「おかかおにぎりくまポフ」
おかかおにぎりくまポフは、大先輩・梅干しおにぎりくまポフのことを、ずっと避けていました。
別にいじわるされたとかではなく、話したことすらなかったのですが、大先輩というだけでなんとなくうっとおしいな、と感じてしまっていたのです。
でもある日、大好きな場所である一級河川沿いの、青々とした堤防に体育座りをしていた時に、梅干しおにぎり先輩がやってきて、どっこいしょ、と隣に座りました。
おかかおにぎりくまポフは「え~なんで隣に座ってくんの~?」と思いましたが、そっけなく、どうも、と挨拶しました。
しばらく黙って横にいた梅干しおにぎり先輩は、ゴホン、とひとつ咳払いをしたのちにこんなことを言いました。
「きみは、後輩のツナマヨおにぎりくまポフや、焼肉おにぎりくまポフにも好奇心を持って積極的に話しかけて、お互いをわかり合おうとしてる。そんな姿をずっとみてたら、私も見習わねばな、と思った、という次第だ」。
おかかおにぎりくまポフは、いや、別に互いをわかり合いたいとか、そんな大げさなことは思ってないけどな、と思ったのですが、
でもまあとりあえず、握手を求めて、梅干しおにぎり先輩に手を差し出しました。
川はいつも以上に、きらきらと輝いて見えました。