ではキャプテンを務める。中学校では一人暮らしをしながら東京へ。東京代表に選ばれる。高校では地元京都に戻り洛南高等学校に。最終学年で全国優勝を果たす。現在でも京都、東京でアマチュアチームに所属しています。
コウ(YouTube上ではピンクのブタです)
幼稚園から小学1年生までアメリカに住んでいた。その時、夏のバスケキャンプに参加。小2から日本に戻り、小学3年生からYMCAでバスケを始める。小6の時は市選抜と県大会を経験。中学、高校は学校のチームでプレイ。高校1年の頃からNCAA(アメリカの大学バスケ)の情報をほぼ毎日チェック。大学からはアメリカに留学し、遊びでバスケをやる。でも体格差があるのでよくオフェンスから狙われる(笑)。今はソフトウェア・エンジニアをしながら月に2、3回バスケを遊びでしてる。
テツロウ
兄であるコウの影響でバスケを6歳から始める。小学生の時にはYMCAで全国優勝を経験。高校からアメリカに留学して圧倒的なスキルの差を感じる(笑)。ボストン近辺の大学在学中に現ボストン・セルティックスのGMであるダニー・エインジに会い、セルティックスでスカウトのインターンとして採用してもらう。今はIT・ベンチャー企業で投資・スタートアップ活動をしながらバスケの分析を遊びで行っている。
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Written by Tetsuro | Edited by Ko and Yusuke