エピソード#68 トラベルドクター伊藤玲哉先生率いる 「たびかな@熱海旅行」 2021年8月の記事より。
2021年8月の記事より。
(車両については、ここに記載してある車両は入れ替えや、災害での被害により廃車となり、現在はありません。)
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24時間テレビの中京テレビ(愛知県、岐阜県、三重県)エリアで放送されたドキュメンタリー。
トラベルドクター伊藤玲哉先生率いる 今回のたびかな@熱海旅行の話があったのは2021年6月に入ってからだと記憶してます。
プロジェクト実行までの2週間位で、メッセンジャーやズームでやりとりさせていただき、先生は空の車椅子を持って、熱海に下見にも来られました。
(出発する駅や熱海駅のエレベーター、多目的トイレなど、また、新幹線内などを一級建築士で福祉住環境コーディネーターの簾藤さんと一緒に出入り口や奥域、広さ、高さなど、車椅子を使いながら採寸するため)。先生が車椅子まで持ってくるとは想定外だったので、驚いたのと、熱意を感じました。
いろいろ検討して、当日の車椅子は、自宅から東京で新幹線に乗るまでは 東京で介護タクシーを運営されている「かごや」の木原さんの車椅子を利用し、新幹線の多目的室のシートに移乗、熱海駅に到着したら新幹線のシートからは伊豆おはなの車椅子に移乗し、熱海旅行中はそのまま利用。(帰りは逆の手順)。
旅館の部屋やトイレ内に一部、手すりがあったほうがいいかも、、という話になり、熱海の介護ショップ 「ミズタニ」さんに相談し、旅館の方にも許可を得て、据え置きの手すりも旅行当日に設置していただけました。
酸素濃縮器は先生が手配済み、入浴時に使うシャワーチェアは、弊社のものを使用(背もたれがあり、アームサポートが上げ下げできて、高さも調整できる)。
その他、出掛ける場所への下見、食事予定場所の下見、緊急時に連携していただける病院への挨拶など、下見時に移動しました。
下見時に行けなかった場所には弊社のスタッフが行ってくれて写真をたくさん撮ってくれたので、たびかなチームと共有できました。
今回、2泊3日の たびかな@熱海旅行は、熱海のたくさんの方の協力があったからこそ、「最後に見たい景色」が見れたのだと思います。
「景色」というのが、目の前に広がる海や空だけではなく、家族の笑顔、自分の生きる力、などなど。
T様は、長年、運転する仕事をされていたとの情報があり、運転をされていた方は助手席に座りたいという方が多いため、車椅子のままではなく、助手席が回転するシートのあるマナ号のことを伊藤先生にお伝えした所、御本人がマナ号を希望されました。
ナースドライバーである私、河瀬愛美が初日はマナ号(タント)を運転してご対応させていただきました。
ただ、体動時に呼吸苦増強する可能性もあるのと、新幹線で移動してくる道中で体調が急変する可能性もあったので、車椅子のまま乗車できる車両(ドライバー河瀬豊)も熱海駅到着時には待機していました。
ですが、熱海駅に到着されたT様は帽子にアロハシャツに短パン、かっこいいスニーカーを履いて笑顔満開でした。
そして、助手席が回転するマナ号を見て「へぇ〜」
と感心され、移乗しても呼吸苦なく、助手席から見える熱海の海や山や街並みを見て、すごく嬉しそうでした。
旅館ニューとみよしさんに到着してチェックインはご自分でされました。
少し休憩するかと思いましたが、「海に行きたい」と言われ、車椅子に乗り、近くの うみえーる長浜に行きました。
この時は伊藤先生、理学療法士の熊倉さん、弊社のスタッフ溝田と私(河瀬愛美)で車椅子のまま波際まで行きました。
正様は、海を眺めながら、泣きそうな、でも嬉しそうな表情をされていました。
そして、「海に足を浸かりたい、歩きたい」と言い、少し離れた場所に持っていったシャワーチェアを置き、両サイドで支えられながらも 両足が浮腫んでいる方には見えないくらい、しっかり地に足をつけて歩かれました。
温泉にも入られました。
ニューとみよしさんの展望風呂はオーシャンビューで海を眺めながら、2日目には合流されたご家族ともお話しながら、本当に良い表情をされ、2泊とも温泉を楽しまれました。
2日目は社長、河瀬豊がハッピー号(NV200バネット)で対応。
熱海のサンビーチに行かれ、合流した娘様、お孫さんと海を眺めながらビーチを散策。
この時に、正様が「ビーサンが履きたい」と言われ、近くのコンビニやお土産屋さんなどを巡りましたが、足が浮腫んでいる正様に合うサイズのビーサンが見つからず、、。熱海マリンサービスの光村さんに電話で「大きなサイズのビーサン、買える場所知ってますか?」と相談をしたら、「今、マリーナにいるから届けるよ〜」と、なんと船で海から登場〜。
偶然のサプライズのような出来事に、みんなびっくり!
きっとお孫さんには、「おじいちゃんが魔法を使って船に乗ったおじさんからビーサンが届いた!」位の思い出になるんではないでしょうか?
そして、船から届けられたビーサンは、大きなサイズではありましたが、浮腫んでいる足には入らず。
でも、T様は、「せっかく船で持ってきてくれたんだから、一日は借りておきます」と嬉しそうでした。
2日目の昼食は古民家の佇まいの多賀蕎麦でお蕎麦を完食。
そして、2日目の夕食では娘さんの旦那様と美味しいお酒を飲まれたようです。3日目は、雨でしたが、熱海プリン食堂(エレベーターあり)のテラスで海を見ながらご家族と楽しそうにプリンを召し上がっていました。そして、最後は熱海城へ。伊藤先生、理学療法士の熊倉さん、カメラマンの秋池さんもいたので、私達は車内待機していました。初日に熱海城はお孫さんが喜ぶと思いますよ〜と伝えていましたが、正様も 車椅子に乗ったまま卓球やバスケ(シュート)をして楽しんだそうです。
卓球をするには数段の階段を昇降しないといけない状況だったそうですが、介助で階段昇降をされたとのこと。卓球を元々されていたT様は車椅子に乗ったまま娘様ご夫婦と卓球を楽しまれてよかったです。
最後は熱海駅に到着後、仲見世にある久遠でパンを買ったり、お土産屋さんでお土産を買ったりし、みんなで記念写真を撮り、新幹線の多目的室にご案内して、見送りました。
本当に私達にとってもすごくハッピーな時間で、学びもたくさんあり、なにしろ、伊藤先生がいらっしゃるから、安心でした。
今までも、旅行のお手伝いはしてきましたが、「もしなにかあったら、、」という位の体調で来られる方もいたので不安も多かったのです。
今回は、ご家族の他に、伊藤先生が居られ、多職種の方がサポートしてくださり、福祉用具の方、酸素会社の方、旅館や飲食店、公共機関、病院の方などの連携もあり、すごく充実し、自分たちも楽しかったです。
この旅の2週間後の7月3日㈯に熱海市伊豆山の土石流災害があり、たびかな@熱海旅行が かなり前の出来事のような気がしていましたが、今日、24時間テレビ(中京テレビエリア)のこのドキュメンタリーを観て、鮮明にたびかな@熱海旅行のことが思い出されました。
映像を作ってくださった中京テレビの鈴木さん、柴田さん、ありがとうございました。
最後に、Tさん、ご家族の皆様、最期の旅行に熱海を選んでくださりありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。
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