メアリー・スー
流行りのなろう系小説のような無敵主人公が苦手だ。元々ラノベ自体が「主人公がどんどん勝利と成長を重ね、仲間ができて、主人公を中心としたコミュニティが発展していき、プラスが積み重なっていくさま」を描くものが多く、その主人公に感情移入出来るかどうかがこれを楽しめるかどうかに繋がっていく。ラノベはヒロインが死ぬと次の巻から売上が落ちるらしいが、それはやはり主人公が勝利と成功と積み重ねポジティブな気持ちになれる物語が前提としてあるからで、その行き過ぎたものがなろう系の無敵主人公だと思う。「若きウェルテルの悩み」を読んで主人公が失恋自殺するさまに影響を受けて自殺者が何人も出るより、超次元的力を持って無双しているなろう系小説に影響を受ける方がある意味健全なのかもしれない。
最近まで、そのなろう系小説における無敵主人公が出てくる物語を「なんとなく苦手」で片付けていた。別に作品を否定したいとは思わないし、なんとなく苦手だから避ければ良いやと思っていたが、苦手理由にちゃんと向き合ったときに理由がわかった気がした。
大前提として私は死人が出たり憂鬱な気持ちになるような小説が好きなので、その好みとなろう系小説は真逆に位置しているため苦手意識が芽生えたのではないかと思う。勇気付けられる冒険小説よりリアリティ溢れるドン底に落とされる小説が好きだと自分で理解しているから、ミステリー小説等に好みが偏る。そうした好みの話はどこまでしても平行線だ。また、こういったなろう系小説は「○○したら△△だったので××してみた」というような題名がテンプレ化しており、このつくりの題名はなろう系小説を超えて色々な漫画やラノベに使われるようになっている。どんな話だろうというワクワクすることがなくなったこのつくりの題名にも苦手意識がある。
なろう系の無敵主人公が苦手だと思う人は私以外にも居るには居ると思う。様々な理由や偏見を元にそう思っているだろうし、同意を求めても仕方ないと思うが、なろう系小説の無敵主人公キャラってメアリー・スーに似ていませんか? 少なくとも私は似ていると思っており、それが先程言った苦手な理由だ。
メアリー・スーとは二次創作用語の一つで、主に「原作ファンによる二次創作の中に登場する、原作の主要キャラクターよりも格段に優秀な、作者の分身のようなオリジナルキャラクター」などを指す。メアリー・スーは二次創作においてタブーとされている。〈原作の世界観をぶち壊すようなキャラクター設定〉〈原作のキャラクターから過剰な好意や賞賛を受けている〉〈原作のキャラクターを踏み台にしてご都合主義展開で活躍〉〈原作キャラクター達に最大限惜しまれながら亡くなる〉等が最初に問題となったメアリー・スーだ。今では「メアリー・スー」という言葉自体の定義が広がり、夢主や痛い最強のオリジナルキャラクターを揶揄する言葉としても使われている。
これがすごくなろう系小説の無敵主人公キャラクターに似ていると思う。勿論なろう系小説には原作がないため、原作のキャラクターを踏み台にしたり世界観をぶち壊したりはしないのだが、メアリー・スーを一次創作に用いたのが行き過ぎたなろう系小説の無敵主人公キャラクターだと感じる。それを私は気持ちが悪く苦手だと思っているのだと思う。触れなければ良いのは間違いないしそうして今までもこれからも自衛するつもりだが、あまりにも無敵主人公キャラクターを用いた小説や漫画が増え過ぎているのでこうして言語化してみた。
思ったこと考えたことを言語化して全てnoteに垂れ流してしまうのは本当はあまりよろしくないのかもしれないね。
それでは、また。