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子育てもマネージメントツールでうまくいく? #1 デリゲーションボード

ワンオペ子育てムリーと叫んで、そろそろ2年経ちますね。はやいな。

この頃は、いろいろなことを吸収する一方だった息子も、もう5歳。自我が芽生え、母のサポートなしでできることが増えました。うれしい。

でも、それと同時に、ちょっとややこしい問題が発生しました。

お手伝いしたい息子とさっさと片づけたい母

ついに、我が家にもお手伝いブームがやってきました。

「それ、ぼくがやってあげる!!!」と自信満々でいう息子。

そんな姿を頼もしく感じつつも
「(この後の予定が狂うし、自分でやった方が速いし、サポートしている時間ないし、これより先に自分のことやってほしいし、あー、もー、いろいろ面倒だから)いいよ、大丈夫!」
と答える母。

息子、がっかり。肩を落としてリビングに帰っていきます。

気を利かせて、自主的にお手伝いしてくれても
「そーじゃないんだよなー」
「それはやらなくてよくて、やってほしいのはこっちなんだよー」
と思うことも増えてきた。バタバタしていると、うっかり「それ!さわらないで!」ダメ出ししてしまう。

ついには先日
「ぼく、おかあさんの役に立ちたいのに、ぜんぜん頼りにならない。。。」
とめそめそと泣きぬれてしまいました。
これはまずい。非常にまずいぞ。

プロジェクトマネージメントを生業としてきた母としては、メンバー(息子)が動けずパフォーマンスがだせない状況を何とかしたい。ついでに引き継げる作業があるなら引き継ぎたい。とはいえ、こちらは家事も仕事も満載(それに休みたい)。丁寧に引き継ぎする時間、なかなか取れないんだよなー。
(会社でもこんな事例、よくありますね。)

そこでひらめいた!マネージメントの手法つかったらいいんじゃない?!

M30の要素満載!マネージメント・フォー・ハピネスがあるじゃないか!

ここに載っている「デリゲーション・ボード」を息子と二人でつくることにしました。

デリゲーションって?

デリゲーションとは「権限移譲」のこと。
会社でよくある例をあげると「この件は○○さんの権限でやっといていいから。」と上司から決定権を与えられるケースが、上司から○○さんへの決定権のデリゲーションです。

私と息子の場合、何をどこまでやっていいのかをはっきりと決めたことがなかったために、息子の中で、どこまで自分が決めて行動していいのか、わからなくなっているようでした。それが混乱(悲しみ)の要因と推測。

息子に
「自分でやっちゃっていいことと、ふたりで決めることを紙にかいたらどうかなーと思うんだけど、相談してもいいかなー。」
とミーティングを打診。OKがもらえたので、紙を出して、枠を書き始めました。

本家のデリゲーションボードでは権限移譲を以下の7段階を設定しています。

1:tell   【指示する】
2:sell   【説得する】
3:consult 【相談する】
4:agree    【合意する】
5:advise   【助言する】
6:inquire  【尋ねる】
7:delegate【任せる】

マネージメント・フォー・ハピネス 第3章 デリゲーションボードとデリゲーションポーカー

今回はできるだけシンプルに・・・と思い、少しまとめて、以下の5段階にすることにしました。

1:tell【指示する】
2:sell【説得する】
3:consult【相談する】、agree【合意する】
4:advise【助言する】、inquire 【尋ねる】
5:delegate【任せる】

デリゲーションボードをつくる

実際の紙はこんな感じ。

「そうだん」の下の息子と母のイラストは、息子に書いてもらいました

実際に始める前に、いくつかの例を使いながら説明します。

母 「トイレにいくときは、おかあさんに相談する?」
息子「しない。」
母 「そうだね。いきたいときに、自分で決めていっていい。だからここ5に〇ね。」

母 「ばんごはんに何を食べたいかはどうやって決める?」
息子「ぼくがきめるー!」
母 「でも、冷蔵庫にあるものでご飯をつくりたいこともあるし、おかあさんの好きなものを食べたい日もあるよ。好きなメニューをおかあさんが作れないこともあるよねー。」
息子「わかった。じゃ、そうだんしてきめる。そうだんは、3に◯!!」

いくつかの例を通して、◯の意味が分かってきたようだったので、こちらからデリゲーションしたいものを書いて、どう思っているか、これからどうしていきたいかを話し合いながら、どんどん〇をつけていきます。

落ち着いたところで、息子が普段、判断に迷っていることはないか聞いてみました。

息子「となりのおじさんの家にいくときはどうしたらいいの?」
母 「どういう風に迷っているの?どう思う?」
息子「こっちおいで、って言われるけど、いっていいのかな、と思って。」
母 「そうかー。行ってもいいけど、行く前に『となりのおじさんのうちにいってくるよ』って教えてほしい。急にいなくなると、どこにいったのか心配だから、出かける前に声かけて。」
息子「わかった!じゃあ3だね!」
母 「んー。二人で決めるというよりは『おとなりにいってきます』って教えてほしいだけだから、4かなー。」
息子「オッケー!」

そうか。そういうことを気にしていたのかー。意外だったり嬉しかったり。
この後「しらないひとについていかない。」もセットで教えたりして(笑)、予想以上に楽しいミーティングになりました。

完成したデリゲーションボードは、息子のハンガーラックの横に貼りました

デリゲーションボードの効果

ボードを作った翌日は、ボードをみながら「ふむふむ。これって3だよねー」と言っていた息子。
数日でほとんどボードは見なくなりましたが、自分で決めていいことと確認が必要なことの基準が明確になりました。

ときどき「これは5かな?3かな?」とつぶやきながら考えてくれています。相談されても数字で答えられるので、伝えるのもシンプルになりました。時短な上に誤解ナシ。いい!

お手伝いの種類も、できること・できないことがあるのが理解できたようで、「今日はお手伝いしなくて大丈夫だよ」と伝えても、泣いてしまうことはなくなりました。
「あ、そうなんだ。お手伝い必要だったらいってねー。」とさらっと帰っていきます。助かる。ほんとに。

息子には「このボードの◯の場所や項目は、また相談して変えていこう」と伝えてあります。成長に応じて、裁量を増やしていけたらいいですよね。

うちの場合は、ボードそのものよりも、ボードをつくりながら、話し合いができたことの方が、大きな成果となりました。お互い思っていることを再確認できて、スッキリ!でした。

叱り方を学ぶよりも、叱らなくていい仕組みを活用しよう

親子だからって、なんでもわかるわけじゃないし、好きで近くにいるからこそ、ついつい(お互い)甘えて、強い言い方をしてしまったりする。

何かあったときに、「ダメ!なにしてるの!もう!」と叫びたい気持ちを必死で抑えて、冷静さを取り戻しながら、理由を述べて叱るの、ものすんごく大変じゃないですか。相手にも怒りは伝わるけど、本当に伝えたい内容はちゃんと伝わってないこと多いし。

イライラして良いことって、何もない。

それよりも、お互いご機嫌なときに、してはいけないこと・してほしくないこと・そう考えている理由を伝えあっておくことで、小さなトラブルを未然に防ぐことができるんですよ!
心から納得したことって、ちゃんと記憶に残るみたいで、いいことなら続けてくれるし、悪いことなら繰り返す前に、やめてくれる。同じこと何度も言う手間省けるっていい!助かる!楽~!

子育てにマネージメントの手法を活用するの、母っぽくないけど、アリだな、と思います。(夫婦でこれができてたら、離婚しなかったかもな、と思ったことはナイショ。)

この記事は、Management 3.0 Advent Calendar 2022に参加しています。現場でM30を活用している事例やマネージメントのヒントが盛りだくさんです。

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西井 愛
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