『86 SUMMER FILM』とバチュンの軌跡

『86 SUMMER FILM』は、星島ゆいの「ぼっちじゃないよ」という台詞から始まる。2023年TIF前の「Merry BAD TUNE.は誰も置いていかない。この先の未来に、今ここにいるあなたがいて欲しい。」というMCを思い出す。

TIFメインステージ争奪戦そしてメインステージの話は、いつか全てを書けたらいいのだけど、今の僕にはまだ難しい。だから、ここに書くのはほんの一部分。更に付け足すと、僕はただの一観測者に過ぎないから、あくまで「見てきたこと」の記録でしかない。

端的に言えば、メインステージ争奪戦は、未来を変えたくて頑張ったオタクたちの物語だった。もちろん、メンバーや運営の努力、パフォーマンスが前提だし、そもそも、どんなオタクがいて、それをどれだけ動かせるかなど結果につながる要素すべてが"実力"なわけだから、どこまでいってもバチュンの物語であり、これを本当はなんて表現するのが適切かはわからないけれど。

それでも、「これでオタクを終わったって」「ここだけは」「何としてでも」と願いを重ね、どうしてもTIFのメインステージに立たせたかった。負けたら、もしかしたら、すべてが終わってしまうかもしれない、そんな現実を捻じ曲げたかった。
それをきっかけに、色んなステージに呼ばれ、たくさんの人が「見てみよう」と思う理由になったなら、それが、もしかしたら解散や卒業を少しでも先送りにできるかもしれないと信じたかった。

そんな、"ありえたかもしれない未来" の分岐点に、後悔を残したくなかった。

オタクにはそれぞれのバックボーンがあるから、理由なんて無数にあって、すべてを考え尽くすことはできない。ただ、バチュンにいたるまでの様々な過去を見てきて、そして今のバチュンを見続けているオタクたちにとって、それはある種の執着で執念だったのかもしれない。

悪く言えば「過剰に入り込んでいた」のだと思う。でも、素直に言えば「オタクが何かを賭けるに値するグループ」だった。

アイドルは時に、打ち上げ花火に例えられることがある。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』なんて映画があったけれど、実は円形の花火はどこから見ても同じ円形に見えるらしい。それを知ったとき、少しガッカリした。けれど、よく考えてみれば、球体の花火玉を打ち上げ、空中で放射状に爆発するのだから、どの角度から見ても同じ形になるのは当然のことだった。

もし、TIFメインステージ争奪戦が花火大会だったとしたら、どこから見るかによって大きさの違いはあっても、形そのものは変わらないのかもしれない。観測者により大きな違いはないかもしれない。

でも、その場所が、火花が降りかかるほどの至近距離だったり、あるいは花火そのものを打ち上げようとしていたら、やはりそれは同じ形には見えないんじゃないかと思う。ただ見るだけでは済ませられない、過剰な熱量を持って戦ったオタクたちがいた。まずは、その存在に触れておきたくて。

この前提を踏まえたうえで、僕は「誰も置いていかない」という言葉に、最初は少し懐疑的だった。この先の未来よりも、どうしても“今”を、今だけは勝ちたかった。きっと、そんな焦りがあったのだと思う。とはいえ、その気持ちを口に出して不満として言えば、場の空気を悪くするだけで、嬉しい結果に繋がるわけがない。だから、何も言わなかった。

でも、2023年を過ぎ、2024年もずっとMerry BAD TUNE.は「誰も置いていかない」を貫いてきた。繰り返し繰り返し言ってきた。改めて、「バチュンってずっとそうなんだよな」と思った。Merry BAD TUNE.が目指すステージがあり、その先に進むべき道がある。だから、メインステージ争奪戦もゴールではなく道中で、「勝てばいい」という話ではない。

そもそも、メインステージ争奪戦に敗れていたとしても、グループの価値が下がるわけではない。大切なのは、ファンを増やす戦いができたかどうか。今の地下アイドルシーンが好きなオタクなら、UTAGE!やドラマチックレコード、i-COLが2025年の現場で渦の中心にいる主人公の一つであることはわかると思う。だからこそ、本当に重要なのはメインステージ争奪戦の「その先」にある未来なんだって。
でも、今となっては本当にそうなるかなんて、どんな未来があったのかなんて誰にも分かりようがないから。執着も執念も間違えてた、なんて思わないけど。選んだ選択が正解だったって信じていくしかないから。

2022年のあるときに、こんな話があった。
「メンバーみんなで話し合って、この先バチュンは“声を出すグループ”にしていきたい。だからといって、楽しみ方を強制することはしない。バチュンが“自分の部屋から世界につながる音楽”であるように、誰かをひとりぼっちにさせない」
ウィズコロナの時代の中で、ライブの“あり方”を模索し続けた。そしてメンバーが出した結論は、優しくて、少し不器用で、とても温かかった。
そして2025年の今、バチュンは「夏に強い」って呼ばれるようになった。フロアから許されて、好かれるグループになって、ライブが盛り上がるグループになっている。(ああ、報われたな。)そう思う。

『86 SUMMER  FILM』の話に戻そう。
「ハチロクの空は雨のち晴れ」この歌詞は、TIF3日目、2023年8月6日のことだ。
まずは、メインステージのライブ。ババババンビ、48グループ、イコラブ系列、日向坂と続いていく。バンビのオタクはともかく、それ以降の"地上のオタク"はMerry BAD TUNE.のことを知らない。

前日の8月5日、三倉みくが「フロアから許される瞬間」について語っていた。対バンライブでステージに出たとき、その場にいる人は次のステージが目当てだったり、必ずしもバチュンを観たいってオタクだけではない。そんな人に顔を上げてもらって、一緒に楽しんでいくこと、そんな瞬間に許されるんだと。メインステージ争奪戦に勝ち、ステージに立つ資格は得た。けれど、フロアから認められなければ、それは真の意味で「立った」とは言えないのかもしれない。

緊張の中で始まった20分のライブは、体感では一瞬だった。少なくないオタクが飛び跳ね、開演前にスマホを見ていたオタクが顔を上げてくれた。(ああ、許された。 )そんな気持ちになった。

最後に久留ちゃんが言った言葉。
 「今日まで私たちMerry BAD TUNE.を応援してくださった皆さん、そして、私たちに関わってくれた皆さん、本当にありがとうございます。私たちがこの夏の主役、Merry BAD TUNE.です!ぜひ覚えて帰ってください」
忘れることはないだろう。争奪戦を勝ち抜いた代表としてメインステージに立ち、「この夏の主役」と言い切った。その言葉が何よりも嬉しくて、涙があふれた。

2023年Merry BAD TUNE.のTIFラストステージ、スカイステージに上がる前に、天候により中断が入った。

雨による中断により、スカイステージに登るエレベーター前に並んでいた。そして、再開が発表された。

ツイートの映像や画像のほうが言葉より伝わると思う。

涙だってヘタクソだった笑顔も全部
「ハチロクの空は雨のち晴れ。」
奇跡みたいな瞬間をこれから
先も2人で
ずっと何回だってさ 観に行こう

86 SUMMER FILM

本当に綺麗な青空が見えていて、これまでのすべてが救われた。

そして、この時の奇跡が歌詞となった。
バチュンがデビューしたときからある『ボクらのBAD TUNE.』はこれから先の、まだ存在しない未来を振り返るように歌っていた。

TIFにかかる全てが全て奇跡ではないけど、この日この時は奇跡でしかなくて。これまで、存在しない未来を歌うグループだったのが、去年歩んできた軌跡が歌詞になった。86を初めて聞いたときの嬉しさって、そんな幸運を幸福を、誇らしくて、言葉じゃ表しきれない感情が溢れて。ズルいぐらい良い歌詞だなって。

ここまで書いといて何だけど、『86 SUMMER FILM』って、僕のオタクスタンスとはあわない。僕は「恋をした」わけでもないし、「僕にだけ見せて欲しい景色」はないし、奇跡のような一瞬もみたいけど、別に奇跡なんておきなくたってこの先の見たい景色はいっぱいあるから。だから、本当にこの物語みたいなオタクもいるだろうし、そうでなくても響くものがある。

でも、86は、別に過去に生きるのではなくて、あくまで、この日の先に出会ったオタクも含めて、一緒に未来を、奇跡を観に行く曲だって信じる。去年で言えば、NATSUZOMEなんて、また奇跡みたいな瞬間だったから。

この文章だって、古参マウントと言われたら、まあ、そう思う人もいるだろうなって思う。全員、気が合うなんて絶対無理で、せいぜい趣味が合うなぐらいで、人それぞれの思いがあるからみんな仲良くしようなんて言わない。

「Merry BAD TUNE.は誰も置いていかない。この先の未来に、今ここにいるあなたがいて欲しい。」
僕は今この言葉がすごく好きで、人はみな色んな何かを経て考えや意見が変わったりもするんだろう。
気持ちは分かりあえなくても、ライブの楽しさを分かち合えたら、それはとても嬉しいなと思う。

最後に言いたいのは、こんな長い文章を読んでくれるオタクは、絶対Merry BAD TUNE.のこと好きになるんで、4thワンマン行きましょう!
2025.5.1も奇跡にしましょう。
チケット発売まだです。

なので、興味が湧いたら、何かのライブで見てほしいです。公式Xから、ライブスケジュールが載ったGoogleCalendarにとべます。
ガムエイはGoogleCalendarの更新をしてください
各種ライブのリンクは久留ちゃんのハイライトでまとまってます。

あの日見た願いの先にいた日々であるのが今で間違いなくて、今が一番楽しいから。
Merry BAD TUNE.のこの先を、観に行きましょう!

@ガムエイさん、甘噛さん
2025年の夏曲もめちゃくちゃ期待してます。よろしくお願いします!

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