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エピソード#71 ご家族の節目となる時に関わらせていただくことのできる仕事


この仕事を始めて、そのご家族の節目となる時に関わらせていただくことも多くなってきました。

Fさんとそのご家族とのエピソードをご紹介します。
開業してから1年後位から、継続的に Fさんの外出のお手伝いをさせていただいていました。
Fさんは突然の病で長期療養が必要になり、入院しながら、リハビリをがんばられていました。
 
初めてお手伝いしたのは、201X年の秋。
大学生になった娘様が 大学の伝統ある行事の中で 日頃練習している成果を発表する機会があるため行きたいという内容でした。
この時が 病気になってから初めての外出で2年ぶり。それも、目的地は病院から5時間はかかる場所のため昼過ぎに出て 帰りは深夜になるという行程でかなりの長時間移動。
病院から外出許可がおり、ご家族と病棟ナースとも連絡を密に行い、付き添い中は 食事の時間も関わらせていただくので、事前に食事をしている様子を見させていただくために面会に行くなどして準備をしていきました。
 
初めての外出の時は 普段利用されている背もたれが調整できるリクライニング車椅子を病院側が用意してくださり、伊豆おはなの車両で最初から最後まで関わらせていただきました。
この時は、娘様の晴れ舞台を見て喜ばれ、会場では久しぶりに他のご家族や友人にも会われ、涙を流して再会を喜ばれていました。帰りはFさんを病院にお送りした時には深夜で日付が変わっていましたが、Fさんは疲労よりも嬉しさで 車中でも 落ち着かれていました。
 
そして二回目の外出は201X年1月。
「娘の成人式の時に 写真館で家族写真を撮りたい」という内容でした。
最初は入院されている病院周辺の写真館を探すか、家族が住む東京へお連れして 東京の写真館で家族写真を撮るという話もありましたが、成人式の日は祝日で都内に車で移動するのは かなりの渋滞も予測されました。写真を撮ったらすぐに病院に戻るというスケジュールになるため、Fさんの体力も考え、私たちから ひとつ提案させていただきました。
 
「熱海は都内から新幹線で1時間以内。病院からは車で2時間。中間点の熱海の写真館で家族写真を撮るというのは いかがでしょうか?」と。ご家族に提案する前に 熱海の写真館の方に いろいろ相談し、車椅子が通れそうな幅があるかなども 実際に見に行かせていただいてました。
ご家族は、その提案を 受け入れてくださり、娘様の成人式の時の家族写真は お子さまだけでなく、Fさんと奥様の高齢のご両親まで揃い、熱海の写真館で撮っていただきました。
「家族写真を 撮る」という目的で 熱海にご家族が集まったのです。
成人された娘様が「お父さん、来てくれてありがとう」と言って握手をしている姿を見て Fさんもご家族も泣いており、私たちも 涙が溢れました。
そして、3回目となる外出のお手伝いは2年振りとなる201X年3月。
「娘の大学の卒業式に行きたい」。連絡があったのは2月の終わり。
依頼日まで2週間もない3月の土曜日ということで、他の仕事もあり、即答はできず、いろいろ考えました。当日は式典の時間が朝からなので 奥様は 病院には来れない、病院からは「看護師添乗なら外出許可」という条件。ただ、お話を聞いていく中で2年前よりもかなり回復されている様子が伺えました。行けるならずっと関わらせていただいているので私が添乗したい、でも 他の仕事もあるから 私が添乗するのは 無理か、、。出発地の病院に比較的近い 外出同行経験のある看護師の友人にも相談したり、本来土曜日は休みのスタッフさんに聞くと「出勤しますよ!」と 快く言ってもらえ、そこから、落ち着いて考えられ、アイデアがいろいろ浮かんできました。
 
「看護師同行」というところを中心に考えていったら、病院から都内まで 車で移動となると この時期の土曜日は 渋滞に巻き込まれ、朝からの卒業式に間に合わない可能性があり、帰りも 渋滞かもしれない。
だったら、、、。
熱海は新幹線が停まる。病院から熱海までは伊豆おはなの車両で移動、熱海から品川までは新幹線で移動、新幹線も多目的室を予約すれば車椅子のままでも安心。
品川から会場の大学までは東京の介護タクシーを利用。帰りはその逆の手順。最初から最後まで看護師は同行する。ご家族に ご提案すると「新幹線で行く方法なんてあるんですね‼」と 快諾。
 
私たちは新幹線の切符の手配や東京の介護タクシーを手配し、奥様には病院との連絡をしていただきました。
 
当日は 朝の5:30過ぎに病院にお迎えに行きました。病院の栄養士さんも軽食を用意してくださり、Fさんは介助なくても食事ができているのを確認できました。
夜勤の看護師と連携し、 スーツに着替えるのを介助し、食事や排泄時に必要な物品を預り、体調の確認、食事時の注意点などを確認して6:00過ぎには病院を出発。
2年前はリクライニング車椅子でしたが普通の車椅子に座ることもでき、2年前にお会いした時より 表情がとても豊かになった印象がありました。
2年ぶりの車窓からの景色を楽しまれながら、ご自分やご家族の近況を教えてくださったりと 車中はずっと笑顔でした。
 
新幹線は 数年ぶりのFさんは 熱海駅に着くと「車椅子だけど、新幹線乗れるの?」と質問。
「駅員さんに頼んで 新幹線のドアが開いたらスロープを付けてもらうので、大丈夫ですよ。新幹線の座席にも 移らなくても車椅子のままでいられる指定席を予約したので大丈夫ですよ。」と伝えると 安心されてました。
 
新幹線の駅員さんは乗る駅、降りる駅で連携してくださっており、降りる駅でも スロープを用意してくださっていました。
駅員さんは 降りた駅では「こちらからはタクシーですか?」と気にしてくださり「介護タクシーを予約してます」というと 介護タクシーが待っている一番近くのエレベーターをご案内してくださり、スムーズに 介護タクシーの方が待っていた場所に行けました。
介護タクシーの方とは 事前に打ち合わせさせていただいてたので、初めて会ったような気は せず、安心しました。
 
大学に着き、早めに着いていたご家族と 合流。
Fさんのご両親も来ており、「久しぶりだな~。顔色が良くなったな」と再会を喜んでおられました。
 
大学の卒業式なので、多くの人がいましたが、通路を通るときも「先に通ってください」と学生さんや先生、保護者の方が気にかけてくださったり、会場の下の階に多目的トイレがあったのでエレベーターで降りたら 「下の階に多目的トイレがあります」と教えてくださった係りの方が、わざわざ、階段で下まで来てくれて 多目的トイレまでご案内してくださいました。
 
また、式典の間 車椅子にずっと座っているのも辛くなるので 途中 廊下に出て、「一度 立ちたい」と言われたので 身体を支えて 立位になっていただき 再度 車椅子に座っていただこうとしたら、ご案内係りの方が車椅子が動かないように 支えてくださったりと 心のバリアフリーを感じられる嬉しい場面がたくさんありました。
 
式典のあと、学食に行き、ご家族と久しぶりに食事をされました。常食をほぼご自分で召し上がる姿を見て ご家族も喜ばれていました。食事中は 私は Fさんが食べやすいように 一口大にしたり、麻痺があるため、お皿を持つことは難しいので お皿やお椀を持ったり、水分にトロミをつけるために 病院看護師から預かったトロミ材を使って トロミにしたりなどのお手伝いしました。
ご本人とご家族は 久しぶりの一緒の食事を楽しまれました。
 
その後、卒業をされた娘様と合流。袴姿の娘様を見て「綺麗」と喜ばれていました。
記念写真をたくさん撮り、話し、帰りの時間も迫っていたので バタバタとしましたが、ご本人は 「楽しい1日になりました」と言ってくださいました。
 
病院に到着したのは18:30過ぎ。夜勤の看護師に出迎えられ、「楽しかった。」と話されてました。私たちが 熱海に到着したのは21時近く。長い1日になりましたがあっという間でもありました。
ご家族からは 「また下の娘や息子の成人式もあるので、お願いします」と嬉しいお言葉もいただきました。

この後も、ご家族の節目となる日に関わらせていただき、現在は回復されて、自宅に帰る事ができ、ご家族と暮らされています。

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