乗馬ログ #3|夢見るLOVELY BOY
2025.01.18
祝日だった月曜に引き続き、今週2回目の乗馬。
今回は久々に朝一のレッスンに出ることにしたので、4時に起きて5時台に家を出た。まだ真っ暗な空に、白い息が浮かぶ。
以前は平日朝一のレッスンが定番だったので、週に一度は必ず4時起きだった。クラブが遠いので、そうしないと間に合わないのだ。それが今では習慣から外れ、久しぶりに味わう「真っ暗な朝」。だけど、不思議と眠さはない。
乗馬を始めてから明らかに変わったことが一つある。朝早く起きるのが、全然苦にならなくなったことだ。私は典型的な夜型人間だと自覚していたのに、我ながら信じられない変化である。
さて、この日のレッスンには明確な目標があった。
そう、長鞭デビューだ。
前回購入したばかりの長鞭を手に、初めての使用に胸を弾ませていた。「初めてだからぎこちないだろうけど、少しずつ慣れていこう!」と意気込んで、洗い場へ向かう。
この日の相棒として選ばれたのは、前回同様「名前だけは聞いたことがあるけれど、初めてコンビを組む馬」だった。どんな子なのか全く情報がなく、何もかもが未知数。名前的に性別は男の子(セン馬)だろうけど、一体どんな子なんだろ~~。
待機しているとほどなくして指導員の先生が馬房から馬を連れてきた。
そして私を見るなり「この子は拍車いらないです。速いので」。
「わかりました」
「あと、長鞭もいらないです。短鞭で」。
なんですと……!!!
よくわかっていなかったのだが、長鞭は主に重い馬を動かすために使うものらしい。
しかし、今回の相棒はまったくの逆。よく動く子なので短鞭で十分とのこと。
こうしてあえなく私の長鞭デビューは延期となった。
拍車と長鞭を戻し、改めて今回の相棒とご対面。
馬にも人と同じようになんとなくファーストコンタクトで感じる印象というものがあるのだけれど、彼はそれが抜群に良かった。
どことなくふわっとした優しい雰囲気を纏っており「きみが今から乗るひと? よろしくね~」とでも言いたげに、きゅるっとした丸い瞳でこちらじっと見つめてくる。
か、かわいい……!
見た目もモフモフの冬毛に覆われていてぬいぐるみのようだ。
触っても全く嫌がる素振りを見せないので思う存分なでなでしまくる。ウヒョ~~。むしろ彼のほうから鼻先を私の顔に近付け、まるでキスをせがんでいるような仕草まで見せてくれる。
かわいい~~~~!!!(2回目)
レッスンの時間になり、馬場に連れて行ってからも私たちはイチャつきまくっていた。
ひたすら顔や首筋を撫でまくっていたのだが、少しやめると「やめないで~」と言わんばかりに私の肩を甘噛みしてきたりする。
超ウルトラスーパーラブリー甘えんボーイである。
もうこの時点で私のハートは完全に射抜かれていた。
で、肝心のレッスンである。
最初に先生が一人ひとり馬の特徴と注意するべきポイントなどを教えてくれるのだが、
「〇〇さん(私)の馬は、何もしなくていいです。脚の合図ゼロで」
何もしなくていい……だと………?!?!
この瞬間、14年ぶりに再会したミサトさんに「あなたはもう、何もしないで」と突き放されたシンジ君の気持ちを思い出したが、あのシーンとは違い、ここには穏やかな陽気が漂っていた。
どうやら彼は、ものすごくやる気があり真面目で、空気を読みながら勝手に動いてくれる馬らしい。速歩のタイミングになると、何も指示しなくてもシャキシャキと歩き出し、前の馬が速歩を始めるとすかさずそれに合わせる。まさにオートマ。
だが、停止の時はビタッと止まってくれる。
これは……前回乗った「しごできの彼」以上のしごでき君ではないか??!!
おまけにとびきり懐っこくてかわいい男子ときたもんだ。
レッスン中私の脳内にはTommy february6の「L・O・V・E・L・Y~夢見るLOVELY BOY~」が流れていた。
(もう少し世代が進むとキョンキョンの「素敵なラブリーボーイ」になるのだろう)
ちなみに、彼が騎乗中ずっと口をもぐもぐ動かしていたので気になって調べたところ、「チューイング」という仕草らしい。安心した時や、服従のサインとして見られるものだとか。
え~~~~~めっちゃかわいいじゃん……
もはやこの日「かわいい」しか言ってないな……
レッスン後のミーティングでも先生から「今日は姿勢がとても良かったです。今日の馬は合ってるかもしれませんね」との嬉しいお言葉をいただいた。
そう、とにかく乗っていて楽だったのだ。
だって何もしなくていいからね……。
しかし、裏を返せばそれは扶助の練習ができないという弱点でもあるのだ。
馬が賢すぎたり、空気を読みすぎるのも一長一短かもしれない。
拍車や長鞭等のアイテムを使って馬を動かす練習をしたいときは重い馬、軽速歩の手前合わせや騎乗姿勢の見直しをしたいときは軽い馬が向いているのだろう。
今回のレッスンは手前合わせの練習がメインだったので、オート馬(ま)な彼はピッタリだった。
ところで彼はなぜか会員用サイトの馬匹紹介ページに載っていなかったため、少しでも情報を得るべくレッスン後の空いた時間に厩舎をこっそり覗きに行った。
なるほど、キングカメハメハ産駒なのか……
と思ったら
に、2023年生まれ?!!
そんなはずはないぞ(キングカメハメハのラストクロップは2019年生まれの世代)。
おそらくこれは2013年の誤りなのだろう。
御歳12歳であんなに甘えん坊なのね、彼……。愛いやつめ。
そして競走馬時代の彼の成績を検索して驚いた。
重賞勝ちこそなかったものの、ダートの新馬戦をルメール騎手を背に見事デビュー勝ちし、その後も掲示板を外すことなく500万以下クラスを勝利。現役中計3勝をあげており、かなり優秀だった。
競走馬時代も、乗馬になってからも優秀で、正真正銘のしごでき君だったのだ。
そして何より、ラブリー。
そんなわけで私はすっかり彼の虜になってしまった。是非また当たってほしいし、なんなら専用馬として指名料を払ってもいいくらいだ。
でもせっかく買った長鞭使いたいから、次回は重めの子でお願いします。笑