神様はもういない
例えばどこか遠い宇宙に、今の地球よりも遥かに発達した種がいたとしてさ、同じような進化を辿ったとすると、やっぱり彼らの最終目標は肉体的な死からの脱却だと思うんだよね。
例えば肉体から完全に離脱することが可能になって、精神体だとか、デジタルの存在だったりして生きることが出来た場合、それは「死」からの脱却であるとともに、「死という概念」からの脱却でもあることに気が付いたのですよ。
ほら、ただの情報の塊になるのなら、一意の存在じゃなくなることになりそうだし、最終的には全部のデータが混ざって統合思念体とかになっちゃいそうだし。
そして、それはたぶん、宗教の死でもあると思うんだよ。
たぶんだけど、デジタルの住人になると、命が軽くなると思うんだよ。
まるでRPGなんかでキャラを作るような気分で、気に入らなかったらリセットボタンを押すみたいに簡単に自分を消去させちゃう。
つまり、肉体的な死の痛みが無くなることで、魂自体の重みが極限まで軽くなるような気がするんだよ。
デジタルになっちゃう時点で唯一無二の魂じゃ無くなるわけで、そんな複製可能な魂に宗教的な救済は必要なのかな?って。
ちょっと嫌なことや気に入らないことがあったら、リセットボタンを押すように自分を消していく、そんな種にもはや進化は無いだろうし、種そのものを消し去るリセットボタンを押すことも最終的には何も感じなくなるんじゃないかな。
もしも、この地球にいる人間っていうのが、第三者によって作られて、その創造主に庇護されているとしてさ、その庇護者である、そういった精神体にまで進化した別種の存在は、つまり我々が神さまと呼んだその存在は、だからこそ「肉体を持つ人間」をたぶんとても大事にするだろうって思うのですよ。
で、もし、神話によくあるように、残念ながら、そんな神さまが望んだ通りには我々がうまく進化していなかったった場合、
つまり、我々の創造主である神さま本人の思惑と、我々の進化がずれた場合、神さまが押すべきリセットボタンは、
我々人類を消し去るリセットボタンではなくて、たぶん神さま自身を消しさってしまうようなリセットボタンだと思うのですよ。
つまり、もう、神さまはいないんじゃないかなって。