戦争よりも知るべきことがあるはずだ。山本寛氏への反論

 山本寛氏の「戦争を知らない子供たち」という題名のブログを読んだのだが、あまりにも無茶苦茶な論理に私は思わずTwitterでこういうことをつぶやいてしまった。

 私もかなり乱暴な言い方ではあったが、その内容には全く共感できることがなかったためにこうつぶやいたのだが、山本氏はこの後にこういうツイートをしてきた。

 まあ、確かに私も暴論であったためにそう言われても仕方ないと思ったために、改めて反論をしていきたいと思う。

 そもそも、山本氏の主張についてだが、まずはこれである。

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 端的に言うと、戦争を体感した世代は命の尊さと生きる行為にがむしゃらに向き合っていたから、高度成長時代をもたらしたとということ。

 対して、団塊の世代が全共闘の世代や反発もあっても、祖父母の世代の頑張りと実感のこもった教えがあり、それが生理的に体感的に伝わっていたからバブル期というボーナス期を経験したということである。

 そもそも、この認識がずれている。高度経済成長期はただひたすらがむしゃらに頑張ったから経済成長したわけではなく、朝鮮戦争を契機としたアメリカの日本の扱い方が大きく転換したことが原因である。

 朝鮮戦争の結果、日本は不沈空母として、極東というホットスポットを支えるための緩衝地帯であり兵站地にする。そのためには支援を行い、重化学工業に投資し、経済復興へと舵を切ったことから生まれた。

 無論、当時の日本の政財界の人間もこの方針転換を理解していた。何しろ、朝鮮戦争が始まった時、後に新日鉄会長となる永野重雄は「神風が吹いた」と呟いたほどである。

 こうした事情から、アメリカは日本に様々な融資を行い、日本の製造業は一気に飛躍していった。そして、日本の政財界はこの千載一遇のチャンスを見事にものにし、経済復興、そして更なる経済成長へとつなげていった。 

 それは戦争を知る団塊世代の親たちの努力よりも、むしろそれ以前の世代の人々が構築していった仕組みに乗っかっただけに過ぎず、彼らはそのレールをひたすらに前身していったに過ぎない。

 また、団塊世代にしても、バブル期というボーナス期からその後の失われた二十年という経済成長が一切ないとんでもない時代を生み出している。

 と言う具合に、山本氏にはこうした近現代史の知識があれば分かるようなことが全くといってもいいほどに記述がない。

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 団塊ジュニア世代は、バブル崩壊後の就職氷河期というとんでもない時代を体験している。これは戦争よりも危機的な状態だろう。

 何しろ、働きたくてもまともな就職先がないのだ。誤った経済政策のツケを払わされている世代である。

 また、山本氏はその下の世代にはこれでもかという具合にこき下ろしている。

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 だが、データを見ると、むしろ犯罪は減少傾向にあるし、これは山本氏の言う主観に過ぎないのである。

 そもそも、発言自体が自らの主観をダラダラと述べているだけなのだ。正確な方がおかしい。

 それでも山本氏の主張を続けると、こういうことになるらしい。

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 そもそも戦争という行為は人間を教育する代物でもなければ、人を進化させるために存在するわけではない。

 戦争とは、結局のところ人殺しを正当化する行為に過ぎない。それでも軍備を備えて戦争に備えるのは、侵略してくる敵に備えるからだ。

 山本氏は今ロシアに侵略されているウクライナの状況を見て、このようなことを思っているが、ロシアの侵略で生活を破壊されつつあるウクライナの人々から見れば噴飯ものの主張である。

 ウクライナの人々は、生命力を維持し、理想的な社会を作るために戦争をしているわけではない。

 ロシアという侵略国家に屈服しないために、ウクライナという祖国とそこに住む家族を守るために戦い抗っているに過ぎない。

 それに戦争を知る前に人としての道、道徳や倫理を学ぶべきであろう。そして、自分がまずは率先して身に着けることで模範となるべきであって、こういう極論に飛躍してしまうのはあまりにも無茶苦茶である。

 また、山本氏の主張は「我々の世代は酷いが、その下はもっとひどい。これは戦争を知らないからだ! だから戦争を学ぼう! 戦争は必要悪だ!」というスタンスである。

 単に、自分よりも下の世代を批判し、マウントを取りたいだけのことを「戦争は必要悪」「戦争を知らないから」などという一件らしいことをくっつけているだけなのだ。 

 だからこそ、いきなり戦争を知らないから、戦争は必要悪という無茶苦茶な飛躍した論理を口に出す。

 私は山本氏よりも下の世代だが、それでもこうした世代間抗争を煽るようなことは忌避するし、ジェネレーションギャップについては学ぶべきだと思うし、世代で人を判断するようなことはしないようにしている。

 そんなことをしても決して前向きではないし、非生産的な行動であるからだ。

 大事なのは、この状況をよくしていくにはどうしていくべきかという前向きな発想だろう。それは、やはり一人一人が自分からまずは変わっていくということから始めるしかない。

 いきなり世の中が良くなることはないし、その逆も然りである。そうした中で世の中を変えていく、前向きにしていくには、まずは自分から始めていくべきなのである。

 戦争を知る前に、まず山本氏は道徳や倫理について、学ぶべきではないだろうか?

 そして、それを学んだ上で自分が率先して変えていくことの意味と意義を、実践していくべきであろう。

 なお、山本寛氏の主張には、銀河英雄伝説にて主人公のヤン・ウェンリーがこう述べている。

「素晴らしいご意見です。戦争で生命を落としたり肉親を失ったりしたことのない人であれば、信じたくなるかもしれませんね。まして、戦争を利用して他人の犠牲の上に自らの利益をきずこうとする人々にとっては、魅力的な考えでしょう。ありもしない祖国愛をあると見せかけて他人を欺くような人々にとってもね」

 山本氏には、とにかく学びと実践を求めたいものだ。

 

 

 

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