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「スモール・スモール・スモール・ステップ」その1

今回は、「幼稚園や学校で話せない子どものための場面緘黙支援入門」という本を読みました。

私は(自称)場面緘黙症です。正式に診断されたことはないので(自称)と付けているのですが、話さなくてはならない場面であると分かっていても、話せないときは本当に話せません。特に仕事をするうえで困っています。

この「幼稚園や学校で話せない子どものための場面緘黙支援入門」という本では、場面緘黙症の子どもが幼稚園や学校で話すことができるために、スモールステップよりも小さなステップ、筆者が「スモール・スモール・スモール・ステップ」と呼んでいる支援策をいくつか紹介しています。

そこで、その「スモール・スモール・スモール・ステップ」の考え方を踏まえながら、現在の自分が話せるために、どのようなステップが作り出せるのかについて、考えてみたいと思います。


場面緘黙の医学的診断基準

そもそも、場面緘黙とはどのような状態なのでしょうか。本書では、世界的によく用いられている二つの診断基準が引用されています。

アメリカ精神医学会の診断基準 DSM-5
 
2013年に刊行されたアメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」(アメリカ精神医学会、2014)に示されている場面緘黙の診断基準は以下のとおりです。

 A 他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特  
  定の社会的状況(例 学校)において、話すことが一貫してできない。
 B その障害が、学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーショ
  ンを妨げている。
 C その障害の持続期間は、少なくとも1カ月(学校の最初の1カ月だけに
  限定されない)である。
 D 話すことができないことは、その社会的状況で要求されている話し言
  葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるも
  のではない。
 E その障害は、コミュニケーション症(例 小児期発症流暢症)ではう
  まく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精
  神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

14-15ページ

WHO(世界保健機関)の診断基準 ICD-11
 
世界的に用いられているもう1つの診断基準で、2018年にWHOから公表されたICD-11(国際疾病分類、第11回改訂版)では、次のように記述されています(WHO、2018)。

 場面緘黙は、特定の社会的状況、一般に家庭では十分な言語能力を発揮するが、他の社会的状況、一般に学校では一貫して言葉を話すことができないという、発話に一貫した選択性があることを特徴とする。その障害は少なくとも1カ月続き、入学後の1カ月に限定されず、学業や対人的コミュニケーションに支障をきたす。話すことができないのは、社会的状況で必要とされる話し言葉を知らないことや、その話し言葉に慣れていないこと(たとえば、学校で話されている言語と家庭で話されている言語が異なる場合など)が原因ではない。
 除外項目:統合失調症。幼児の分離不安症に見られる一過性の緘黙。自閉スペクトラム症。
 

15-16ページ

私の場合は、主に小学生の時、場面によって話せなくなってしまうことが続いていました。
例えば、両親や兄弟とは問題なく話せるが、祖父母とはほとんど話せない、休み時間にクラスメイトとは話せるが、授業中にクラス全員の前に立つと話せない、などです。
ただ、この症状が学業や対人的コミュニケーションに支障をきたしていたかというと、判断が難しいところかなと思います。なぜなら、授業への参加度が著しく低かったわけでもないですし、クラスメイトや先生、祖父母とはある程度コミュニケーションを取ることができていたからです。
ですので、「場面緘黙症」という言葉を知らなかった当時、仮にクリニックを受診していたとしても、「あなたは場面緘黙症です。」とはっきり診断されるのではなく、「場面緘黙傾向があります。」と言われるにとどまった可能性もあると思っています。


実態把握

この本では、場面緘黙の子どもを支援する際、まず初めにその子どもの実態把握をすることが重要であると述べられています。そして、実態把握の方法として、「かんもくネット」のホームページからダウンロードできるチェックリストについて触れられています。
私は、その中から「どきどき不安きんちょう度チェックシート」を選び、「学校」を「職場」に置き換えて記入してみました。
以下の画像がそのチェックシートです。プリンターのインクの色が悪かったことと、両面印刷にしたことが原因で、多少見づらくなっていますが、大目に見ていただければと思います。

このチェックシートから分かることをまとめると、私は、人に話しかける際にかなりの不安や緊張を感じてしまうということになります。
不安や緊張を感じるあまり、職場の人に話しかけることが難しく、社会人の基本である「報告・連絡・相談」をスムーズに行うことができないのです。

今回はここまでにして、次回に続きたいと思います。

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