エピソード#82 患者等搬送事業者して、この経験を生かしていきたい~AEDを使用~
数年前のエピソード。
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ケアマネージャーさんから、「明日の入院なのですが対応できますか?」と、普段は定期通院で対応させていただいているご利用者様の入院送迎依頼がありました。
前日の依頼の状況から、心配な体調ではあり、なるべく早くに訪問できるようにスケジュールを調整しました。
ご本人は一人暮らしで、一週間前の通院送迎では、なんとか歩行できていました。今回は、ベッドで寝たままという状況という情報の基、布担架で抱えてストレッチャーで搬送という二人介助の想定で介護福祉士の社長と看護師の2名で訪問。
訪問すると、利用者様はベッドで休まれており、声掛けに頷きはしてくれましたが、意識は朦朧としており、顔色不良、手足は冷え、脈は触れにくく、呼吸はかなり早い。頸動脈はかろうじて触れた。血圧や酸素飽和度は測れない。
これは、救急要請が必要と判断し、自宅に向かっていたご家族に電話で、救急搬送が必要と伝えました。ケアマネージャー、関わってくださっていた訪問看護ステーションにも状況を伝え、救急要請することを伝えました。
救急要請をし、ご家族が到着し、救急隊が搬送しやすいように部屋の動線確保をしていた時に、ご本人が涙を流し、大きく呼吸をしました。
「あっ!」っと思った瞬間、呼吸停止。
すぐに、心肺蘇生(心臓マッサージ)開始。
社長は、「AED持ってくる!」と、おはな号(車両)に戻り、私は必死に声掛けながら心臓マッサージ継続。息子様にも声掛けをし続けてもらいました。
AEDを3分後に装着し、起動。
心臓は動かない。声掛けながら心臓マッサージ継続。
背中の下に硬いものを入れたく、心臓マッサージをしながら周りを見渡すと、衣装ケースの蓋が目に入り、衣装ケースの蓋を身体の下にいれ、心臓マッサージ継続。
救急車の到着前に、消防車に乗った消防の方が到着。状況を伝え、引き継ぎし、救急車到着後、病院へ搬送していただいた。
他の方の通院送迎もあり、気になりながら搬送された病院に、後から行き、ご家族に会えました。
ご家族からは、「逝ってしまいました。看取っていただいてありがとうございました」と声を掛けてくださいました。
AEDも起動したけど、、、助からなかった、、、。
入院するためのお手伝いをするために訪問したので、救命できず、力及ばず、無念です。
ですが、利用者様が一人で寂しく逝ったのではなく、ご家族様や私達がいる中で旅立つことを選んでくれたのだとしたら、、、とか、孤独死にはならなかった、、とか、勝手ながら、そう思うと、少し報われるような気がします。
ご利用者様のご冥福をお祈り致します。
2016年に伊豆おはなの車両にAEDを導入して5年目で初めてAEDを使いました。
結果、救命はできませんでしたが、今回のことを学びにし、熱海市消防本部認定患者等搬送事業者第1号として今後に生かせるように精進していきます。
こういう場面に遭遇した後に、思うのが『あれで良かったのか。もう少しなにか出来ることはあっただろうか』という思い。
看護師として、熱海市消防本部認定患者等搬送事業者でもあるので、その思いだけは強い。
また、社長は10歳の時の熱傷事故の時に、救急隊の方の迅速な処置と搬送で病院に繋いでいただき、救命していただいたので、同じく思いは強い。
だからこそ、自問自答して、自分の経験にしていく。
今回の出来事で日々、学びの姿勢を忘れず、救急に関しては特に復習していこうと思います。
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