量子論的な私の感情
そういえばさ、テレパシーっていうか、誰かの頭の中を覗く機械みたいなのがSFによく出てくるけど、実際に自分が頭の中で、何か考えている時って、いわゆる言語化ってされてないよね。
なんかこう、感情がドロドロに混ざり合っててまだ形になっていないような、魔女が煮詰めてる魔法薬の鍋みたいにさ。
もしくは、量子論でいう電子の有り様に近いのかな?
「口に出して言語化する」っていう、「観察」がされない限りは、あくまでもその感情は可能性の塊でしかない、みたいなさ。
ほら、口に出してみて初めて自分は怒っていたんだって気づいてみたり、
怒っていたはずなのに口に出してみたらそれほどでもなくて、つい笑ってみたりさ。
嬉しいのに悲しいとか、怒っているけど許しちゃってるみたいな、二面性っていうか矛盾が矛盾じゃない世界。
頭の中ってそういう混沌に支配されていると思うんだよね。
クオリア的な話になっちゃうんだろうけど、でも、やっぱり人の頭の中って、もともと、第三者が客観的に観測出来るようなものじゃないんだろうなあって。
でもね、正直なところ、人の頭の中なんて覗きたいとは思えないんだよね。
表面には出てこない感情のさらに深奥にあるものって、自分ですら触れたくないって思うのに、
それが他人のものだとしたら、ちょっと想像するだけで寒気がしちゃうのです。
人の心こそが、覗き返してくる深淵なんだろうなあって。